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◎頑張り続けた果てに…「新賃金制度」を考える

 トヨタ労組の「新賃金制度の説明動画」を見ました。新たな賃金制度はどうなるのか…とあって6600人以上の組合員が視聴するなど関心の高さを示しています。

 動画では、4月に労使専門委員会があり、会社から新賃金制度の説明があったといいます。この新賃金制度はすでに決まったものではなく、組合は職場の声を労使の議論に反映させていきたとしています。

 一言で言えば、この新賃金制度とは、「人一倍頑張った人に報いる」制度だというのです。会社が行う「考課」を元に、その「反映額を拡大」するもので、よりメリハリをつける賃金制度だといいます。つまり、頑張ったかどうかで、これまで以上に大きな差が開く「成果主義賃金」のことです。

14 出勤 トヨタ本社
(出勤するトヨタの労働者ら。右のビルはトヨタ本社)

 動画には、事務技術職の「賃金カーブの新旧制度イメージ」の図が付いていました。実線が新制度で、点線が旧制度です。青の実線と点線が新旧の「頑張り続けている人」で、茶の実線と点線が新旧の「頑張りが乏しい人」です。

 新制度では、「頑張りが乏しい人」は、40歳を過ぎると茶の線が横ばいとなって賃金がまったく上がらなくなっています。旧制度では、上向きに上がっていました。ポイントにある説明では、「頑張り続けている人と頑張りが乏しい人の差が拡大」するといいます。

 30歳過ぎまではワニの口がほぼ閉じていたのが、40歳を過ぎてから60歳に向けて、ワニの口がだんだんと大きくなっていくイメージです。“メリハリ”をつけていることがよくわかるイメージ図です。

 20春闘でトヨタ労組は、「頑張った人に厚く配分」するとして、会社の人事評価を基にしたベア配分を組合が求めました。それにもかかわらず豊田章男社長は、組合に7年ぶりのベアゼロを回答しました。

 春闘が終わり、労使専門委員会で新賃金制度について議論が続いています。こうした「人一倍頑張った人に報いる」制度=「成果主義賃金」で、果たしていいのでしょうか?

 トヨタでは、これまでも「人一倍頑張った人」は無数にいます。頑張りすぎて過労死し、労災認定された労働者は、これまでにわかっているだけでも5人もいます。厚生労働省が過労死ラインとしているのは月100時間以上の残業です。

レクサス

 事務技術職のなかでもチーフエンジニアは、過酷な仕事といわれています。カムリのチーフエンジニアだったAさん、2006年1月2日、自宅で就寝中、虚血性心疾患で亡くなりました。45歳でした。

 同月9日から始まるアメリカのデトロイトのモーターショーに、新型カムリとカムリハイブリッドを出品するため、翌日からアメリカ出張をひかえていました。Aさんは、05年1年間でアメリカに6回、のべ49日間出張しました。

 死亡1カ月前の残業時間は月79時間、2カ月前は106時間、6カ月前は114時間でした。Aさんは08年7月、過労死の労災認定を受けました。Aさんのように「人一倍頑張った人」は、トヨタでは数限りなくいます。

 電気自動車化や自動運転化など「CASE」と呼ばれる「自動車産業の100年に1度の大変革期」(豊田社長)に、声を大にして頑張れ、頑張れといい続けることが、どんなことになるのでしょうか――。
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職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/05/20 15:10
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