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◎高くついた排ガス不正 独VWに最高裁命令

 2015年に排ガス不正が発覚した独フォルクスワーゲン。ドイツの最高裁は5月25日、訴えていた男性に購入金額の3万1500ユーロ(日本円で約370万円)の80%余りに当たる約2万8000ユーロを支払うようVWに命じました。

 同じような訴えは、約6万件あるといいます。VWは、和解での解決をめざすとしています。日経新聞(26日付)は、VWは排ガス不正で、ばく大な金を支払うことになるとしています。

10 ドイツ ZDF
(ドイツZDFが伝えるVWの排ガス不正の最高裁判決=NHK、BS1から)

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 VWはこれまでに300億ユーロを超える罰金や賠償金を支払っている。米国では16年に買い戻しで当局と合意。18年時点で35万台以上の車両を買い戻し、74億ドル(約8千億円)以上を支払った。今回のドイツでの買い戻しで不正関連の費用は数億~十数億ユーロ増える見通しだ。
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 300 億ユーロは、3兆6000億円ほどにもなり、さらに増えるといいます。不正がどれほど高くつくかを示しています。

 元NHK記者の熊谷徹氏が書いた『偽りの帝国 緊急報告・フォルクスワーゲン排ガス不正の闇』を読んだことがあります。熊谷氏は、ドイツに住んで30年近くになるだけに、ドイツのことは熟知しており、VWが不正に手を染めた理由、背景がよくわかりました。

 この不正は、当局から排ガス試験を受けていることを自動的に感知するソフトを搭載していたものです。感知すればNOxの量を減らす装置を作動させるのです。通常走っている時は最大で40倍を上回るNOxを排出していました。

 本書では、不正の背景には、VWの生みの親であるポルシェ博士の血を引くポルシェ・ピエヒ両家がVW帝国を長年支配し、権威主義的、家父長的な経営スタイルにあったことを明らかにします。

15 『偽りの帝国』
(熊谷徹著の『偽りの帝国 緊急報告・フォルクスワーゲン排ガス不正の闇』)

 22年間、CEO(最高経営責任者)、監査役会長を務めたフェルディナンド・ピエヒは、18年までに世界1になることを目標にしていました。3%未満の米国市場のシェアを2桁にする必要があったものの、米国の厳しい排ガス規制を技術的にクリアーできずに不正に手を染めたといいます。

 VW社員の中には、「VWでは、上司の言うことは絶対であり、反論は許されないという雰囲気があった。それは、“不安に満ちた空気”だった」と熊谷氏は告発します。

 世界1をめざすために不正に手を出したというVW。そういえば、日産に君臨したカルロス・ゴーン前会長も半期(2017年上半期の1~6月)とはいえ日産、ルノー、三菱自の3社連合で世界1に上り詰めたことがあります。

 その一方で、ゴーン元会長は腹心の部下と合わせ350億円もの不正をはたらいていました。そして、レバノンへの逃亡―。「世界1」という美名が、いかに誘惑に満ちているかを示すものです。

 日本でも、三菱自動車やスズキで燃費不正事件が起きたことは記憶に新しいところです。不正は必ず発覚するのです。その代償はあまりにも大きいことを、VWや日産の例を見るとわかります。
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その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/05/30 14:06
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