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◎20春闘 トヨタ、7年ぶりのベアゼロ 内部留保22兆円でも

 トヨタ自動車労組など金属労協(JCM)に加盟する労働組合の20春闘は、会社側が3月11日、いっせいに回答を示しました。トヨタの豊田章男社長は、競争力強化を理由に次のようにのべて7年ぶりとなるベアゼロを回答しました。

……
 たとえ「100年に一度」であったとしても、どんなに厳しい闘いであったとしても、私は絶対にトヨタという会社を守り抜く。トヨタで働く人たちの雇用だけは何としても守り抜く。これまでも、これからも、これが私のブレない軸です。

 しかし、そのためには、もっともっと競争力をつけなければなりません。これからの競争の厳しさを考えれば、既に高い水準にある賃金を、引き上げ続けるべきではない。高い水準の賃金を、このまま上げ続けることは、競争力を失うことになる。

 そして、もう一つ。自動車産業を支えている多くの仲間に「トヨタと一緒に闘いたい」と思ってもらえる会社にしなければならない。この2つのことを考えた時に、組合が要求している賃金制度改善分に応えることが、皆さんの幸せにつながるとは思えなかったということであります。
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トヨタ回答日 トヨタイムズ
(20春闘の回答日のトヨタ社内報「トヨタイムズ」のwebから)

 「100年に一度」とは、世界の自動車産業が米IT企業などを巻き込んだ電気自動車化、自動運転化など「CASE」や「MaaS」(Mobility as a Service=あらゆる移動手段をつなげる)などと呼ばれる「100年に1度の大変革期」と豊田社長が常に語っている言葉です。

 豊田社長は「生きるか死ぬか」と危機感を煽り、今年の春闘の労使協議会でも世界1を争うオールトヨタのいっそうの競争力強化を組合側にも求め続けました。その結果が7年ぶりのベアゼロという結果です。

 トヨタの3月期決算の営業利益見通しは、前期並みの2兆5000億円です。日本の大企業のなかでは突出した利益です。内部留保の利益剰余金は、22兆円を超え、日本の大企業でダントツです。

 ベアゼロは、組合員は到底、受け入れられないでしよう。組合の西野勝義委員長も、「組合員や、会社を変える、強くすることに取り組んでいる組合員のことを思うと、交渉を預かる者として本当に申し訳ない気持ちでもあります」とのべざるをえませんでした。

 トヨタ労組は20春闘で、「賃金引き上げ・人への投資を合わせて、全組合員一人平均で10,100円」を要求していました。昨年に続いてベア要求額を明らかにせず、定昇などを含めた総額でした。

 会社回答は、ベアを含まない総額8600円でした。昨年より2100円下がりました。

 年間一時金は、去年を0・2カ月分下回る6・5カ月分の要求に対し、夏は130万円、冬は112万円で、合わせて242万円の満額を回答しました。

60 JCホワイトボード
(金属労協のホワイトボード。電機が軒並み回答が書かれているのに自動車はトヨタを含めて回答が書かれていません)

50 20春闘回答 自動車
(金属労協のホワイトボードには、その後、トヨタなどの回答が記入されました。トヨタは「平均8600円」とあります。トヨタのグループ企業のダイハツは賃金改善分=ベア分=1500円とあります)

 20春闘の労使協議会は、これまで労使がテーブルを向かい合わせて議論するというのをやめ、豊田章男社長の意向で、①豊田社長ら会社役員、②組合の西野勝義委員長ら執行部メンバー、③幹部職・基幹職の代表という異例の三角形の配置に変えました。

 議論もテーマも「オールトヨタの競争力向上」(豊田章男社長)というように、組合が要求している賃上げ、一時金とは関係のないトヨタの競争力のことが中心でした。

 これは19春闘で、豊田社長が「生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝したことが大きな影響を与えました。

 賃上げについて河合満副社長は、「既に日本トップレベルの水準にある賃金を、これ以上引き上げるのは、競争力の低下につながりかねない」と組合員の切実な賃上げを否定していました。

 他の自動車各社では、日産が総額9000円の要求に対し7000円、ホンダはベア分500円を含む1500円を回答しました。

 電機では、日立やシャープが1500円、東芝が1300円、パナソニックや富士通、三菱電機などが1000円を回答しました。日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社は、今後2年間ベアゼロでした。鉄鋼でのベアゼロは7年ぶりです。

 ★ベアゼロを脱した2014春闘以降のトヨタ労組の要求と獲得額は次の通りです。

          賃上げ要求   獲得額  一時金(年間)
 2014年春闘  4000円  2700円 6・8カ月(244万円)
   15年春闘  6000円  4000円 6・8カ月(246万円)
   16年春闘  3000円  1500円 7・1カ月(257万円)
   17年春闘  3000円  1300円 6・3カ月(230万円)
   18年春闘  3000円 「昨年を上回る」とベア非公表。総額で1万1700円。 一時金は 6・7カ月(243万円)

   19年春闘  ・賃上げ要求は定昇込みの総額で1万2000円
           ・回答はベア非公表で、定昇込みの総額で1万700円
           ・一時金要求は6・7カ月 ・回答は夏が120万円、冬は秋の労使協議会で128万円

 (注 17春闘の賃上げは別に家族手当の引き上げ分1100円)

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20春闘 | 2020/03/11 14:55