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◎「映像の世紀」が示した人種差別とのたたかい

 NHKのBSが6月20日、「映像の世紀プレミアム」シリーズで「オリンピック 激動の祭典」を放送しました。オリンピックの光と影を描いたもので、もっとも感動したのは、人種差別とのたたかいでした。

 同シリーズは、時間と金をかけて世界に取材し、丹念に映像の歴史を掘り起こし、現在に問題提起するものです。日本の政治ニュースと違って、どこにも“忖度”せず、真実を報道するすぐれた番組です。

 今回は、いまアメリカで大きなうねりとなっている人種差別反対運動と重なるもので、まさに今日的課題に切り込んでいます。放送のハイライトの1つが、1968年のメキシコシティー・オリンピックでした。

 男子200メートル決勝で1位になった米国のトミー・スミス、2位のオーストラリアのピーター・ノーマン、3位の米国のジョン・カーロスの3人が表彰台で人種差別反対の意思表示をしたのです。

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(メキシコシティー・オリンピックで黒グローブの手を高々と突き上げて人種差別に抗議の意思を示す黒人選手のスミスとカーロス。手前のノーマンもバッジを付けました=「映像の世紀」から)

 黒人のスミスとカーロスは、米国歌が演奏され、星条旗が掲揚されている間、頭を垂れ、黒グローブの手を高々と突き上げたのです。ブラックパワー・サリュートという黒人差別への抗議への意思表示でした。白人のノーマンも、2人と同様に「人権を求めるオリンピック・プロジェクト」のバッジを付けました。

 この映像は、世界に衝撃を与えました。「映像の世紀」では、オリンピックを前にした米国での人種差別事件で、その象徴であり公民権運動の指導者、キング牧師が暗殺(1968年4月)されたことや2人の選手が差別を受けながら育ったことを映像で生々しく伝えました。

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(亡くなったノーマンの棺を担ぐスミスとカーロス=「映像の世紀」から)

 さらに3人がオリンピック後、差別されてオリンピックから締め出されたこと。また、ノーマンが2006年に死去すると、葬儀にスミスとカーロスが駆け付け、ノーマンの入った棺を担ぐ姿を映し出しました。感動のシーンでした。

 2人の黒人選手の母校、カリフォルニア州のサンノゼ州立大学に2005年、2人の銅像が作られました。黒いグローブの手を高々と突き上げる姿の銅像です。しかし、ノーマンの銅像はありません。銅像には、ノーマンの願いが刻まれています。

 「ピーター・ノーマンは 共に立った どうかあなたも ここに立ってほしい」

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(米サンノゼ州立大学に立つスミスとカーロスの銅像。2位のノーマンの銅像はなく、2位の表彰台にあなたも立ってほしいと呼びかけています=「映像の世紀」から)

 メキシコシティー・オリンピックから50年余。アメリカでは、黒人のフロイドさんが警察官に8分46秒間も首を圧迫されて死亡する事件(5月25日)が起き、人種差別に抗議するデモがアメリカから世界へと広がりました。

 半世紀もたつのに、依然として人種差別が続くアメリカ。しかし、それの抗議とたたかいは、半世紀前以上に広がっています。「映像の世紀プレミアム」を見ながら痛感しました。
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その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/06/21 15:29
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