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◎「うたのある風景」 「おしん」と「君死にたまふことなかれ」

 今年4月からNHKのBSプレミアムで、連続テレビ小説「おしん」の再放送が始まりました。「おしん」は、1983年に放送されたもので、最高視聴率が62・9%とテレビドラマ史上最高を記録しています。

 ドラマは、日露戦争(1904~05年)が終わったころの1907年(明治40年)の山形県の山村が舞台です。小作の子どもとして生まれたおしんは、あまりにもの貧しさのために、わずか7歳で奉公に出されます。

 いくらいじめられても健気(けなげ)なおしんに、視聴者は惹きつけられます。赤いほっぺの大きな目の小林綾子が演じるおしんに、どれほど多くの人々が涙したことでしょうか。

おしん 写真
(おしん=NHKから)

 なかでも、日露戦争での殺しあいに疑問を持って脱走兵になった俊作に、おしんが雪の中で助けられ、俊作に戦争について教えられるシーンは、今見ても色あせないものがあります。

 大阪府堺市出身の与謝野晶子の詩「君死にたもうことなかれ」を読み上げ、おしんに聞かせる俊作です。

……
ああおとうとよ 君を泣く 君死にたもうことなかれ
末に生まれし君なれば 親のなさけはまさりしも
親は刃(やいば)をにぎらせて 人を殺せとおしえしや

人を殺して死ねよとて 二十四までをそだてしや
堺(さかい)の街のあきびとの 旧家をほこるあるじにて
親の名を継ぐ君なれば 君死にたもうことなかれ

旅順(りょじゅん)の城はほろぶとも ほろびずとても 何事ぞ
君は知らじな あきびとの 家のおきてに無かりけり
君死にたもうことなかれ すめらみことは 戦いに

君死にたまふことなかれ 写真
(2004年に開かれた堺市立文化館、与謝野晶子文芸館での「君死にたまふことなかれ」100年記念展から)

おおみずからは出でまさね かたみに人の血を流し
獣(けもの)の道に死ねよとは 死ぬるを人のほまれとは
大みこころの深ければ もとよりいかで思(おぼ)されん
ああおとうとよ 戦いに 君死にたもうことなかれ
……

 そして俊作は、おしんに言います。
 「おしん1人だけでも戦争に反対するんだ」

 今のテレビドラマで、ここまではっきりと反戦を訴えるのがあるのでしょうか。少なくとも36年前の1983年当時は、NHKのドラマは堂々と戦争反対を主張していました。

 昨年(2018年)は「明治維新150年」といって、戦前と戦後をいっしょにして持ち上げる空気が作られました。戦前の77年間は、日清戦争、日露戦争を経てアジア・太平洋戦争と戦争に次ぐ戦争の時代でした。

 「1人だけでも戦争に反対するんだ」と語った俊作の言うことを守ったのは、政党では日本共産党だけでした。310万人の日本人と2000万人以上のアジア・太平洋戦争の犠牲者の上に作られたのが憲法9条です。

 安倍9条改憲が強まる中、「おしん」の再放送を見ながら痛感しました。「9条を輝かせることがますます必要な時代になっているんだ」、と。

                 ◇

 この記事は、4月30日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
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「うたのある風景」 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/04/29 16:08

◎天皇の「代替わり」の儀式と憲法

 日本は10連休中です。4月30日に現天皇が退位し、5月1日に新天皇が即位します。天皇の代替わり儀式である退位礼正殿の儀と剣璽(けんじ)等承継の儀が30、1日に行われますが、朝日新聞(29日付)が、「代替わり儀式と政教分離」の記者解説を掲載しています。

 政教分離を定めた憲法から見て、代替わり儀式には問題があると鋭く指摘しています。その基本は、日本共産党中央委員会が1年前の18年3月22日に発表した「天皇の『代替わり』にともなう儀式に関する申し入れ」に通じるものです。

 記事で教えられたのは、「三種の神器」のことです。3種のうちの剣と璽(まが玉)が2つの儀式で使われます。皇居・御所に「剣璽の間」と呼ばれる所に安置されているといいます。

 鏡は、皇居の宮中三殿のうち天照大神がまつられている賢所に置かれているといいます。ただ、皇居に本体があるのは璽だけで、剣と鏡の本体は、熱田神宮(名古屋市)と伊勢神宮(三重県伊勢市)にそれぞれ「ご神体」としてまつられ、皇居にあるのは「形代(かたしろ)」と呼ばれる分身といいます。

80 朝日 代替わり儀式
(朝日新聞の「代替わり儀式と政教分離」の記事=29日付)
 
 『三種の神器』(戸谷学著、河出書房新社)によると、熱田神宮にまつられている草薙の剣と呼ばれる剣には、“実見”記録がいくつもあるといいます。代表的なものに江戸時代に書かれて『玉籤集裏書』があります。

 熱田の大宮司らが密かにご神体(剣)を見たという記録です。克明に描写し、長さ81~84㎝の長剣といいます。著者は両刃の伯銅剣と推測しています。しかも同書は、「見た者は呪われて死ぬぞ、と脅している」といいます。

 朝日の記事は、次のように指摘しています。

……
神話に由来し、本体は宗教施設にまつられている。そんなベールに包まれた神器が、国事行為に使われる。…国事行為にするのであれば、宗教色のある剣璽は使用しない。剣璽を使うのであれば、国事行為ではなく皇室行事として、国費を支出しない――。このどちらかを選ぶのが筋のはずだ。
 天皇を現人神(あらひとがみ)とする戦前の体制を支えたのが、国家と宗教が一体となる国家神道という仕組みだった。その反省にたって、憲法に政教分離規定が盛り込まれた。その苦い歴史をいま一度思い起こしつつ、象徴天皇にふさわしい代替わりの形を議論すべきだ。
……

 次に、日本共産党の「天皇の『代替わり』にともなう儀式に関する申し入れ」を掲載します。申し入れとは、「天皇の『代替わり』儀式等についての衆参両院議長にたいする申し入れ」のことを指しています。

……
 天皇の「代替わり」にともなう儀式に関する申し入れ
2018年3月22日 日本共産党中央委員会

 天皇の「代替わり」にともなう2019年の一連の儀式について、政府の式典準備委員会が基本方針をまとめようとしています。

 昨年、天皇退位特例法の制定を前に、衆参両院議長は、国会を構成する全ての政党会派の意見を聴取し、立法府としての対応を議論する機会をつくりました。これは、天皇退位の問題を党派的な争いにせず、できるかぎり各党の合意を得て対応をとりまとめようとする積極的なとりくみでした。

 「代替わり」にともなう儀式についても、政府が閣議決定等で一方的に決定するのではなく、国会や各党の主張・見解にも耳を傾け、できるかぎり各党間の合意を得るとともに、国民が合意できる内容にする努力がはかられるべきと考えます。

 日本共産党は、日本国憲法の全条項をまもる立場から、天皇の「代替わり」にともなう一連の儀式にあたっても、日本国憲法の原則――とくに国民主権と政教分離の原則を厳格にまもることが大切であると考え、以下の提案を行います。

 わが党の提案は、天皇制反対の立場ではなく、憲法の原則にふさわしい行事にすべきという立場からのものです。

(1)
 新たな天皇の即位にあたって、政府は1989年から90年にかけて行われた「平成の代替わり」の儀式を踏襲するとしています。ここには日本国憲法にてらして重大な問題があります。

 それは前回の儀式が、明治憲法下の絶対主義的天皇制のもとで公布された旧皇室典範と登極令を踏襲したものであったということです。

 旧皇室典範(1889年=明治22年制定)は、「践祚(せんそ)即位」の章で、「天皇崩ずるときは皇嗣(こうし)即ち践祚し、祖宗の神器を承(う)く」として、「践祚即位」と「三種の神器」の承継が一体のものとされました。

 登極令(1909年=明治42年)は、明治天皇が死去する3年前に、明治政府が天皇の「代替わり」を想定して、天皇主権と国家神道にもとづいて「践祚」(皇位継承)、「改元」、「即位礼」、「大嘗祭」など儀式のあり方を定めたものでした。

 いずれも、天皇神格化と国家神道を徹底する立場から、明治期につくられたものです。そして、いずれも、現行憲法のもとで廃止・失効しているものです。

政府は、前回の「代替わり」の儀式について、「憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したもの」と説明しましたが、実際に行われた儀式は、国民主権と政教分離という憲法の原則に反するものとなりました。またそれは、明治期につくられたものであり、「皇室の伝統」とも言えないものでした。

 今回の天皇の「代替わり」にさいして、このような儀式を繰り返すべきではありません。儀式のあり方を、現行憲法の精神に即して、全体として見直すべきです。

修 熱田神宮
(熱田神宮=iPhoneのマップから)

(2)
 とりわけ、前回の「代替わり」で行われた以下の国事行為や儀式は、明らかに日本国憲法の原則――国民主権と政教分離の原則に反するものであり、根本的な見直しが必要だと考えます。

〇「剣璽等承継の儀」(国事行為として行われた)は、登極令にあった「剣璽渡御(とぎょ)の儀」を、ほぼそのまま再現し、皇位のあかしとされる「三種の神器」を構成する剣・璽(勾玉)と、「国璽」・「御璽」を、新しい天皇に引き継ぐ儀式として行われました。「三種の神器」は、『古事記』や『日本書記』にのべられた神話で、天照大神が孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に、地上を統治せよと命じて高天原から下ろしたさいに授けたとされるものです。

 現行憲法は、天皇の地位について、「主権の存する国民の総意に基づく」としています。天皇の地位は、主権者国民の総意にもとづくものであり、「三種の神器」の「承継」をもって天皇の「代替わり」のあかしとする儀式を国事行為として行うことは、憲法の国民主権の原則と両立しません。また、きわめて宗教色の濃いこうした儀式を国事行為として行うことは、憲法の政教分離の原則とも相いれません。

 それは、日本国憲法のもとで制定された現在の皇室典範では、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」(第4条)とだけのべられ、旧典範にあった「三種の神器」を受け継ぐことを意味する「践祚」という言葉も、「神器」という用語も、ともに削除されたことにも示されています。

「三種の神器」を、天皇家が家宝として大切にあつかい、代々受け継いでいくことを否定するものではありませんが、それは天皇家の私的行為として行うべきであり、国事行為とすべきではありません。

 前回の「剣璽等承継の儀」では、皇族の出席者は男性皇族だけとされ、新皇后を含めて、女性皇族は排除されました。こういう問題が生じたのは、登極令で「剣璽渡御の儀」の出席者を皇太子、皇太孫、親王などの皇位継承権を持つ男性皇族に限定し、それを踏襲したからにほかなりません。ここにも「剣璽等承継の儀」を国事行為とすることの矛盾、時代錯誤があらわれていることを、指摘しなければなりません。

〇「即位後朝見の儀」(国事行為として行われた)は、即位した新天皇が、即位後初めて公式に三権の長など国民を代表する人びとと会う儀式とされています。

 しかし、「朝見」とは、臣下(家来)が宮中に参上して天子に拝謁することを意味します。実際の儀式のあり方も、天皇の「お言葉」に対して、首相が、「最善の努力を尽くすことをお誓い申し上げます」と「奉答文」を読み上げるなど、憲法の国民主権の原則にそぐわない内容となりました。

 こうした儀式を国事行為として繰り返すべきではありません。

〇国事行為として行われた「即位の礼」の一連の儀式のなかでも、とくに「即位礼正殿の儀」は、大きな問題があります。

 前回の「即位礼正殿の儀」は、即位を公に宣明するとともに内外の代表が即位を祝う儀式として行われました。「神話」にもとづいてつくられた、神によって天皇の地位が与えられたことを示す「高御座」(たかみくら)と呼ばれる玉座から天皇が言葉をのべ、その下から内閣総理大臣が祝いの言葉をのべて万歳三唱が行われました。

 しかも、「即位の礼」は、徹頭徹尾、神道行事である「大嘗祭」と一体に行われました。昭和天皇の死去から1年10カ月も経ってから「即位の礼」と「大嘗祭」が続けて行われたことにも、これらが一体不可分であることが示されています。

こうした時期に行われたことは、登極令で、「大嘗祭」は、秋冬の間に「即位の礼」に続けて行うという規定にのっとったものとしか説明がつきません。そのために、天皇の即位から「即位の礼」まで長い期間をあけるというきわめて不自然・不合理なものとなっているのです。

 こうした儀式は、憲法の国民主権、政教分離の原則とは両立せず、国事行為にふさわしくありません。

〇「大嘗祭」そのものについていえば、天皇が神と一体になり、そのことによって民を支配していく権威を身につける儀式として古来より位置づけられてきたものです。

 前回は、宗教上の儀式と見られることなどから「国事行為として行うことは困難」(1989年12月21日、閣議口頭了解)とはされましたが、事実上の国家的行事として多額の公費(宮廷費)がつぎ込まれました。こうしたあり方は、国民主権の原則にも、政教分離の原則にも明らかに反しています。

 天皇の「代替わり」にともなう儀式は、憲法にもとづく国民主権と政教分離の原則にかなった新しいやり方をつくりだすべきです。

修 伊勢神宮
(伊勢神宮=iPhoneのマップから)

(3)
 天皇の「代替わり」にともなう儀式の問題は、国家機関である天皇の即位にかかわる重要な問題であり、「国権の最高機関」としての国会を構成する全ての政党会派による十分な議論の機会がもたれるべきです。

 この点で、「平成の代替わり」と今回の「代替わり」は、条件が大きく異なっています。「平成の代替わり」の際には、昭和天皇の病状などを理由に、国会議員への説明や答弁が事実上拒否されました。

その結果、国会をふくめ、「代替わり」をめぐる開かれた議論はいっさいおこなわれないまま、政府内での秘密裡の検討によって一連の儀式が決定されました。登極令にそった「剣璽等承継の儀」や「即位後朝見の儀」の内容が明らかになったのは、昭和天皇が死去した直後でした。

 今回は前回とは事情が異なり、昨年成立した天皇退位特例法の施行としておこなわれるものであり、退位・即位までには1年以上の十分な時間があり、その間、現行憲法にふさわしい天皇即位のあり方を国民的に議論できる条件があります。

 憲法にのっとった儀式はどうあるべきなのかについて、国会の全ての政党会派の意見を反映し、国民的な議論により合意を形成する努力を行うことを強く求めます。
……
その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/04/29 14:55

◎野党共闘を評価 メーデーで連合・神津会長

 トヨタ労組が加盟する連合は4月27日、東京・代々木公園で第90回メーデー中央大会を開き、同連合発表で約3万7000人が参加した。メーデーは、5月1日だが、連合は大型連休中の開催を避け、4月末に開いている。全労連は5月1日に開く。

 会場では、「90」と書いたうちわを労働者たちが持った。トヨタ労連や全本田労連、日産労連など自動車総連傘下の組合旗が立った。

 神津里季生会長が、「働き方改革を、過労死、過労自殺根絶を第1歩として、すべての働く者の働き方改革としていこう」とあいさつ。7月の参院選について、「立民や国民民主を中心とした野党の力合わせがようやく新しいステージに向かい始めた」と野党共闘を評価した。

30 2019連合メーデー


 前日の26日には、立憲民主党の枝野幸男代表と日本共産党の志位和夫委員長が会談。安倍政権打倒をめざす野党連携の強化について、①参院選で32ある1人区で野党一本化にむけた協議を加速し、連休明けの早い時期に決着をめざすこと、②その上で、早期の解散・総選挙に備えて、衆議院小選挙区で与野党が競り合っている選挙区を中心に一本化の協議を開始すること―で合意している。

 3年前の参院選では、民進=当時=、共産、社民、生活の野党4党は、安倍政権が強行した安保法制(戦争法)の廃止と立憲主義を守ろう、と全国32の1人区で野党統一候補を擁立。福井県、鹿児島県では地方連合事務局長が野党統一候補になり、香川県では日本共産党の候補が野党統一候補になった。

 その結果、6年前の参院選では野党がわずか2選挙区しか勝利できなかったが、11選挙区で勝利する成果をあげ、神津会長は「一定効果があった」と評価した。

 労働組合、労働者が安倍政権打倒をめざして野党共闘をすすめていくことがいよいよ重要になっている。
労働組合 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/04/28 17:00

◎電機労働者が政策提言『電機産業がひらく明るい未来』

 日立製作所やパナソニックなど電機産業で働く労働者やOB、研究者らがまとめた電機産業政策提言『電機産業がひらく明るい未来』(2018年6月出版)は、電機産業にとどまらず、産業・企業のあり方、そこでの働き方を考える上で多くの示唆を与えてくれます。

 電機労働者懇談会と電機・情報ユニオンがまとめた力作です。イラスト、図表、写真付きのオールカラー60ページで、とっつきやすく、読みやすくなっています。

 政策提言ではまず、電気は私たちの暮らしにとって必要不可欠のもの、というそもそもから入っていきます。電球、モーター、テレビ、コンピューターなどの発明で人類の文明を支えてきたことを明らかにします。

 その電機産業が日本で急速に発展し、日立などの企業が世界を席巻するまでになりましたが、バブル経済が崩壊した1990年代以降、後退期に入ります。テレビ、半導体など事業の撤退や縮小、海外資本への売却…。

 電機製品のコモディテイ化などとともに、大きな問題として経営判断の誤りをあげています。リストラによる大量の人員削減で技術を衰退させるとともに、海外に技術を流失させたこと。社内教育の縮小、過重労働、非正規労働への置き換えなどによる技術の衰退をあげています。

 また、「選択と集中」の経営で、黒字部門でも次々と切り離し、利益第1主義によって企業の潜在的、多様な可能性を失わせたこと。シャープに代表されるように、海外の受託生産企業に技術移転を行い、製造を委託した結果、委託企業が強力なライバルとして君臨するようになったこと――などをあげています。

 政策提言では、日本の電機産業の現状を分析した上で、基本的な観点を提起しています。企業、産業は何のためにあるのか、技術は人を幸せにするのか、国際労働基準とは何か、21世紀の労働組合の役割とは…などです。

20 電機産業がひらく明るい未来


 その上で、次の4つを提言しています。

① 雇用と地域経済を守り、人々の社会参加の機会と、生活を支える手段を確保する。
② 人と技術を大切にして、多様な個人がやりがいを持って能力を発揮できる労働環境を構築する。
③ 平和産業に注力し、原発ゼロを推進して、私たちの仕事を通じて、平和で豊かな環境をつくる。
④ 国際労働基準を遵守して、グローバルなルールに則り、人権と産業の発展を両立する。

 私たちが働くトヨタ自動車でも、世界の自動車産業が米IT企業なども巻き込んだ「CASE」(コネクティビティー<接続性>、オートノマス<自動運転>、シェアード<共有>、エレクトリック<電動化>)と呼ばれる「100年に一度の大変革の時代」(豊田章男社長)に、「トヨタが生き抜くことができるのか、それとも終焉をむかえるのか」(「同」)と危機感を煽られています。

 電機産業の政策提言は、そうしたなかで、産業・企業のあり方、私たちの生き方、働き方を考える上で多くのヒントを与えてくれるでしょう。
その他 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/04/27 11:57

◎日立が御三家の「日立化成」を売却へ

 日立製作所の会長で、日本経団連の中西宏明会長が「終身雇用なんてもう守れない」と語ったことを、このブログ「トヨタで生きる」でアップ(4月23日)したばかりです。

 その日立製作所がグループ会社で、日立金属などとともに“御三家”と呼ばれた日立化成を売却しようとしていることが明らかになりました。日経新聞が4月25、26日付で報道しています。

 買収先として米大手ファンドなどの名前が上がっています。売却となれば、リストラがふくまれることは必定であり、中西会長の語るように「終身雇用なんてもう守れない」事態が起きようとしています。

 日立化成は、日立製作所から分離・独立し、自動車部品の摩擦材ディスクブレーキパッドや産業用蓄電池などを生産しています。18年3月期では232憶円の営業利益をあげています。

修 日立化成 製品
(日立化成の主力製品の自動車部品の摩擦材ディスクブレーキパッド=同社のホームページから)

 「2018中期経営計画」では、ROE(自己資本利益率)を7・0%上げている優良企業です。そうした企業を日立製作所は、脱「製造業」から「デジタル企業」へめざすために売却しようというのです。

 日立製作所は、原子力発電からコンピューター、テレビなど家電までを扱う総合電機のトップとして日本の製造業の中核を担ってきました。2008年のリーマン・ショックで7873憶円の赤字を出しました。

 それ以後は、「集中と選択」などとして、儲からない部門を次々と本体から切り離して、売却。その一方で儲かる企業を買収するなどして利益を確保してきました。

日立本社
(東京駅前の日立製作所本社が入るビル=左端)

 日立関連労働者懇談会が会社門前で配布しているビラ(2018年11・12月号、第229号)によると、2011~18年までの8年間で日立関連でのリストラで約4万8000人も減らされ17万人弱になっています。

 一方、内部留保は約8400憶円積み増しし、3兆2536億円になっています。中西会長は、日立製作所で終身雇用をとうの昔に葬り去っていたのです。それを経団連の立場から他の産業・企業にも波及させようというのです。
日本経団連 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/04/26 11:20

◎テロ対策施設未完成なら 規制委が原発停止求める

 3年前の2016年5月8日(日)、日本共産党豊田市後援会は、恒例のバスツアーに出かけた。福井県の若狭湾に広がる三方五湖と関西電力美浜原子力発電所3号機(美浜町)を訪ねる旅で、バス2台で83人が参加した。

 その美浜原発3号機は、まだ再稼働していないが、テロ対策の施設を2021年10月までに作らなければならないのに1年半も遅れており、再稼働は施設完成までできなくなるという。

関電 美浜原発
(関西電力美浜原発=福井県美浜町)

 原子力規制委員会が4月24日の定例会合で、福島第一原発事故後に作られた新規制基準で、設置が義務づけられている原発のテロ対策施設の工事が期限までに完成しなかった場合、運転中の原発は停止を求めること、期限の延長は行わないことを確認したからである。

 若狭湾には“原発銀座”と呼ばれるほど関電などの原発が集中しているが、再稼働した関電高浜3号機は20年8月に、同4号機は同10月に原発は停止に追い込まれる見通しという。

 テロ対策施設とは、正式に「特定重大事故等対処施設」といい、図のように故意により航空機が原子炉建屋に衝突させた場合、施設から原子炉格納容器の破損を防止するためのものである。

 原子炉建物から、たとえば100m離し、施設に設けられた緊急時制御室から原子炉に注水するなどの対応をするもの。ドイツなどでは、すでに設けられているという。

特定重大事故
(原子力規制委の資料から)

 原発の中枢機能を集めた設備をもう1つ作るもので、原発1基当たり数百億円以上かかるという。大規模な工事が必要なことから、再稼働に必要な安全対策工事の審査を終えてから5年以内に設置しないと新基準に適合しなくなり、原子力規制委は運転停止を命じることができる。

 原子力規制委が17日に開いた電力会社との意見交換会では、関西、九州、四国の3電力会社の原発で、期限までに工事が完成しない見通しが示された。電力側は、当初は工事に要する期間を見通せなかったと釈明。工事が大規模かつ高難度になり「状況の変化」が生じたとし、規制委に対応を求めていた。

 定例会合で、規制委の更田豊志委員長は「参酌にたるような状況変化があったと考えられない」とのべ、「基準に不適合状態となった施設の運用を看過することはできない」と指摘した。

 最も早く期限を迎えるのは、九州電力川内原発1号機の2020年3月で、同2号機は同5月である。再稼働していた川内原発は、運転停止に追い込まれる見通しだ。

 最悪のレベル7(深刻な事故)の事故となった福島第1原発事故からわかるように、原発は水力発電や火力発電と違い、一度事故を起こしたなら放射線の放出で取り返しのつかない事故となる。原子力規制委が電力各社の言い訳を参酌しなかったのは当然だ。
原発ゼロへ | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/04/25 16:23

◎国民民主党の古本衆院議員が靖国神社参拝?

 「超党派国会議員の会71人 靖国神社に参拝」――4月23日昼のNHKニュースを聞いていましたが、「また自民党議員が靖国参拝か」という思いでした。ところが、「国民民主党の古本税制調査会長」という名前が出てきてドキッとしました。

 「国民の古本議員?」――衆院愛知県第11区(豊田市、みよし市)の古本伸一郎衆院議員のことではないか! トヨタ自動車に入社してからトヨタ労組の推薦で衆院議員を6回務めています。

修 靖国参拝 NHK
(靖国神社に参拝する国会議員=4月23日、NHKから)

 「超党派国会議員の会」といいますが、ほとんどが自民党です。それに国民民主党から参加して靖国神社に参拝とは、信じられない思いです。次は、NHKニュースです。

……
 「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は、毎年、春と秋の例大祭と、8月15日の「終戦の日」にあわせて東京九段の靖国神社に参拝しています。

 23日は、会長を務める自民党の尾辻元参議院副議長や、加藤総務会長のほか、国民民主党の古本税制調査会長や日本維新の会の東総務会長、それに希望の党の中山恭子元拉致問題担当大臣ら71人が、午前8時に靖国神社の本殿に昇殿し、そろって参拝しました。

 安倍内閣からは衛藤総理大臣補佐官や佐藤外務副大臣、それに山田防衛政務官らが参拝しました。
……

 NHKは、その上で、「韓国外務省は報道官の論評を発表しました。論評では『日本政府と国会の指導者たちが侵略戦争を美化している靖国神社を再び参拝し、供え物を奉納したことに深い失望と遺憾の意を表する』としています」と伝えました。

靖国神社
(靖国神社)

 靖国神社は、中国や朝鮮などへの侵略戦争をすすめたA級戦犯を合祀しているだけではなく、侵略戦争を今なお“自存自衛の戦争”だったと賛美する特殊な神社です。

 安倍首相は、第2次内閣発足から満1年となる2013年12月26日に参拝し、中国や韓国などから厳しい批判を受けたために、それ以降は参拝できなくなっています。

 そうしたなかで、国民民主党の古本衆院議員が自民党議員とともにいっしょに参拝したということになれば、いったい何を考えているのでしょうか? 信じられないことです。
戦争と平和 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/04/24 21:06

◎「終身雇用なんてもう守れない」 経団連・中西会長

 日本経団連の中西宏明会長は4月22日、「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうに(大学側と)お互いに理解が進んでいるので」などと語り、財界として終身雇用を放棄する考えを示しました。

 また中西会長は、「人生100年時代に、一生一つの会社で働き続けるという考えから企業も学生も変わってきている」との考えを示しました。

修 中西会長 終身雇用2
(日テレのニュースから)

 終身雇用は、戦後の日本の雇用システムの1つといわれ、高度経済成長を支えた柱ともいわれています。実際には、中西会長が社長を務める日立製作所では、“黒字リストラ”と呼ばれる人減らし「合理化」をすすめています。

 ビラは、連合加盟の電機連合とは別の「電機・情報ユニオン」のものです。同ユニオンは、非正規労働者の組織化や正規の労働者のリストラの相談にのっています。

 ビラにあるように電機情報関連産業では、2011年から35万人の労働者のリストラが続いています。なかでも日立は、「営業利益率5%に満たない事業は撤退する」 として、神奈川県では戸塚事業所、HGST小田原事業所が閉鎖されました。

 さらに、日立関連の日立国際電気の半導体製造装置事業と日立工機の売却を発表。日立工機は、米投資ファンドに売却されました。黒字でも、営業利益率5%以下なら売却し、労働者をリストラするというのです。

修 ビラ 日立の黒字リストラ

 そうした“黒字リストラ”を強行してきたのが、中西氏が社長、会長を務めてきた日立です。この日立方式を、「終身雇用なんてもう守れない」と言って経団連として公然とすすめようというものです。

 電機連合は、自動車労連と並ぶ民間大単産で70万人を超えていましたが、今は56万人に減少しています。日立などのリストラとたたかわなかったからです。

 「電機・情報ユニオン」は、ビラにあるように「退職強要をはね返す5か条」をまとめ、労働者が勇気をもってリストラをはね返すよう激励しています。実際、多くの労働者の雇用を守っています。
解雇・雇い止め | コメント(5) | トラックバック(0) | 2019/04/23 17:02

◎辺野古ノー 沖縄3区補選で示した民意

 衆院沖縄3区の補選が4月21日投開票され、名護市辺野古への米軍新基地ノーを訴えた「オール沖縄」の屋良朝博氏が、自民党の島尻安伊子氏=公明党、日本維新の会推薦=を破って当選しました。

 補選は、玉城デニー氏の知事選出馬のための議員辞職に伴うもの。3区には名護市がふくまれています。昨年9月の沖縄知事選、今年2月の県民投票に続いて沖縄の民意は辺野古への新基地建設ノーを改めて示しました。安倍政権が強権を使って土砂を投入し続ける姿勢に、県民が怒りを示しました。

 屋良朝博  7万7156票
 島尻安伊子 5万9428票

nhk 沖縄3区補選
(当選した屋良朝博氏=左=と玉城デニー沖縄県知事=右=、NHKテレビから)

 屋良氏は、沖縄タイムス社会部長などを歴任したジャーナリスト。選挙戦で、新基地建設の断念と同県宜野湾市の米軍普天間基地の早期閉鎖・返還を日米両政府に強く迫ると繰り返し訴えました。

 勝利の後、「辺野古は解決策にならない。そろそろ別のアプローチを考えるのが現実的だ。沖縄の民意がまた示された」と強調しました。

 駆け付けた玉城知事は、屋良氏の勝利は「沖縄の民意を政府にしっかり伝え、対話による解決を続けてほしいとのエールでもある。日米両政府と沖縄の協議で、解決策を探っていくのが一番の解決策だ」と語りました。

 元沖縄北方相の島尻氏は、辺野古新基地建設について、安倍政権の強権を擁護する形で「普天間の早期返還のためにはやむを得ない」と明言していました。軟弱地盤も明らかになり、辺野古への新基地建設を「唯一の解決策」という安倍政権の行き詰まりを示しています。

沖縄 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/04/22 11:43

◎「令和」考案者の中西進氏 平和憲法守れ

 5月1日から新元号「令和」になります。その考案者が『万葉集』研究の第一人者といわれる国文学者の中西進氏(1929年生まれ)といわれています。

 「令和」は、『万葉集』巻5の「梅花の宴」の序文から採用したものです。奈良時代、大宰府(福岡県)の長官だった大伴旅人が、梅をめでる宴を催し、そこに集まった官人たちが32首をつくりました。

 「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫す」

 中西氏は、日本ペンクラブ編の『憲法についていま私が考えること』(KADOKAWA、2018年9月発行)に「象徴天皇の祈り・ノットペリッシュ」を寄せています。

 平成天皇(今上天皇)・皇后が、アジア・太平洋戦争で亡くなった兵士たちの慰霊の旅を30年間続けてきたことを高く評価しています。

20 憲法についていま私が考えること


……
 とにかく日本は数年の間にアジア・太平洋の広域に、水漬く屍、草むす屍を残した。その数3,100,000人。一人が五人の家族を持っていたとして、優に当時の日本の人口の一割を超える人びとを悲嘆の底に陥れたことになる。

 その者たちは「天皇陛下万歳」といって死ねと強制された。今上陛下はそのことを幼少年中に体験しているのであり、当の天皇を継いで皇位についたのだから、彼ら死者たちにどう対応するかが、今上陛下の原点になってしまった。
 この原点の悲しみはいかばかりか。
……

 この中で、「水漬く屍、草むす屍」と表現しているのは、『万葉集』の巻18の4094番に出てくる大伴家持の歌です。

 海行ゆかば 水漬く屍
 山行ゆかば 草生す屍
 大君の 辺へこそ死なめ
 顧みは せじ

30 万葉集
(中西進氏が全訳注をしてまとめた『万葉集』、講談社文庫)

 中西氏は、朝日新聞のインタビュー(4月20日付)で、「(戦前)『海行かば』は曲を付けられ、天皇のために死ぬことを美化する目的で使われました」との問いにこう答えています。

……
 「二度とあってはならないことだったと思います。国家主義的・軍国主義的な便宜のために、権力者に古典が利用されてしまった例です」

 「戦前には日本を『神の国』と特別視する風潮があり、戦争は『聖戦』と正当化されました。フェイクでしたが、そうした『日本的特性』を示したい勢力に万葉集は利用されたのです。古典を利用しようとする勢力はいまもあります」
……

 中西氏は、「古典を利用しようとする勢力はいまもあります」と明快に答えています。

 さらに、日本ペンクラブに寄せた文章では、次のように平和憲法を守ることを強く主張しています。

……
 もう平和憲法は時代とそぐわないなどと勝手にきめつけて、これを放棄すれば、3,100,000人みな残酷な死者(perish)、無駄死にの死者(die in vain)として広漠たるアジア・太平洋の全域に横たわりつづけるままになるのだ。

 それでいいのか。日本人はみな人間失格者となるのか。

 陛下お一人にのみお任せしておこうというのか。
 大地に横たわる無残な亡霊から戦死者を救い出すたった1つの手段が、平和日本の建設であるという、明白な条理を示すものが現在の「日本国憲法」である。
…… 

 安倍政権の9条改憲に中西氏はきっぱりと反対しているのです。元号は、多くの国民が慣習的に使用しています。しかし、それは国によって強制されてはならないはずです。「令和」の考案者といわれる中西氏の深い洞察に感銘を受けました。
戦争と平和 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/04/21 19:00
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