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◎三菱ふそう社員 過労死の新基準で労災認定

 日経新聞(9月26日付)などメディアが三菱ふそう社員が、いわゆる「過労死ライン」未満でも、新基準(2021年9月)によって労災に認定されたと報じています。

 厚労省は、これまでの過労死基準について、「発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働は、発症との関連性は強い」として労災認定していました。

 これを、「労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化」するなど新基準を設けたものです(表参照)。

60 過労死新基準
(過労死の新基準=厚労省のホームページから)

 新基準は、「過労死弁護団全国連絡会議」が厚労省に、過労死ラインを「月80時間」にしているのを「月65時間」に改めるよう意見書を提出(2018年5月23日)するなどして運動してきた結果によるものです。

 弁護団は、100時間や80時間に足りないとして、労災と認められない事例が数多くあるとして改善を求めてきました。

 このブログ「トヨタで生きる」では、「100時間未満」でも労災として認められた事例として、トヨタ系の過労死事件をあげています(2021/06/21アップ)。
http://toyotaroudousya.blog.fc2.com/blog-entry-4024.html

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 三輪敏博さんの過労死(死亡当時37歳)です。敏博さんは、トヨタテクノクラフトの愛知工場(東海市)で働いていました。おもな仕事は、トヨタの救急車の防振ベッドの組立・架装でしたが、連日、プリウスの試作現場へ応援に行くなど多忙をきわめていました。

 亡くなった2011年は、東日本大震災のばん回生産で、節電を理由にトヨタと関連会社は7~9月まで木金休み、土日出勤という変則勤務を実施。敏博さんの生活リズムは大きく崩れ、うつ病も発症し、同年9月27日、自宅で虚血性心疾患で亡くなりました。

 妻の香織さんは、半田労基署に労災申請しましたが12年10月、却下されました。労基署は、亡くなる1カ月前の残業時間を85時間と算出。香織さんは、サービス残業を含めて99時間と主張してきました。

 香織さんは名古屋地裁に訴えましたが、「過重な労働とはいえない」と退けられました。控訴した名古屋高裁は、2017年2月23日、残業は「少なくとも85時間以上」とした上で、次のように指摘しました。

 「直近1カ月は1日5時間程度の睡眠を確保できない状態。うつ病でない人の100時間超の時間外労働に匹敵する過重な負荷だった」と認め、1審判決をくつがえして労災と認めたものです。

 「100時間」に満たなくとも、うつ病による睡眠時間の減少など総合的に判断したものです。遺族の訴えを認めた藤山雅行裁判長の名判決でした。日本共産党の小池晃書記局長(参院議員)の厚労省への申し入れもあって、同省は上告せず、判決は確定しました。
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 日経新聞は、三菱ふそうの社員の過労死認定について次のように報じています。


 三菱ふそうトラック・バス(川崎市)の京都支店に勤務し、2015年に急性心不全で死亡した男性社員(当時38)について、京都下労働基準監督署が「過労死ライン」に満たない残業時間でも労災認定したことが25日、分かった。遺族の代理人が明らかにした。

 16年に申請を退けていたが、労働時間以外の負荷も総合的に評価するとした21年の新基準に基づき判断を一転させた。代理人弁護士によると、労基署が新基準に基づき認定を見直すのは珍しいという。

 男性は整備業務を担当していた15年7月、体調不良を訴えた後に死亡した。父親ら遺族が同年12月に労災申請したが、直前2カ月の残業時間が月平均74時間で、月平均80時間を目安とする過労死ラインに満たないとして退けられた。19年12月、不認定の取り消しを求めて京都地裁に提訴した。

 厚生労働省は21年9月、過労死を含む脳や心臓疾患の労災認定基準を改定。残業時間が過労死ラインに達しなくても、深夜勤務や過酷な作業環境などを負荷要因として評価することを明確化した。

 これを受け、遺族側は裁判で新基準を考慮するように主張。労基署は改めて検討し直し、残業時間に加えて空調設備がない中での高温スチーム洗浄作業が過酷な作業環境に当たるとして今年6月、労災を認めた。その後、裁判は終了した。

 遺族代理人の立野嘉英弁護士は「新基準で労災が認められたのは大きな前進だが、裁判で主張するまで労基署は判断を変えようとしなかった。国は見直した基準を積極的に使うべきだ」と話した。

 三菱ふそうは「故人のご冥福をお祈りし、ご遺族に心より深くおわび申し上げる。事案を重く受け止め、労務管理を徹底していく」とのコメントを出した。〔共同〕
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過労死 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2022/09/26 15:11
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