FC2ブログ

◎一律の賃上げ否定で日本の春闘はどこへ

 “全員一律”の賃上げ(ベア)を否定するトヨタに応じるように、トヨタ労組は20春闘から会社が行う個人評価(A~Eの5段階評価など)を基にした要求に切り替える方向といわれています。

 労働組合は、1人ひとりでは弱い労働者が団結して会社に要求を掲げ、連帯してたたかうのが原点です。日本では、労働組合が産業別に賃上げや労働時間短縮などの労働条件の要求をそろえて、企業にいっせいに提出して闘い、獲得した水準を中小労組や未組織労働者に波及させてきました。

 日本独特のこの闘いは春闘と呼ばれ、60年以上の歴史があります。日経新聞(12月27日付)は、トヨタ労組の動きについて、「組合員の連帯を重視する労組が、組合員の賃金の差につながる傾斜配分を提案するのは異例だ」と書いたように、大きな問題をはらむものです。

 春闘は1990年代までは、鉄鋼や自動車、電機、造船・重機の4産別が大きな役割を果たしてきました。しかし、2000年代になるとトヨタ1社がずば抜けた利益を上げてきたことから、トヨタ労組が“リーダー労組”と呼ばれるようになりました。

80 表 トヨタの賃上げ推移
(賃上げ要求額、妥結額は円。営業利益は億円。20年の営業利益は見通し)

40 グラフ トヨタ賃上げ推移



 そのトヨタ労組は2002年春闘で、1兆円の利益を上げる会社に対し、1000円の要求を掲げましたが、ベアゼロに抑え込まれました。このために、他の企業、産業も軒並みにベアゼロになりました。“トヨタ・ショック”と呼ばれました。

 トヨタ労使は、「たかが100円、されど100円」と激しい攻防をしていましたが、奥田碩会長=当時=が、「いつまで100円玉の争いをしている」と“一喝”したといわれています。

 それ以降2012年までの12年間、途中、リーマン・ショックはありましたが、トヨタが1兆円から2兆円を超えるばく大な利益を上げ続けるなかでも、ベアゼロやトヨタ労組が要求をしない異例の事態が続きました。

 “春闘冬の時代”になり、大企業は内部留保をため続ける一方で、日本の労働者の賃金が上がらない大きな原因となりました。

 2014年、久しぶりにトヨタ労組が4000円の要求を掲げ2700円を獲得し、他の労組も同じように有額回答を獲得しました。それ以降、19年までの6年間は賃上げを実現しています。

 しかし、18春闘でトヨタ労組が3000円の要求をしたにもかかわらず、会社側は「前年を上回る」という日本語回答をしてベア額を非公表にしました。 19春闘では、トヨタ労組がベア要求額を明らかにしませんでした。利益NO1のトヨタの賃上げの実態がまったくわからなくなったのです。

 そして迎えた20春闘。その矢先にトヨタ労組が“全員一律”の賃上げを否定する会社側に足並みをそろえることは、第2の“トヨタ・ショック”につながる恐れがあります。

 トヨタ労組執行部が20春闘の要求案を組合員に示すのは1月下旬です。職場会での真剣な議論が求められるでしょう。トヨタの組合員だけにとどまらない大問題だからです。
スポンサーサイト



20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/12/29 16:16
コメント

管理者のみに表示