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プリウスの生産はつらいよ―その13

【土曜日】
 次の日曜日は、全社駅伝大会の壮行会だ。部の代表で走る選手たちを応援する。部ぐるみの行事として、「全員の方に参加していただきたい」とGL(組長)と労働組合、職場の行事、ボランティアなどの活動をする「ふれあい」の幹事がミーティングで訴える。

 駅伝の応援のための当番表がつくられている。「○月○日は○係」というように。仕事が終わった後、工場のグラウンドまで車で行く。2直(遅番、午前1時終業)だと、夜中の2時や3時になる。

 寒くて鼻水をたらしながら、応援する。上司を探し、「自分もきたョ」とのアピールも忘れずに。選手たちも大変だ。練習が終わり、厚生センターの風呂で汗を流してから帰る。2直だと午前5時をすぎることも、しばしばの様子…。

 納得して走っているとはいえ、過労死しないようにね。ちょっと心配。

モーニング

(練習の後にはコーヒーを)
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/20 08:34

プリウスの生産はつらいよ―その12

【金曜日】
 堤工場の門前で、10人くらいが立って交通安全の「訴え」(立哨)を3日間連続でやっていた。横断幕を持ち、黄色い帽子をかぶり、門前の歩道で「訴え」る。

 堤工場の従業員の交通事故が続いた。「非常事態」であるという。その対策として、「訴え」や交通安全ミーティング行われる。自動車メーカーであり、交通安全を呼びかけるのは大切なことだ。「しかし…」と思う。

 交通安全ミーティングは、30分の残業が付けられる「Iタイム」の時間で行われるが、「訴え」は「自主活動」というので無償扱いである。しかも、3層会(職制会)や交通安全委員会、労働組合、職場の行事やボランティアなどの活動をする「ふれあい」など、各団体ごとに行われる。

 通常は、長期連休前や交通安全週間などで行うが、自分たちの部で事故者を出せば独自に行われる。「自主参加」になっているが、その組織の役員たちはぬけられない。EX(エキスパート、班長級)会でやれば、役員以外のEXはその前を知らん顔して通れるわけがない。

 「ふれあい」の清掃ボランティアでは、工場の門を出ると、上司がゴミ拾いの道具を手渡す。終了後は、エコポイント・シールをくれる。参加確認ができる仕組みになっている。

 ほかにも、いろんなボランティア活動や駅伝の応援、エコ活動などたくさんの「自主活動」がある。「創意くふう」も自主活動、「自主」「自主」「自主」…トヨタマンは、「自主」活動でしばられている。
 
プリウスも走る豊田市の道路

(豊田市内。プリウスも走る)
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/19 23:17

プリウスの生産はつらいよ―その11

【木曜日】
 トヨタの現場作業は、ギリギリのタクト(1台の生産時間)で設定されている。不良品が出たり、マシントラブルがあれば、当然、作業遅れになる。自分たちは、なんとかラインを止めずに間に合わせようとする。

 今年1~2月、トヨタ始まって以来のリコール騒動。プリウスもその対象になった。品質問題がいっそう厳しくなった。それ以後、「異常があったらラインを止めよ」「止める勇気を持て」と上司(会社)から指示があった。

 自分たちは、あまりの変わりように、とまどいながら、「止めていいんですか?」―と。ところが止めると、♪草競馬―など大音量のメロディーが工程中に響きわたる。作業遅れを回復し、起動させるまで鳴り続ける。

 「あいつのせいで止まっているんだ」といわんばかりだ。メインラインを止めれば、数十人の作業が中断する。そのことを知っているから、何とか止めずに、間に合わせようとする。

無理をしてケガをしたりすると、「お前、なんで止めないんだ」と責任を追及される。「止めよ!」、「止めたら、迷惑かける」、「止めよ!」「止めたら問題が起きる」―今日も悩みながら仕事する。「余裕時間が欲しいよ!」

生産ラインの模型

(生産ラインの模型)
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/18 08:09

プリウスの生産はつらいよ―その10

【水曜日】
 月曜日は、「創意くふう」提案の提出日だった。うっかり忘れていた。チームリーダー(TL)は、「明日までに提出して下さい」「ネタがなかったらいって下さい」とやさしい。これまでと大きく変わった。

トヨタのカイゼン活動には、1人で行う「創意くふう」提案と数人の小集団で行う「QCサークル」活動がある。上司が新入社員に、こう話していた。「『QCサークル』活動と『創意くふう』提案は、トヨタに入った以上、のがれられないものだ」

「自主活動」で、“仕事ではない”といわれてきた。だから、サービス残業が当然とされてきた。2年ほど前は、「昼休みに書け!」とTLから命令された人もいた。高圧的な態度だった。それが様変わりした。

夫の過労死を名古屋地裁で認定させた(07年11月)、内野博子さんの運動の影響が大きい。内野さんの夫、健一さんは自分と同じ堤工場で働いていた。健一さんは、仕事でサービス残業をしなければならなかった。その上に、「QCサークル」活動や「創意くふう」提案などもサービス残業になっていた。

博子さんは、「自主活動」といわれたその実態を裁判で明らかした。その結果、「QCサークル」活動や「創意くふう」提案が強制的でなくなった。1人の妻が声を上げたことがトヨタを動かした。ふたたび強制的にならないようにしなくちゃ。

99創意くふう
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/17 08:08

プリウスの生産はつらいよ―その9

 【火曜日】
午後3時45分、堤工場へ出勤。仕事は4時10分からだが、11月の日暮は早い。もうすぐうす暗くなる。この時期の2直(遅番)は、なにかわびしい。

昼休み―とはいっても遅番では、午後8時25分~9時10分までだが。パチンコの話にはずむ。Aさんが久しぶりに勝ったようだ。
「2~3万円を持っていかないと遊んだ気がしないよ」
「おれは30分で1カ月分の小遣いがなくなってしまった。泣きたいよ」

職場の同僚の平均的な小遣いは、3~5万くらい。ここからタバコ代、コーヒー代、会社の親睦会費などを払う。不規則な2交代制勤務でパチンコは、手っとり早い遊びだ。スロット機の一部が禁止された。長時間遊べるように1円パチンコも増えたという。

 小遣いを使い果たし、妻に「パチンコ代をくれ」とお願い?したのがB君だ。妻は、「ダメ、なにをいっているの! 残業代も減ったのに」と怒ったという。B君はしょんぼり―だったろう。

 「子どもが生まれて、小遣いはゼロになってしまったよ!」
 30代のC君は悲鳴をあげる。金がいる世代だから。自分も大変だった。「残業したい」という声が起きるのも無理はない。

ぱちんこ・スロット 140
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/16 08:27

プリウスの生産はつらいよ―その8

 【月曜日】
 今日から2直(遅番)。起きたのが午前7時。月曜日だけは、家族といっしょに朝食をとることができる。家族ともしばらく会えなくなる。なぜ? 遅番は、午後4時10分から午前1時まで。家に帰るのは午前1時半ころだ。午前様の帰宅である。

そぉーと玄関をあけ、しのび足でわが家に入る。妻のつくってくれたおかずをレンジで温める。そして、タイマーとにらめっこ! 5、4、3、2、!! レンジが、チーンと鳴る前にスイッチを切る。家族を起こさないためだ。ふとんにも、そーっと入る。

家族だって同じ。疲れて寝ているお父さんを起こさないようにと気遣う。“おはよう”も小さな声で。テレビの音が漏れないように…。自分が起きる午前10時ころには、家族はだれもいない。こうした生活が夜勤だ。

車は、深夜まで働いてつくらねばならないのか。昼間だけ生産すればいいのではないか。トヨタで夜勤が導入されたのは、1962年。それまでは、昼間だけの生産だった。自分が入社した時は、交代制が入っていた。

鉄鋼のように高炉の火が消せないから3交代制があるのは理解できる。車の生産には、そんな理由はない。家族や地域にも大きな影響を与える交代制勤務とは、いったい必要なのか?

電子レンジ
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/15 08:19

プリウスの生産はつらいよ―その7

 【日曜日】
 仕事から解放される日だ。身も心も軽くなる日。子どもたちも成人になり、それぞれの道を歩いている。妻も、子離れして自分のことに忙しい。自分は、好きな山登りや音楽で休日をすごすことが多い。

 友人と近くの公園で待ち合わせる。共通の趣味はギターの演奏。昼の弁当を持って午前11時集合。 ♪ブルースを奏でる。リードギターが自分、友人はサイドギター。へたながらも熱中する。時間がすぎるのを忘れる。1週間の仕事のストレスも…。気がつくと夕方近くになる。

 妻に頼まれていた家の補修のために、ホームセンターへ材料を買いに行く。日曜大工は、自分の仕事だ。プリウスをつくっているのに比べれば、なんてことない。仕事に違って、少しくらいの失敗で、妻から詰められることはないから。

 明日から2直(夜勤)。始業時間は、午後3時15分。目覚ましを気にすることはないから、すごく気が楽。テレビを見ながら、ついつい飲みすぎて深酒になる。

ビール3本
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/14 08:21

プリウスの生産はつらいよ―その6

【土曜日】
 朝、5時、目が覚める。うと、うと、ストーンと眠る。ハッとして電気をつける。5時30分。ウワァー。遅刻する! 待てよ、今日は土曜日だ! 休みだ!

 休みでも体がさめてしまう。長年の交代制勤務で体の時計がそうなっているのだろう。少しゆっくりとした気分になる。それでも6時になるともう眠れない。起きて朝飯の準備をする。家族もぱら、ぱら、と起き始める。土日は、ゆっくりしたい。

 プリウスの大増産で土曜日が休日出勤になったことがある。疲れが取れなかった。日曜日1日だけの休みで、月曜日からは夜勤の2直に入った。いくら休日出勤で手当てが入るとはいえ、体にきつい。

 しかし、職場の期間従業員の人は喜んでいた。いつ、契約期間満了で辞めさせられるかもしれない。日給は、9000円~1万300円だから、稼げるだけ、稼ぎたいという思いだ。「独身寮に1人でいるより、働いていた方がいいですよ」という。

 夕方からスポーツで思いっきり汗をかく。1週間の疲れ、ストレスが吹っ飛ぶ。小学生たちに教える立場だ。「コーチ!」「コーチ!」と呼んでくれる。喜々としたその様子に心がなごむ。

トヨタでは、心を病む人が増えている。いわゆるうつ病だ。トヨタ労組は「メンタルヘルスケア促進」を運動方針にかかげている。秒単位の仕事、品質管理…職場ではパチンコでストレス解消をする者が多い。スポーツは有効な手段だと思うが―。

夕焼け
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/13 07:39

プリウスの生産はつらいよ―その5

【金曜日】
 今日で1週間の仕事(1直=昼勤)も終わりだ。金曜日がくるとホッとした気分になる。ふと、期間従業員だったCさんのことを思う。リーマンショック(08年9月)で、契約満了という名で解雇された。

 故郷に帰ったが、50歳代では仕事がなく、電話をすると「首をくくりたい」と話していた。最近、やっと仕事がみつかった。働きつづけているのだろうか? 穏やかないい人だった。

 故郷の妻子に17万円を送金し、月4万円で生活していた。朝は、食パン2枚にインスタントコーヒー、夜の晩酌も安い発泡酒や焼酎だけだった。正月も帰省旅費が工面できないために、ガラーンとした独身寮にいた。

 Cさんは、職人気質の人だった。自分が「Cさん、不良品出ているよ」と指摘すると、「オレはちゃんとやっている」と返事。お互い口論になったものだ。それくらい仕事には真剣だった。

 そのCさん、ある時、こんな不満をもらした。「トヨタの上司は、人を使うのをしらん」。よく聞いてみると、「仕事をきちんと教えないで、責任を部下になすりつける」という。Cさんは、トヨタへ来る前、他の企業では部下に教える立場だった。それだけに、仕事にたいしては厳しい。

 Cさんのような、きまじめな人が社員と同じラインでプリウス(旧型)を生産していたのだ。Cさんは3回社員登用試験を受けたが、だめだった。Cさんの人生を狂わせた解雇。トヨタは、こうした人にやさしくできないのか?

コーヒーとパン2枚
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/12 08:24

プリウスの生産はつらいよ―その4

【木曜日】 先日、知り合いがプリウスに乗って訪ねてきた。「いい車だよ」といわれ、つくっている自分としてはいい気分だった。プリウスのリコール問題があっただけに、「プリウスを分解すれば、部品に自分の名前が書いてありことがわかりますよ」

 知り合いは驚いた。「えっ、トヨタはそこまでするの!」
 トヨタは、労働者の個人責任を明らかにするために、生産にかかわった部品に名前を書いておくのだ。

 プリウスがリコールされたのは今年2月。当初、新聞、テレビで報道されるだけで、よくわからなかった。部品に自分の名前を書くくらい、品質問題では頑張ってきてはずだ。

 豊田章男社長がアメリカの公聴会に呼ばれる事態になって、職場で緊急ミーティングが開かれた。上司は、「リコールを他人事と思わず、自分のこととして、品質・安全問題に取り組んでほしい」といった。

 自分は納得できなかった。プリウスの増産でラインタクトが6秒縮められ、余裕がなくなるなかでもみんな必死だった。会社幹部こそどうだったのか? 社長を先頭に「グローバル品質特別委員会」がつくられたという。現場の気持ちをわかってほしい。安全な車をお客さんに届けたい―みんな懸命に働いているんだ。

プリウスだ
プリさんの職場日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/11/11 08:22
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