FC2ブログ

◎20春闘妥結 「納得できたか?」の問いに「いいえ」が759人

 トヨタ労組の「評議会ニュース」(No1361、6月1日発行)が職場に配布されました。このなかで、7年ぶりのベアゼロに終わった20春闘についてのアンケート結果を伝えています。

 20春闘で、2兆5000億円もの営業利益を上げながら、ベアゼロだったトヨタは、日本製鉄のベアゼロはとともに、社会と労働界に衝撃を与えました。

 トヨタ労組の要求は、「賃金引き上げ・人への投資を合わせて、全組合員一人平均で10,100円」でした。昨年に続いて組合側がベア要求額を明らかにせず、定昇などを含めた総額でした。

 豊田章男社長の回答は、ベアゼロで総額は8600円でした。昨年より2100円も下がりました。

 年間一時金は、作年を0・2カ月分下回る6・5カ月分の組合要求に対し、夏130万円、冬112万円、合わせて242万円で、満額でした。

 執行部は、この回答で妥結しましたが、「納得できたか?」との質問に、「はい」と答えた組合員は1万7379人で96%、「いいえ」が759人で4%でした。

 議決機関の評議会では、執行部の妥結提案について、反対1、保留1でした。組合員にたずねると、759人、4%が納得できないと答えたように、職場段階では、やはり7年ぶりのベアゼロには納得できないという声が多くあることがわかります。

 また、アンケートからは20春闘で明らかになった「課題」も示しています。「要求案構築」に対しては、「改善分要求に対して、職場の声の吸い上げが不十分」「労使協の位置付けや議論テーマ内容の事前展開が希薄」の課題があるとしています。

 「改善分要求」とは、ベア分のことですが、執行部は今後、「意見の吸い上げ実施」をするとしています。21春闘での組合員の意見の吸い上げは、いっそう重要になるでしょう。

 労使協議会での交渉については、「賃金、一時金の交渉状況がわからない  (執行部が交渉してくれているという実感なし)」という厳しい意見が出されています。

トヨタイムズ
(20春闘の回答日のトヨタ社内報「トヨタイムズ」のwebから)

 会社は、「トヨタイムズ」や「労務ニュース」を通じて労使協議会の結果を伝えています。特に「トヨタイムズ」が創設されてからは、ネットで迅速に、映像、音声も交えて、しかも公開しています。

 執行部は、「交渉状況について、職場役員を通じて、これまで以上に状況伝達できるよう、今期中を目処に検討」するとしています。「トヨタイムズ」の速報性、臨場感にまさるものが期待されるでしょう。
スポンサーサイト



20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/06/08 15:04

◎20春闘 執行部の妥結提案を可決 評議会

 ベアゼロに終わったトヨタの20春闘について、トヨタ労組は3月31日、評議会を開き、執行部の妥結提案について、反対1、保留1で可決しました。

 組合は、ベア(賃上げ)回答額を非公表にする会社に沿って、ベア要求額を非公表にしました。ベアを含む総額1万100円を要求しました。しかも、「頑張った人に厚く配分」するとして、会社の人事評価を基にしたベア配分を組合が求めました。

 この要求は、西野勝義委員長が外部から「成果主義を組合側が先導するのか」「格差ベア」「それでも組合か」などの“誤解”があったと語ったほど、問題を残しました。

 組合は、長年続けてきた工場ごとの春闘集会を中止しました。赤旗を立て、掛け合いコールをしてきた春闘の風景が消えました。ところが回答は総額で前年より2100円下回る8600円で、ベアゼロでした。

 13春闘以来、7年ぶりのベアゼロでした。3月期決算の見通しで2兆5000億円もの営業利益の見通しのトヨタのベアゼロは、トヨタだけではなく日本国中から驚きをもって迎えられました。

20春闘第3回労使協議会
(トヨタ自動車の春闘史上、異例のテーブルを3角形して開かれた20春闘労使協議会=「トヨタイムズ」から)

 評議会で保留をした評議員は、「改善分ゼロはすんなりと受け入れにくい」などと、その理由をのべました。多くの組合員の共通の思いではないでしょうか。

 「評議会ニュース」で西野委員長は、「厳しい回答となり、昨年の春以降、自ら考え、行動を変えてきている組合員 のことを思うと、大変残念」とのメッセージを伝えています。

 その上で、豊田章男社長が回答日にのべた「これからの競争の厳しさを考えれば、既に高い賃金をこのまま上げ続けることは、競争力を失うことになる」「我々の雇用を絶対に守り抜く」――を引用し、「会社の強い思い・覚悟を重く受け止める」とのべました。

そして、「来期以降の『賃金の考え方』については、執行部で議論し、検討していく」としています。今から18年前の2002年春闘でも、トヨタは1兆円もの営業利益をあげているのに、当時の奥田碩会長は、ベアゼロを回答しました。

それから2013春闘までの12年間、ベアゼロが9回もありました。長い“春闘冬の時代”を打ち破ったのが14春闘のベア2700円でした。それから19春闘までの6年間、会社のベア非公表があったものの、ベアは獲得していました。

 21春闘の「賃金の考え方」を検討する場合、こうしたトヨタの約20年の春闘を総括し、そこから教訓を汲み取ることが必要ではないでしょうか。

 トヨタ労組は、春闘のことを「ゆめW」といいます。「ゆめ…ゆたかさ・ゆとりをめざそう」「W…Wage(賃金)とWorkig Time(労働時間)」からとっているもので、1989年(平成元年)から使っています。

 賃金を上げ、労働時間を短くする――組合員の切実な願いを込めたものですが、時短要求は2000年代に入ると消えました。20春闘のように賃上げが消えると「ゆめW」がなくなってしまいます。「来期以降の『賃金の考え方』」については、職場から真剣に議論しようではありませんか。

20春闘 | 2020/04/13 16:06

◎連合・神津会長がベアゼロのトヨタ批判

 トヨタ労組の上部団体で労働組合の全国組織、連合は3月13日、20春闘で回答があった組合の集計結果を発表しました。第1回目の集計ですが、ベアと定期昇給を合わせた賃上げ率は平均1・91%で、昨年の1回目の集計を0・25ポイント下回りました。

 トヨタなどで6年ぶりに有額回答が出た2014年以来、7年ぶりの2%割れという厳しい結果になりました。米中貿易摩擦や新型ウイルスなどによる先行き不安で企業が頑なな姿勢を続け、これを打ち破れなかったものです。

 特に連合の神津里季生会長(日本製鉄)や相原康伸事務局長(トヨタ自動車)の出身労組などがベアゼロに抑えられたことが影響しました。

 神津会長は、日本製鉄が呉製鉄所の閉鎖など全国4基の高炉を休止するリストラを明らかにしたことにふれ、「緊急避難的な対応のなかで出されている回答。とりわけ中国の状況をいち早く影響をうける業種ということも影響した」と弁解しました。

連合会見 20200313
(賃上げの集計結果を発表する連合の神津里季生会長=中央=ら、3月13日、連合のフェイスブックから)

 またトヨタについては、「経営側がことさらベアゼロだと言うのか釈然としない。マイナス心理を世の中にまき散らすということは、この局面にあってはやってはならないことだ。経営者は社会全体のことを考えていただきたい」と豊田章男社長を批判しました。

 18、19春闘で「ベア非公表」にしたトヨタが、一転してベアゼロを隠すこともなく公表したこと。新型ウイルスで経済情勢が日に日に悪化していることなどを差したものです。

 神津会長は、連合の「闘争開始宣言中央総決起集会」(2月3日)で、日本の企業の「内部留保は積もりに積もって450兆円になったが、賃金は20年間、置き去りになっている」と内部留保にふれて、「分配構造のひずみを正す」と強調していました。

 日本製鉄は、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は1兆9646億円(19年12月期)ですが、トヨタは23兆3688億円(同)と日本製鉄の11倍も積み増しています。
20春闘 | 2020/03/14 18:45

◎トヨタの大番頭 石田退三元社長が行ったこと

 トヨタ自動車の20春闘の会社回答(3月11日)は、日本の大企業でダントツの2兆5000億円を上げる見通し(3月期決算)のトヨタが、7年ぶりのベアゼロ回答をしたということで、労働界だけでなく社会に衝撃を与えました。

 そのゼロベアを伝えたトヨタの社内報のweb版「トヨタイムズ」では、豊田章男社長が「回答に込めた想い」を語っています。

 このなかで豊田社長は、トヨタの「労使宣言」(社長と労組委員長が締結)に触れ、労使協調路線である労使の「共通の基盤」を作り上げるために、「1950年の労働争議から1962年の労使宣言の締結まで、12年という年月を要したのではないか」と語っています。

 その上で豊田社長は、「トヨタらしさ」とは何かについてのべ、トヨタの大番頭といわれ、社長に就任した石田退三元社長らが作成したトヨタらしさを表す「円錐形」の図について詳細に説明しています。

労使宣言 3つの誓い トヨタイムズ
(「トヨタイムズ」から)

 1950年の労働争議当時の労働組合は、トヨタだけではなくほとんどの大企業の労働組合は会社の解雇(首切り)にはストライキでたたかいました。トヨタの労働組合も会社側の1600人の希望退職募集に反対してストライキに突入しました。

 しかし、朝鮮戦争を前にしていたアメリカ占領軍(GHQ)の介入によって争議は中止させられ、退職者は労働者の4分の1の2146人に及びました。残った労働者は5994人でした。たたかう労働組合を嫌悪し、労働組合に介入したのが当時、豊田自動織機の社長だった石田元社長でした。

 このブログ「トヨタで生きる」(2012/09/03アップ)では、トヨタ産業技術記念館で販売していた、漫画『豊田喜一郎』に、石田元社長が労組幹部を料亭に呼び出し、懐柔する場面が出てくることを紹介しました。

石田退三の懐柔

http://toyotaroudousya.blog.fc2.com/blog-entry-767.html

 労働争議から「労使宣言」の締結まで12年かかったということは、それだけ労働組合・労働者の抵抗が大きかったということです。「労使宣言」路線で、労使は「共通の基盤」をつくり、トヨタと労働組合は“クルマの両輪”として走ってきたはずです。

 しかし、その結果が7年ぶりのベアゼロ。「労使宣言」の「3つの誓い」では、「生産性の向上を通じ企業の繁栄と、労働条件の維持改善をはかる」と労使で約束したはずです。

 2兆5000億円もの利益を上げるトヨタは「繁栄」を謳歌していますが、労働者はベアゼロ。「労働条件の維持改善」は、どこへ行ったのでしょうか?

20春闘 | 2020/03/13 21:38

◎豊田社長に“寄りすぎ”ても、ベアゼロとは

 「トヨタ・日本製鉄、ベアゼロ回答」――20春闘の回答(3月11日)が出た翌日付(12日)の日本経済新聞の1面見出しです。日本を代表する大企業での7年ぶりのベアゼロがどれほど大きなニュースであったかを示しました。

 特にトヨタは、2兆5000億円もの利益を上げるダントツの日本1の大企業であり、ベアゼロは驚きをもって迎えられました。2000年代に入ってリーマン・ショック時などを除き、トヨタは1兆円から3兆円近くの利益を上げてきただけに、トヨタの回答が春闘の目安になってきました。

 そのトヨタがベアゼロとは! 結成30年の連合の春闘が崩れるのではないかと言われています。この4年間のトヨタの春闘を見てみると、ベアゼロへの道が明らかになってきます(表参照)。

トヨタ自動車の春闘の動き


 2017春闘は、組合が3000円のベアを要求し、会社は1300円を回答しました。豊田章男社長は、「トヨタの労使交渉の『徹底した話し合い』は誇るべき伝統」と組合との労使協調を誇っていました。

 トヨタ春闘が一転するのは18春闘からです。組合はベア3000円を要求。豊田社長は労使協議会で、「100年に一度の危機感を本当に持っているならば…『私と一緒に闘ってくれていないのだろうか』と、寂しい気持ちになっていた」と組合を批判しました。

 「100年に一度」とは、世界の自動車産業が米IT企業などを巻き込んだ電気自動車化、自動運転化など「CASE」や「MaaS」(Mobility as a Service=あらゆる移動手段をつなげる)などと呼ばれる「100年に1度の大変革期」と豊田社長が語っている言葉です。

 「CASE」という言葉は、2016年秋のパリ・モーターショーで独ダイムラーの社長が初めて使ったもので、世界の自動車メーカーとIT企業の「100年に一度」の利益を求める企業競争が本格化したことを表しています。

 豊田社長は、この18春闘で、総額1万1700円としか回答せず、ベアについては「昨年を上回る」と非公表にしました。「トヨタのベアがわからない」と労働界が騒然となりました。

2018春闘 トヨタ集会
(2018春闘の本社地区での春闘集会。20春闘では中止になりました)

 これを受けた形で組合は19春闘で、総額1万2000円を要求するものの、ベア要求額を公表しませんでした。この年は初めて、それまでは非公開だった労使協議会がトヨタの社内報の「トヨタイムズ」のWebで公開されました。異例の公開でした。

 豊田社長は労使協議会で、世界の大企業が自動車をめぐって激しい覇権争いに突入したなかで、「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝。協議会は凍り付いたといわれています。

 豊田社長は、前年に続いてベアを非公表にし、総額1万700円を回答。一時金は、長年の年間満額回答の慣例を破って夏の分しか回答しませんでした。

 組合執行部は、「トヨタがおかれている状況の認識の甘さを深く反省」すると豊田社長に謝罪する文章を組合の「評議会ニュース」に掲載しました。豊田社長は、冬の一時金については、秋に労使協議会を開き直し、回答しました。

 こうしたなかで組合執行部が評議会に提案した春闘妥結案は、反対1、保留1が出る異例の事態になりました。一時金に対しは、「職場からは『会社に寄りすぎているのではないか』との声あり」と厳しい批判が出ました。

 今年の20春闘では、組合はベア要求額を非公表にし、総額1万100円を要求しました。しかも、「頑張った人に厚く配分」するとの人事評価を基にしたベア配分を組合が求めました。

 西野勝義委員長は、外部から「成果主義を組合側が先導するのか」「格差ベア」「それでも組合か」などの“誤解”があったと語りました。

 組合は、長年続けてきた工場ごとの春闘集会を中止しました。赤旗を立て、掛け合いコールをしてきた春闘の風景が消えたのです。これほど豊田社長に“寄りすぎ”ても、回答は総額で前年より2100円下回る8600円で、ベアゼロでした。

 豊田社長は、「雇用だけは何としても守り抜く」と労組、組合員に約束する一方で、「高い水準にある賃金を引き上げ続けるべきではない」などとしてベアゼロを回答したのです。

 この4年間の春闘を見直し、春闘のあり方を職場で真剣に議論することが求められているでしょう。それはトヨタの労働者だけに限らず、日本の労働者全体にかかわっているからです。
20春闘 | 2020/03/12 17:45

◎20春闘 トヨタ、7年ぶりのベアゼロ 内部留保22兆円でも

 トヨタ自動車労組など金属労協(JCM)に加盟する労働組合の20春闘は、会社側が3月11日、いっせいに回答を示しました。トヨタの豊田章男社長は、競争力強化を理由に次のようにのべて7年ぶりとなるベアゼロを回答しました。

……
 たとえ「100年に一度」であったとしても、どんなに厳しい闘いであったとしても、私は絶対にトヨタという会社を守り抜く。トヨタで働く人たちの雇用だけは何としても守り抜く。これまでも、これからも、これが私のブレない軸です。

 しかし、そのためには、もっともっと競争力をつけなければなりません。これからの競争の厳しさを考えれば、既に高い水準にある賃金を、引き上げ続けるべきではない。高い水準の賃金を、このまま上げ続けることは、競争力を失うことになる。

 そして、もう一つ。自動車産業を支えている多くの仲間に「トヨタと一緒に闘いたい」と思ってもらえる会社にしなければならない。この2つのことを考えた時に、組合が要求している賃金制度改善分に応えることが、皆さんの幸せにつながるとは思えなかったということであります。
……

トヨタ回答日 トヨタイムズ
(20春闘の回答日のトヨタ社内報「トヨタイムズ」のwebから)

 「100年に一度」とは、世界の自動車産業が米IT企業などを巻き込んだ電気自動車化、自動運転化など「CASE」や「MaaS」(Mobility as a Service=あらゆる移動手段をつなげる)などと呼ばれる「100年に1度の大変革期」と豊田社長が常に語っている言葉です。

 豊田社長は「生きるか死ぬか」と危機感を煽り、今年の春闘の労使協議会でも世界1を争うオールトヨタのいっそうの競争力強化を組合側にも求め続けました。その結果が7年ぶりのベアゼロという結果です。

 トヨタの3月期決算の営業利益見通しは、前期並みの2兆5000億円です。日本の大企業のなかでは突出した利益です。内部留保の利益剰余金は、22兆円を超え、日本の大企業でダントツです。

 ベアゼロは、組合員は到底、受け入れられないでしよう。組合の西野勝義委員長も、「組合員や、会社を変える、強くすることに取り組んでいる組合員のことを思うと、交渉を預かる者として本当に申し訳ない気持ちでもあります」とのべざるをえませんでした。

 トヨタ労組は20春闘で、「賃金引き上げ・人への投資を合わせて、全組合員一人平均で10,100円」を要求していました。昨年に続いてベア要求額を明らかにせず、定昇などを含めた総額でした。

 会社回答は、ベアを含まない総額8600円でした。昨年より2100円下がりました。

 年間一時金は、去年を0・2カ月分下回る6・5カ月分の要求に対し、夏は130万円、冬は112万円で、合わせて242万円の満額を回答しました。

60 JCホワイトボード
(金属労協のホワイトボード。電機が軒並み回答が書かれているのに自動車はトヨタを含めて回答が書かれていません)

50 20春闘回答 自動車
(金属労協のホワイトボードには、その後、トヨタなどの回答が記入されました。トヨタは「平均8600円」とあります。トヨタのグループ企業のダイハツは賃金改善分=ベア分=1500円とあります)

 20春闘の労使協議会は、これまで労使がテーブルを向かい合わせて議論するというのをやめ、豊田章男社長の意向で、①豊田社長ら会社役員、②組合の西野勝義委員長ら執行部メンバー、③幹部職・基幹職の代表という異例の三角形の配置に変えました。

 議論もテーマも「オールトヨタの競争力向上」(豊田章男社長)というように、組合が要求している賃上げ、一時金とは関係のないトヨタの競争力のことが中心でした。

 これは19春闘で、豊田社長が「生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝したことが大きな影響を与えました。

 賃上げについて河合満副社長は、「既に日本トップレベルの水準にある賃金を、これ以上引き上げるのは、競争力の低下につながりかねない」と組合員の切実な賃上げを否定していました。

 他の自動車各社では、日産が総額9000円の要求に対し7000円、ホンダはベア分500円を含む1500円を回答しました。

 電機では、日立やシャープが1500円、東芝が1300円、パナソニックや富士通、三菱電機などが1000円を回答しました。日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社は、今後2年間ベアゼロでした。鉄鋼でのベアゼロは7年ぶりです。

 ★ベアゼロを脱した2014春闘以降のトヨタ労組の要求と獲得額は次の通りです。

          賃上げ要求   獲得額  一時金(年間)
 2014年春闘  4000円  2700円 6・8カ月(244万円)
   15年春闘  6000円  4000円 6・8カ月(246万円)
   16年春闘  3000円  1500円 7・1カ月(257万円)
   17年春闘  3000円  1300円 6・3カ月(230万円)
   18年春闘  3000円 「昨年を上回る」とベア非公表。総額で1万1700円。 一時金は 6・7カ月(243万円)

   19年春闘  ・賃上げ要求は定昇込みの総額で1万2000円
           ・回答はベア非公表で、定昇込みの総額で1万700円
           ・一時金要求は6・7カ月 ・回答は夏が120万円、冬は秋の労使協議会で128万円

 (注 17春闘の賃上げは別に家族手当の引き上げ分1100円)

20春闘 | 2020/03/11 14:55

◎「賃金をこれ以上引き上げるのは、競争力の低下につながりかねない」 20春闘第3回労使協

 トヨタ自動車の20春闘第3回労使協議会が3月4日(水)に開かれ、会社の「トヨタイムズ」がネットで公開されたのに続いて、組合側の「評議会ニュース」が職場に配布されました。

 春闘の労使協は、毎年4回だけで、しかも4回目は回答日です。3回の労使協で賃上げ、一時金をめぐって労使が激しくやり取りしたのかと思うと、3回目は4㌻の「評議会ニュース」で、10行程度です。

 ほとんどがトヨタの“競争力”についての議論です。いったい労使協とは何なの? トヨタ労組が加盟している金属労協(JCM)は自動車や電機、鉄鋼、造船・重機など大手の金属労組などで組織され、日本の賃金の相場をつくってきました。

 そのJCMの議長には、トヨタ労組の役員が何人も就任してきました。JCMは、毎年の春闘で数十ページの「交渉参考資料」を作成しています。いわば組合側の交渉マニュアルです。そこには、経済情勢から「経営側の主張と労働組合の考え方」まで詳細な交渉方法を網羅しています。
http://www.jcmetal.jp/files/c0e15b5c0ef9830497a929cbd45d1706-1.pdf

 たとえば「賃上げの消費拡大効果」など、会社側の賃上げ抑制攻撃に反撃できるような資料です。トヨタの労使協でも使用できるものです。春闘交渉のヤマ場となる第3回労使協で、会社側が賃上げに触れたのは河合満副社長の次の発言だけです。

 「既に日本トップレベルの水準にある賃金を、これ以上引き上げるのは、競争力の低下につながりかねない」

80 労使協ニュースから
(第3回労使協議会の様子を伝えるトヨタ労組の「評議会ニュース」から)

 組合側の要求は、賃金引き上げ・人への投資として総額1万100円で、一時金は、年間6・5カ月です。河合副社長は、「競争力の低下につながりかねない」として組合員の切実な賃上げ要求に背を向けています。

 西野勝義委員長は、「評議会ニュース」によると、「(回答日の)3月11日に、人の力を最大限引き出せるような回答をお願いする」と言うだけで、河合副社長に反論している様子はありません。

 えぇっ、これがヤマ場の第3回労使協ですか?
20春闘 | 2020/03/07 11:32

◎豊田社長が語ったこと 20春闘・第3回労使協議会

 トヨタ自動車の20春闘の第3回労使協議会が3月4日(水)、開かれました。トヨタの社内報「トヨタイムズ」のWEB版では5日にはアップされるというスピードぶりです。

 「本日はオールトヨタの競争力強化について議論」(トヨタ労組の西野勝義委員長)、「本日の議論のテーマは、『オールトヨタの競争力向上』」(豊田章男社長)というように、組合が要求している賃上げ、一時金とは関係のないはずのトヨタの競争力のことでした。

 競争、競争、競争…世界の自動車産業と米IT企業などを巻き込んだ電気自動車化、自動運転化などの「CASE」「MaaS」(Mobility as a Service)などと呼ばれる「100年に1度の大変革期」(豊田社長)のなかで、トヨタの競争力をテーマに「生きるか死ぬか」(同社長)の議論をしたというのです。

 豊田章男は、締めくくりの発言で原稿を見ながら、東京にある「オリパラ輸送オペレーション改善部屋」を訪問したことにふれ、「トヨタグループの競争力の原点がTPSであることを改めて感じた1日」と強調しました。

 そして、トヨタの事務技術系職場にはTPSの思想はあるのか、「ムダを省いて、リードタイムを短縮する」などという考え方はあるのか、と問いました。TPSの生みの親である大野耐一の名前も上げました。

50 第3回労使協議 三角形の机
(テーブルを3角形して開かれたトヨタ自動車の20春闘第3回労使協議会=「トヨタイムズ」から)

 また、前日に役員体制の見直しを発表し、副社長をなくして執行役員に一本化したことに触れました。トヨタが世界1を争うという成功体験の中で、「トヨタらしさ」が失われつつあると指摘しました。

 役員の数を減らし、「責任者は私ひとり」になったこと。執行役員は「次のトップの候補生」として、役員のなかで競争に勝ち抜くこと。「今のトヨタに根付いてしまっている『もっと偉くなりたい』という意識を『もっと成長したい』という意識に変えていきたい」にすべきだと指摘しました。

 副社長をなくした意味について、「『負けている、負けたくない、だから自分は成長したい』に変えていくための経営者養成の仕組みだと捉えてほしい」とのべました。

 つまり、副社長まで上り詰めたというのではなく、「オールトヨタの競争力強化」のためには、執行役員に戻り、トップをめざしていっそう競争力を磨けということでしょう。

 本来は、賃上げを議論するはずである労使協議会で、事実上の副社長からの降格人事を明らかにし、もっともっと「生きるか死ぬか」のたたかいの先頭に立てということでしょう。そうした姿を労使協議会で組合側、組合員に見せようというのでしょう。

               ◇

 この記事は、3月6日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
20春闘 | 2020/03/05 16:01

◎先進国で日本だけが賃金減る

 先進国で日本だけが賃金が減り続けている――20春闘で日本経団連やトヨタ自動車など大企業は、労働者、労働組合の賃上げ要求を抑えようとしていますが、こんな事態を続ければますます個人消費は落ち込み、景気は冷え込むでしょう。

 表1は、全国労働組合総連合(全労連)が作成した実質賃金(物価上昇分を差し引いたもの)指数の推移の国際比較です。1997年を100とすると、2016年はフランス(126・4)、イギリス(125・3、製造業)、ドイツ(116・3)、アメリカ(115・3)といずれも実質賃金は上がっています。

60 実質賃金の推移の国際比較 全労連


 ところが日本は、88・7と先進国では唯一、下がっています。

 表2は、東京新聞(2019年8月29日付)がまとめた主要国の時間当たりの賃金の推移です。同紙は、「時間あたりでみた日本人の賃金が過去21年間で8%強減り、先進国中で唯一マイナスとなっていることが経済協力開発機構(OECD)の統計で明らかになった」と伝えています。

80 東京新聞 時間当たり賃金の国際比較


 1997年を0として、名目賃金がどれほど伸びているかを2018年までグラフにしています。韓国は150%以上の大幅な伸びになっており、英国やフランス、米国、ドイツなど先進国はいずれも40~90%ほども伸びています。

 ところが日本は、何と8・2%減っているのです。

 東京新聞は、「企業が人件費を抑制しているのが主因だが、『働けど賃金低迷』の状況が消費をさらに冷え込ませる悪循環を招いている」と指摘しています。

 一方、資本金10億円以上の大企業(金融・保険業を含む)の内部留保は、2018年度末で449兆1420億円もの巨額になり、過去最高を更新しました(財務省が19年9月2日発表した2018年度の法人企業統計調査)。

赤旗 大企業の内部留保推移
(「しんぶん赤旗」、2019年9月3日付から)

 このうちトヨタは、20兆円もの内部留保をため込んでおり、ダントツの1位です。先進国で唯一、賃金が減っている日本で、内部留保を労働者の賃上げなどに還流させて消費を活発にさせるには、20春闘で労働者、労働組合の賃上げ要求に応えること以外にないでしょう。
20春闘 | 2020/03/01 16:59

◎トヨタ労組のベア要求総額は、ルロワ副社長の報酬にも満たない

 トヨタ自動車の20春闘第2回労使協議会(2月26日)で、河合満副社長はトヨタの「賃金・賞与は国内でも突出=非常に恵まれた処遇水準」などとのべ、組合の賃上げ要求を否定しました。

 組合の賃上げ要求は、本来、上がって当然の定昇とベア分などを含めた総額で1万100円です。組合はベア分を明らかにしていませんが、仮に17春闘(18、19春闘で会社はベア分を非公表)で獲得した1人1300円で計算すると――

 1300円×12カ月×6万2369人(組合員数)=約9億7296万円

 一方、トヨタの2019年3月期で1億円以上の報酬がある役員は、豊田章男社長の3億8600万円をはじめとして5人います。このなかに10億4200万円と突出した役員がいます。

60 トヨタ役員報酬 2019年3月期
(トヨタの2019年3月期の有価証券報告書から)

 ディディエ・ルロワ取締役副社長です。10億円を超す報酬は、1日当たり何と約285万円にもなります。毎日、毎日、365日、プリウスほどの車を買える計算になります。「非常に恵まれた処遇水準」とは、組合員ではなくルロワ副社長のことではないですか?

 組合員のベア要求の総額は、約9億7296万円ですから、ルロワ副社長の1年間の報酬に届きません。たった1人の役員の高額報酬に比べれば、組合員の要求はささやかなものではないですか?

 河合副社長! 「組合要求にそのままお応えすると、(トヨタの)競争力を失ってしまわないか」とご心配のようですが、組合員は「生きるか死ぬか」と言われ続け、懸命に働いています。

 河合副社長! ルロワ副社長ら役員の突出した報酬を組合員に少し回しませんか? いや、いや、利益剰余金(内部留保)は、何と22兆円もありますから満額回答してもトヨタはびくともしませんね。
20春闘 | 2020/02/29 16:21

◎若手が“トヨタにがっかりして、退職へ” 第2回労使協

 「トヨタは大丈夫です」――世界1を争う自動車メーカー、日本1の超大企業で安心して働けるという言葉でしよう。一方で、「トヨタにがっかりして、退職へ」「トヨタの常識は世間の非常識」などの意外な言葉も―。

 トヨタの20春闘第2回労使協議会(2月26日)について報告する組合の「評議会ニュース」の中にある言葉です。

 「若手がいきいきと前向きに取り組めない風土」があるとして、組合側は、「何も変えられない自分」「本気で変えようとする先輩・上司が少ない」など、「若手の実感」を指摘します。

 会社側は、若手の退職の背景として、「全体感がわからずキャリアに対する期待が持てない 」ことや「『現場』から遠く、仕事の実感が持てず、やりがいや達成感がもてない」ことなどをあげています。

 その上で、「もっと若い人に寄り添い、外を見て、今の時代に相応しい働き方を追求していく」ことなどを提案しています。

 36協定についての言及もあります。「業務をやりきりたいが、年間限度越えが厳しく、やりきれないという声も聞いている。今一度、人材育成をはじめ、仕事の仕方を考えていく」としています。

 トヨタの年間限度時間は360時間(絶対限度時間は技術部門で720時間)です。仕事が目いっぱいで、「働き方改革」で残業の上限規制が厳しくなったのに、人が足らず、仕事がこなせないという声でしよう。

50 トヨタ本社地区2 グーグルアース
(豊田市のトヨタ本社地区=グーグルアースから)

 トヨタの技術労働者が入社3年目でパワハラ自殺し、労災認定されていたことが明らかになったのは昨年11月のことでした。「バカ、アホ」などと上司に叱責されていました。

 「生きるか死ぬか」の言葉が職場に飛び交い、「トヨタは大丈夫」どころか、労働者の働きがいや仕事の悩み、上司のパワハラ、残業時間など様々な問題、課題でいっぱいです。

 春闘本来の賃上げについては、河合満副社長がトヨタの「賃金・賞与は国内でも突出=非常に恵まれた処遇水準」などと早くも組合の要求(賃上げは定昇やベア分など総額で1万100円、一時金は年間6・5カ月)に応じることは無理だという牽制球を投げます。

 組合の西野勝義委員長は、「人の力を最大限に引き出せるような回答をお願いしたい」と主張します。満額回答が引き出せるかどうか―。ヤマ場となる次回の第3回労使協は3月4日です。
20春闘 | 2020/02/28 21:14

◎トヨタ 第2回労使協 頑張れ、頑張れ、もっと頑張れ

 トヨタ自動車の20春闘の第2回労使協議会が2月26日、開かれました。トヨタの社内報「トヨタイムズ」は、その日のうちにネットで配信し、社内だけでなく一般に公開するというスピードぶりです。

 1回目に続いて豊田章男社長ら会社役員、西野勝義委員長ら組合執行部、会社の幹部職・基幹職の代表の三角形にした机の配置で行われたといいます。「トヨタイムズ」によると、総務・人事本部の桑田正規副本部長が次のようにのべました。

……
「頑張っても、頑張らなくても、あまり差がつかない」、「頑張りの反映が不明瞭」といった声があるのも事実。会社としては、「賃金制度改善分」のみではなく、根元から、すなわち「賃金制度維持分の昇給分」も含めて、頑張りを反映させるよう、来年から変えていくべきではないかと考えている。

 頑張っている人に、きちんと報いていくことを狙いとしている。その時々の活躍ぶりに応じて、挽回も効く制度としたい。
……

 賃上げ(ベア)だけでなく、「賃金制度維持分」=定期昇給にも会社の評価に基づいて昇給させること。来年の2021年から実施したいとの考えを示しました。

トヨタ第2回労使協議 トヨタイムズ
(トヨタの第2回労使協議会のやりとりを伝える「トヨタイムズ」)

 これに対し西野委員長は、「組合としても組合員が『今まで以上に頑張ろう』と思い続けていくことが大切だと考えており、会社から説明があった『頑張っている人にはきちんと報いていく』という考えについては同じ思い」などと応じました。

 その上で、「頑張りきれていない人には奮起を促す」ためにも引き続き、労使専門委員会で議論したいなどとのべました。

 20春闘で、組合はベア分を会社の人事評価に応じ、メリハリをつけて配分することを要求内容に含めましたが、さらに定期昇給分も人事評価に応じて配分する動きになってきました。

 豊田社長の主張するようにCASEといわれる「100年に1度の大変革期」であり、トヨタは「生きるか死ぬか」のなか、組合員は頑張れ、頑張れ、もっと頑張れ、もっともっと頑張れということでしょうか。

20春闘 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2020/02/27 11:21

◎両輪でなく、1輪でいいのでしょうか?

 労働組合法は、法の目的を次のように定めています。

……
第一条 この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。
……

 このように、労働組合法は1人ひとりでは弱い労働者が、団結して労働組合を結成する権利を認め、労働者と使用者は「対等の立場」に立つことを促進して労働者の地位を向上させることなどを目的にしています。

 トヨタ自動車労組は、会社と労働組合との関係について、「労使はクルマの両輪」と主張してきました。両輪ならば、「対等の立場」に立って、組合として主張すべきは主張しなければならないでしょう。

そうでなければ、クルマはどちらかに傾いてしまうでしょう。どちらが欠けてもクルマは走らなくなります。しかし、18春闘以来の組合の動きは、両輪ではなく1輪のようになっているのではないかと危惧します。

トヨタ労組 2015春闘集会
(2015春闘では、トヨタ労組は6000円のベア要求に対し4000円を勝ち取った。写真は本社地区での春闘集会)

 18春闘でトヨタは、「ベア回答を非公表」にし、労働界と社会に衝撃を与えました。利益NO1のトヨタの春闘回答が、日本の労働者の賃金を左右してきただけに、それがわからなくなったからです。

 19春闘では、トヨタ労組が定期昇給などを含めた総額要求にし、そのなかのベア分を明らかにしませんでした。会社のベア回答非公表と同様の姿勢を示し、労働界からは強い疑問の声が上がりました。

 さらに今年の20春闘では、長年続けてきた春闘のヤマ場での工場ごとの春闘集会を、「形骸化している対立ありきのスタイルを見直す」(西野勝義委員長)として中止しようとしています。

 豊田章男社長は、電気自動車化、自動運転化など「CASE」と呼ばれる世界の自動車産業は、米IT企業なども巻き込んで「100年に1度の大変革期」と主張。トヨタは「生きるか死ぬか」の状態だと危機感を煽っています。

 19春闘で、豊田社長は「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と“一喝”したといわれています。組合執行部は、「トヨタがおかれている状況の認識の甘さを深く反省」すると組合のニュースで異例の表明をしました。

 そうした流れのなかで、3月初めの第3回労使協議会の前日に開いていた春闘集会を中止する動きが出てきたのです。昼休みの集会とはいえ、長年にわたって組合員が賃上げや一時金の要求実現のために団結し、連帯して開いてきた集会を中止していいのでしょうか。

 「対立ありきのスタイルを見直す」などといって春闘集会までなくしてしまったら、トヨタ労組が主張してきた「労使はクルマの両輪」は、1輪だけになってしまい、クルマはまともに走れなくなるのではないでしょうか。
20春闘 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2020/02/25 17:16

◎トヨタ労組 春闘ブロック集会中止へ

 トヨタ労組は、これまで毎年開いていた春闘の工場ごとの集会――ブロック集会を中止する――と新聞各紙が伝えています。「ベア回答を非公表」(18春闘でトヨタ)、「ベア要求を非公表」(19春闘でトヨタ労組)と日本の春闘相場を決めてきたトヨタの労使がさらに春闘の“形骸化”に踏み込もうとしています。

 本社のブロック集会では、赤旗がひらめき、役員と組合員が掛け合いコールをするなど、春闘の組合員の団結の風景があり、テレビなどが放送していました。これが消えることになりそうです。

 西野勝義委員長は、20春闘の第1回労使協議会(2月19日)で、「(昨年)秋の(冬の一時金を決める)労使協では、形骸化している対立ありきのスタイルを見直し、今後のあり方を労使で考えていきたい、と申し上げた」などとのべました。

 このように「形骸化している対立ありきのスタイルを見直」すとのべ、これまで春闘のヤマ場となる第3回労使協の前日に開いていたブロック集会を中止しようとしています。

19春闘 トヨタ2
(トヨタ労組の19春闘本社ブロック集会から=2019年3月5日)

19トヨタ春闘1
(トヨタ労組の19春闘本社ブロック集会から=2019年3月5日)

 昨年の19春闘では、3月5日の昼休みに本社グラウンドに本社やテクニカルセンターなどから組合員が集まりました。赤旗がなびき、西野委員長が2回開かれた労使協について報告。2人の職場委員長が決意表明し、全員が団結して“ガンバロー・コール”をしました。

 「19年の大規模集会では、約5100人が参加した」(共同通信)ように、利益日本1のトヨタの春闘でどのような回答が出るかがメディアの注目を浴びていました。こうした春闘の組合員の団結の風景が消えていいのでしょうか?

20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/02/24 21:45

◎豊田社長のいらだち 「I」と「YOU」

 【職場談義】

 A 「トヨタイムズ」の動画を見た? 春闘の第1回労使協で、豊田章男社長がわれわれ事技職(事務技術職)に向けて、「I」でなく「YOU」で話せと語っている。

 B 見たよ。社長は、一番距離感を感じるのは事技職の「上司」と名指しして批判している。驚いたよ。社長は相当いらだっている感じだ。

 A 豊田社長が米ラスベガスで1月に開かれた「CES(セス)」(家電・技術見本市)で、トヨタ東日本東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に「コネクティッド・シティ」(woven city)を建設することを発表したが、事技職は関心を持っていないと嘆いている。

30 モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジ
(CESで豊田章男社長は、「モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジに向けて」とのプレゼンテーションを行いました=トヨタのホームページから)

 B 自分(I)のことばかりで、相手に対し、トップに対し、世の中に対し「無関心」だと怒っている。

 A CESで豊田社長は、トヨタが「モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジに向けて」とのプレゼンテーションを行ったが、その柱がwoven cityなのに、事技職はトップのメッセージに「無関心」だとご機嫌斜めなんだよ。

 B しかも、社外の相手との打ち合わせについてまでも、「自分(トヨタ)のところに来ていただいて当たり前」というのではなく、「私が伺いましょうか」とまるで新入社員への教育のようなことを語っているね。

 A トヨタは自動車産業では世界1を争う会社になったし、日本最大の会社になった。知らず知らずのうちに、トヨタの事技職へ伺うのが当たり前、もっと言えばふんぞりかえっているのではないかという社長の危機感ではないか。

 B そうだろうね。自動車用鋼板の価格交渉もかつては日本製鉄がイニシアを握っていたが、今やトヨタという時代になった。自動車をつくってきたトヨタがモビリティカンパニーへフルモデルしようとしている時に、自分のことだけで、仲間づくりの相手になる会社にも、世の中にも、トヨタのトップのメッセージにも「無関心」なのか、ということなんだろうね。

 A 春闘の労使協で、トヨタの事技職や幹部職の代表を呼んで、叱責に近い発言をする。三角形に机を並べて社長が訓示するとは異様な風景だね。社長は、「悔しく思うし、恥ずかしくもある」とものべている。

 B 社長の危機感は相当なものだとわかるが、なぜ労使協の場でするんだろう。組合を通じて社員全員に浸透させようというのか? 第1回労使協は、賃上げどころではなくなった感じがする。第2回、第3回の労使協はどうなるんだろうか?
20春闘 | コメント(21) | トラックバック(0) | 2020/02/23 09:55

◎トヨタ労組の春闘要求 「成果主義を組合側が先導するのか」などの誤解?

 トヨタ自動車の20春闘の第1回労使協議会(2月19日)で、組合の西野勝義委員長が要求について発言しています。トヨタの社内報「トヨタイムズ」のネット版では、動画で紹介しています。

……
 賃金・人への投資については、頑張っている人に今以上に報いたいといった考え方から、維持分を上回る原資を、評価に応じメリハリをつけて配分することを要求内容に含めています。

 このことについて外部からは「成果主義を組合側が先導するのか」「格差ベア」「それでも組合か」など、誤解に基づく意見があるのも事実です。

 また、何より、こうした誤った受け止めが広がることで、全体の賃金水準の底上げを目指す、中小の仲間の組合の取り組みを、邪魔してしまうのではないか?という懸念もあります。

 しかし、今回の要求は現在のトヨタ労使が置かれた環境を冷静に見極め、限られた原資で、「どう頑張った人に報いていくか、そして変化をさらに加速させていくのか?」という観点で、賛否両論がある中、職場と議論した結果です。
……

40 トヨタ 技術者 2
(出勤するトヨタの技術労働者ら=豊田市の三河豊田駅前)

 西野委員長は、外部から「成果主義を組合側が先導するのか」「格差ベア」「それでも組合か」などの誤解があるといいます。トヨタ労組の要求は、「ベアについては、一律での賃上げではなく、5段階の人事評価に応じ、係長クラスで評価が極めて低い社員はゼロにするなど、従来以上に差をつける新たな方法を提案する方針です」(NHKの1月27日のニュース)などと報じられています。

 西野委員長の発言のように「評価に応じメリハリをつけて配分する」――「5段階の人事評価」(NHKニュース)に応じて配分することは、まぎれもない「成果主義賃金」です。

 トヨタをはじめ大企業では、すでに企業が労働者への評価や査定を基にして賃上げや昇格を決めることを導入しています。組合側が率先して要求すれば、「成果主義賃金」がいっそう強められることになります。

 このブログ「トヨタで生きる」で紹介したように、労働政策研究・研修機構の「成果主義を検証する」では、次のように指摘しています。

 「『やる気を引き出す』 『会社全体の生産性を上げる』など各論では賛成が多いが、総論である 『自社で導入している成果主義が成功しているかどうか』については、疑問視する声が大きい」――などと指摘しています。

 「成果主義賃金」を大企業で真っ先に導入(1993年)した富士通が再検討を迫られたのはよく知られています。その富士通は、2019年に2850人のリストラを強行するなど「成果主義賃金」が破綻したことを示しています。
20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/02/22 21:24

◎第1回労使協 豊田社長、三角形の机配置に「悔しい、恥ずかしい」

 トヨタ自動車の20春闘の第1回労使協議会が2月19日、開かれました。その様子が組合の「評議会ニュース」として職場に配布されました。

 労使協では、組合と会社役員・幹部が向き合う机の配置がこれまでの方法でしたが、「評議会ニュース」に掲載された写真では、何と机の配置は三角形でした。

 手前右側が豊田章男社長ら会社役員、手前左側が組合の西野勝義委員長ら執行部のメンバー、正面に多数座っているのが幹部職・基幹職の代表です。

80 トヨタイムズ 第1回労使協
(トヨタの社内報「トヨタイムズ」に掲載されている机の配置。組合の写真は、幹部職・基幹職の代表が正面になっています)

 豊田社長は、「座り位置を変えた意味」について、昨年の19春闘から「一番距離感」を感じているのは「事技職の『上司』」と強調。事技職と話すと主語はほとんど「I」であり、「YOU」で話す習慣がなく、「どんどん世間から離れた存在になっている気がする」と指摘しました。

 その上で、「一番いけない」のは、「無関心」であり、これは「仕事の風景」を、そのまま表しているのではないか、と指摘しました。そして、「向き合うべき組合員に向き合うことができないという事実を、私自身、悔しく思うし、恥ずかしくもある」とのべました。

 第1回労使協で、事技職を痛烈に批判した豊田社長。賃上げどころか、中間管理職への強烈な批判は、何を意味しているのでしょうか?
20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/02/21 11:11

◎トヨタ 19日に第1回労使協 積みあがった内部留保20兆円

 20春闘で、トヨタ自動車の第1回労使協議会が2月19日(水)開かれます。この後、毎週水曜日に第2、第3労使協が開かれ、3月11日(水)に会社側が回答を示す予定です。

 トヨタ労組が加わる労働組合の全国組織・連合は2月3日、東京で「闘争開始宣言中央総決起集会」を開催。神津里季生会長は、20春闘を「分配構造のひずみを正す」春闘だと位置づけた上で、日本の企業の「内部留保は積もりに積もって450兆円になったが、賃金は20年間、置き去りになっている」と強調しました。

 神津会長の指摘するように、トヨタが日本の大企業で並ぶ会社がないほどの20兆円を超える内部留保を積み上げる一方で、大企業が労働者にまともに配分しないために、実質賃金がまったく上がらず景気が低迷しているのが現実です。

 しかし、メディアの中には労働組合側の要求姿勢に疑問を投げかけているのもあります。その1つが共同通信で、次のように書きます。

 「デジタル時代の人材確保を理由に実力主義の賃金配分へと傾斜する経営側に、危機感を共有するトヨタ自動車やホンダの労働組合が同調。従来の年功序列が揺らぎ、日本型雇用慣行は重大な岐路に差し掛かっている」

 そして、春闘をリードしてきた自動車総連について、労組自ら要求水準を抑える動きが目立ち、賃上げ(ベア)は控えめで、一時金要求は主要8社のうち(トヨタを含め)6社が前年を下回った、と指摘します。

50 トヨタ 技術者 3
(三河豊田駅から職場に向かうトヨタの技術労働者者ら)

 また、「トヨタの労組が個人の実力を踏まえてベア額に差をつける異例の要求を示し、ホンダも賃上げ原資の一部を人事評価に応じて配分する初の試みを提案した」と強調します。

 米中の貿易戦争や新型肺炎に広がりで春闘情勢が厳しくなる中、「一律のベア要求を通じて従業員全体の賃金を底上げしてきた春闘の意義が薄れていくことの是非を問う声はかき消されがちだ」と書きます。

 神津会長が指摘したように企業の内部留保は積み上がり、トヨタの内部留保もダントツです。こうした厳しい情勢の中でこそ、賃上げを通じて内部留保を社会に還流させて個人消費を増やすことが必要ではないでしょうか。

 トヨタの第1回労使協で、どんなやり取りになるかが注目されます。
20春闘 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2020/02/17 10:36

◎「トヨタイムズ」が春闘報道 「家族の話し合い」?

 トヨタ自動車の社内報で俳優の香川照之さんが編集長を務める「トヨタイムズ」のネット版が、トヨタの春闘を「トヨタ春交渉2020 要求申し入れ 『家族の話し合い』を目指して」と題して伝えています。

 20トヨタ春闘で、組合側が要求書を会社側に手渡した(2月12日)ことは、このブログ「トヨタで生きる」で昨日(15日)、次のようにアップしました。

……
 組合の要求は、賃金引き上げ・人への投資として総額1万100円です。昨年と比べて要求額で1900円、妥結額で600円下回ります。定昇分などを含めた総額のうちの賃上げ額(ベア額)は、昨年に続いて明らかにしていません。

 組合側は20春闘で、賃上げ(ベア)は組合員一律ではなく5段階の人事評価に応じて配分し、係長クラスで評価が極めて低い社員はゼロにする――などこれまで以上の差を求める方針といいます。
……

25 トヨタイムズ 20春闘申し入れ
(トヨタの20春闘を伝える「トヨタイムズ」)

 「トヨタイムズ」では、「今回の申し入れでは、賃金制度維持分を上回る賃金の引き上げについて、人事評価に応じて配分する新たな形での要求がなされた。これは昨春の労使協議会で議論になった『全員一律』の考え方を見直したものであり、『もっと頑張りたい、もっと成長したい』というメンバーのやる気を引き出し、報いたいという想いを形にしたものだった」と、「トヨタで生きる」と同様のことを伝えています。

 また、「全員一律」を見直したのは、昨年の19春闘での豊田章男社長の「今回ほど距離を感じたことはない」などと発言したように、昨春闘での豊田社長の“一喝”が背景にあったことを指摘しています。

 さらに、1962年に会社と組合が締結した「労使宣言」を引用し、両者が同じ基盤に立てていると言えるのか? その疑問を抱いた豊田社長が発言したものだったとも解説しています。

 要求の申し入れにあたって組合の西野勝義委員長は、「会社は生き残りをかけて、さまざまな変革を進めている」とのべた上で、組合としても「この1年…さまざまな職場で労使がこれまで以上に会社の競争力をいかにして高めていけるかを本音で議論し、クルマの両輪のごとく、行動に移してきた」と語りました。

 トヨタの春闘を「家族の話し合い」と表現する「トヨタイムズ」。組合員の切実な「総額1万100円」の賃上げ要求。何よりも大切な家族と思うなら、豊田社長は今年こそ満額回答してくれるでしょう。それとも?
20春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2020/02/16 14:23

◎トヨタ労組 会社へ賃上げ要求提出 会社は「モビリティカンパニー へのモデルチェンジ」を主張

 20春闘でトヨタ労組は2月12日に会社に要求を提出しましたが、会社と組合のそれぞれのコメントが組合の「評議会ニュース」に掲載されています。要求提出を受けて2月19日(水)に第1回労使協議会が開かれます。

 組合の要求は、賃金引き上げ・人への投資として総額1万100円です。昨年と比べて要求額で1900円、妥結額で600円下回ります。定昇分などを含めた総額のうちの賃上げ額(ベア額)は、昨年に続いて明らかにしていません。

 一時金の要求は、年間6・5カ月で、昨年の6・7カ月より0・2カ月下回ります。

 組合は、賃上げの査定幅を、職能個人給で事務技術職などが「70~130」、技能職などが「85~115」にするよう求めています。一時金の査定幅は「80~120」にするよう求めています。

 組合の申し入れに対し、河合満副社長は、「今、我々が成し遂げねばならないことは、『モビリティカンパニーへのモデルチェンジ』という、大きな変革であり、チャレンジ」とのべ、「変革やチャレンジを妨げている課題を解決していく場としていく。また、オールトヨタの一体感・競争力を強化していくための議論もしていきたい」などとコメントしました。

 組合の西野勝義委員長は、「労使が直面している会社の課題について議論する」とのべ、「いかに『それぞれの立場で素直に話し合えるか』が重要」と語りました。

 組合側は20春闘で、賃上げ(ベア)は組合員一律ではなく5段階の人事評価に応じて配分し、係長クラスで評価が極めて低い社員はゼロにする――などこれまで以上の差を求める方針といいます。

トヨタ労組 19春闘本社ブロック集会
(トヨタ労組の19春闘本社ブロック集会に集まった組合員)

 昨年(19春闘)の第3回労使協議会で豊田章男社長が、世界の自動車産業が「100年に1度の大変革期」というのに、「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝し、その場が凍り付いたといいます。

 組合は、「評議会ニュース」で、「トヨタがおかれている状況の認識の甘さを深く反省」すると異例ともいえる謝罪をしました。トヨタの春闘が、これまで以上に大きく様変わりすることになりそうな20春闘です。

 しかし、組合員が求めているのは、切実な賃上げのはずです。労働組合は要求で団結する組織です。要求が実現する20春闘にしようではありませんか。
20春闘 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2020/02/15 18:06

◎トヨタのベア非公表で、各労組の要求はバラバラに

 トヨタ自動車が18春闘の回答で、賃上げ(ベア)を明らかにしなかったことが自動車各社の労働組合にマイナスの大きな影響を与えています。20春闘の賃上げ要求がバラバラになったのです。

 これまでトヨタ労組などが加わる産業別組合・自動車総連は2018年まで、電機連合のように産別統一闘争としてベア額をそろえて要求(18春闘は3000円)してきましたが、これが崩れたのです。

 トヨタ労組も、19春闘からは定期昇給などを含めた総額要求にし、賃上げ要求額を明らかにしませんでした。20春闘ではさらに労働者の5段階の人事評価で配分することを組合側が求め、成果主義賃金への志向を一段と強めています。

 同じ産業の労働者は同じ賃金で働く――これがドイツなど世界の産業別労働組合の大勢です。日本の企業別組合の限界を乗り越えるために、電機や自動車など連合労組内では、不十分でも賃上げ要求をそろえてきました。電気自動車化など「CASA」と呼ばれる世界の自動車産業の激烈な競争に、労働組合が巻き込まれることになりかねない事態になっています。

金属労協 18春闘ボード
(トヨタ労組が加わる金属労協の18春闘回答ボードには、トヨタは「昨年を上回る」との日本語回答で、ベアは非公表になりました。本田技研は1700円、三菱自工は1500円でした)

 自動車総連の各組合は2月12日、会社側に20春闘の要求を提出しました。

トヨタ労組は、賃金引き上げ・人への投資として総額1万100円を要求しています。賃上げ額を明らかにしていません。昨年の要求額を1900円下回り、妥結額と比べても600円下回ります。

 日産自動車労組は、平均賃金改定原資として9000円を要求。その内訳として、賃金改善相当分(ベア)3000円を含むとしています。

 本田技研労組は、賃金関連総原資として2000円を要求。その中に、ベースアップ1000円を含むとしています。

 マツダ労組は、賃金・処遇改善原資として9000円を要求しています。
 三菱自工は、賃金改善分(べア)として3000円を要求。賃金制度維持分(定昇)の概算6000円と合わせ、総額約9000円を要求しています。

 スズキ労組は、賃金制度維持分(昇給制度維持)+賃金改善分(ベア)3000円を要求しています。
 SUBARU労組は、賃金表の維持と業績給加算表を合算して1人平均総額9000円相当を要求しています。

 ダイハツ労組は、賃金水準維持+賃金改善分(ベア)3000円を要求しています。
 いすゞ労組は、賃金カーブ維持分+改善分(ベア)3000円を要求しています。
 日野労組は、平均賃金引き上げ・人財への投資として、組合員1人当たり7500円を要求しています。

 このように、賃上げ要求額を明らかにしている労組と定昇などを含めた総額要求の組合とに大きく2分されています。トヨタのベア非公表が産別の団結にマイナスの影響を与えていることは明らかです。
20春闘 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2020/02/13 11:45

◎人事評価に応じて賃上げ?

【職場談義】

 A 「ゆめW」(春闘)要求案の評議会ニュース(トヨタ労組)が配られたけれど、よくわからないなぁ。テレビで見たけれど、5段階の人事評価に応じて配分し、会社の評価が悪いとベアゼロもあるというじゃないか。

 B 組合が言い出すなんてびっくりしたよ。社長(豊田章男社長)や上司は、電気自動車化や自動運転化などCASEのなかで、トヨタは「生きるか死ぬか」と煽るし、落ち着いて仕事ができないよ。

 A 事務技術職には、「新人事制度」が取り入れられる。頑張りたい、チャレンジしたい人材へ機会を提供するといって職能考課分布が見直しされる。これまで「考課点」は、Aが10%、Bが20%、Cが30%、Dが40%、Eは“個別”と5段階あったが、4段階になる。

 B 見直し後の「考課点」は、Aが「期待を大きく上回る能力を発揮した」として10%、Bが「期待を一部上回る」として30%、Cが「期待通り」で60%、Dが“個別”で「期待に見合った能力を発揮できていない」としている。

 A 相対評価だから、Aは10人のうちでたった1人しか評価されない。ABは合わせて4人だけだ。残り6人は、「期待通り」に能力を発揮しても当たり前ですといわれる。会社のいう「プロ」人材は1人ということか?

トヨタ本社と労働者
(トヨタ本社=右の青い建物=と出勤する労働者ら)

 B 昇格者を見極めるのはAとBだけという狭き門だから、競争は激烈になるよ。これまでも評価基準がよくわからないという不満があった。「自分が評価されないのはなぜだ」「あいつが先に昇格したなんておかしい」と、ね。

 A 会社はオープンで透明性の高い評価プロセスにしたというが、みんな不安だと言っているよ。組合は人事評価に基づいて、「頑張った人に厚く配分する」と言うけれど、組合までそう言っていいのかい。

 B 一方で、「社会全体の賃金水準の底上げに向けて労働組合の役割を果たす」などと主張している。片手で競争、競争力と言いながら、反対の手で賃金の底上げ。うまく両立するのかな、と考えてしまう。

 A 今年の春闘は、職場でのみんなの話し合いが重要だと思うね。

 B その通り。2月12日に組合が要求を会社に申し入れし、労使協議会が始まる。真面目に職場討議に参加するよ。
20春闘 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2020/02/06 10:37

◎トヨタ労組春闘要求案 「頑張った人に厚く配分」

 トヨタ自動車労組執行部は、1月27日に20春闘の要求案を組合員に示しました。職場討議をへて2月7日(金)の評議会で採択するとしています。

 「評議会ニュース」の「20ゆめW 要求案特集号」が組合員に配布されました。要求案は「賃金引き上げ・人への投資を合わせて、全組合員一人平均で10,100円を要求する」というものです。

 そのポイントは、「限られた原資の中で頑張った人に更に報いるため、維持分を上回る原資を厚く配分」としています。

 要するに、「頑張った人に厚く配分」というものです。頑張らなかった人は、どうなるの? 

トヨタ労組 20要求案


 この程度のことだけで、さっぱりわかりません。NHKは1月27日夜に執行部が記者会見して発表したと伝えました。そのNHKニュースです。

……
 (トヨタ労組は)ことしの春闘では、去年に続き、ベアの要求額を公表せず、ベアや定期昇給などを含めた総額として、1人当たり月額1万100円を要求します。

 これは、去年の要求額を1900円下回り、労使の妥結額と比べても600円下回る水準です。

 ベアについては、一律での賃上げではなく、5段階の人事評価に応じ、係長クラスで評価が極めて低い社員はゼロにするなど、従来以上に差をつける新たな方法を提案する方針です。

 またボーナスについては、満額回答だった去年を0.2か月分下回る、6.5か月分を要求するとしています。

 トヨタ自動車労働組合の西野勝義委員長は、ベアに差をつける方法を提案したことについて、「これだけ厳しく、自動車産業の構造が変わる大変革期の中で、みんなが頑張っていくマインドにしていくために、組合として会社を支えるという観点から必要だと判断した」と述べました。
……

 NHKニュースは、「ベアについては、一律での賃上げではなく、5段階の人事評価に応じ、係長クラスで評価が極めて低い社員はゼロにするなど、従来以上に差をつける新たな方法を提案する方針」と伝えました。これならよくわかります。

 しかし、「評議会ニュース」には、「5段階の人事評価に応じ、係長クラスで評価が極めて低い社員はゼロにする」などとは、どこにも書いてありません。「頑張った人に厚く配分」するというだけです。

 組合員に配布する「評議会ニュース」は、こんな簡単な説明でよいのでしょうか? メディアの助けを借りなければ組合員にわからないなんて、おかしいですよね。
20春闘 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2020/02/03 10:50

◎両輪でなく、1輪でいいのでしょうか?

 トヨタ自動車労組は、会社と労働組合との関係について、「労使はクルマの両輪」と主張しています。最近も、同労組の第86回定期大会(10月19日開催)報告で次のようにいいます(10月25日発行の「評議会ニュース」)。

 「トヨタは『生きるか、死ぬかの状況』。だからこそ、『労使はクルマの両輪』であるということを、見つめなおす必要がある」

 豊田章男社長は、電気自動車化や自動運転化など「CASE」と呼ばれる「100年に1度の大変革期」であり、トヨタは「生きるか死ぬか」の状態だと危機感を煽っています。

 そうしたことを受けて、組合は改めて「労使はクルマの両輪」と主張しています。両輪ならば、組合として主張すべきは主張しなければ、クルマはどちらかに傾いてしまうでしょう。どちらが欠けてもクルマは走らなくなります。しかし、この間の組合の動きは、両輪ではなく1輪のようになっています。

クルマの両輪
(トヨタ労組の「評議会ニュース」、第86回定期大会の開催結果から)

 18春闘で、会社は賃上げ(ベア)について、「昨年を上回る」という日本語回答をし、具体的な数字は明らかにしませんでした。日本1の利益を上げるトヨタの賃上げの実態が明らかにならず、労働組合の全国組織、連合や上部団体の自動車総連、金属労協(JCM)の集計に入らなくなったのです。

 労働組合は、それぞれの企業の賃金の実態を明らかにし、産業別に共闘して最大限の賃上げを実現する――こうした日本独特の春闘に大きな障壁が出来ました。中小労組や未組織労働者への波及効果も難しくなくなりました。

 ところが19春闘で、トヨタ労組は会社に呼応するように賃上げ要求を定昇込みにし、その中で賃上げ分がどれだけになるかを明らかにしませんでした。このため18春闘に続いてトヨタの賃上げは、どれだけになったかが不明になったのです。

 さらに19春闘の労使協議会で会社は、「“全員一律”の賃上げ(ベア)」を否定しました。これにも呼応するように、トヨタ労組も20春闘から会社が行う個人評価(A~Eの5段階評価など)を基にした要求に切り替える方向といわれています。

 これでは労働組合としての主体性はなくなってしまいます。春闘で重要な労働組合間の連帯も生まれません。「労使はクルマの両輪」ではなく、1輪だけになってしまい、春闘というクルマはまともに走れなくなるのではないでしょうか。
20春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/12/31 13:33

◎昇級・昇格に評価、さらに基本給の引き上げにも評価?

 トヨタ自動車は、19春闘の労使協議会で「“全員一律”の賃上げ(ベア)」
を否定し、トヨタ労組も20春闘から会社が行う個人評価(A~Eの5段階評価など)を基にした要求に切り替える方向といわれています。

 トヨタの賃金では、基本給に当たるのが「職能基準給」です。資格や職務遂行能力に応じたのが「職能個人給」です。事務・技術部門で働く「事技職」「業務職」と工場の現場で働く「技能職」では賃金体系が異なっています。

 「職能基準給」は、これまで職能資格や賃金等級が同じであれば賃上げ額は同じでした。組合は、この「職能基準給」について、個人評価に応じて賃上げを要求し、配分することを検討しているといいます。

 たとえば19春闘では、「事技職」の主任職の事技1等級の引き上げ幅は2100円でした。技能職のCX級で技能1等級の引き上げ幅は800円でした。

あなたの引き上げ幅は?
(トヨタ労組の「評議会ニュース」から)

 組合は、春闘が妥結すると、「あなた自身の引き上げ額は?」といって、計算式を示していました。「職能基準給」と「職能個人給」の引き上げ額を合計すればいいわけです。しかし、個人評価を取り入れれば、こうした計算はできるのでしょうか? 

 もっとも、トヨタの賃金は昇級・昇格しなければ賃金が上がらない仕組みです。会社は、事技職の評価・処遇の見直しを組合に提案しています。職能考課分布の見直しでは、これまでのA~Eまでの5段階の評価を4段階にすること。Aは「期待を大きく上回る能力を発揮」、Bは「期待を一部上回る能力を発揮」したと評価し、それを「見極め」て昇格させるとしています。

 すでに「職能個人給」にも、「成績査定幅」が取り入れられています。「事技職」の主任以上では70~130と2倍近くあります。「事技職」の指導職以下や技能職は85~115の幅があります。

 退職金や年金などにも大きな影響を与えるのが「職能基準給」です。生涯賃金にかかわる「職能基準給」の賃上げに個人評価が入れば、その差はもっと大きくなるでしょう。


 賃金のあらゆるところに評価・査定を導入し、賃上げ要求と配分までに個人評価を取り入れれば、「成果主義賃金」がいっそう強められることになります。

 「成果主義賃金」を率先して導入した富士通が再検討を迫られたり、労働政策研究・研修機構の「成果主義を検証する」では、「『やる気を引き出す』 『会社全体の生産性を上げる』など各論では賛成が多いが、総論である 『自社で導入している成果主義が成功しているかどうか』については、疑問視する声が大きい」――などと指摘しています。
20春闘 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/12/30 11:47

◎一律の賃上げ否定で日本の春闘はどこへ

 “全員一律”の賃上げ(ベア)を否定するトヨタに応じるように、トヨタ労組は20春闘から会社が行う個人評価(A~Eの5段階評価など)を基にした要求に切り替える方向といわれています。

 労働組合は、1人ひとりでは弱い労働者が団結して会社に要求を掲げ、連帯してたたかうのが原点です。日本では、労働組合が産業別に賃上げや労働時間短縮などの労働条件の要求をそろえて、企業にいっせいに提出して闘い、獲得した水準を中小労組や未組織労働者に波及させてきました。

 日本独特のこの闘いは春闘と呼ばれ、60年以上の歴史があります。日経新聞(12月27日付)は、トヨタ労組の動きについて、「組合員の連帯を重視する労組が、組合員の賃金の差につながる傾斜配分を提案するのは異例だ」と書いたように、大きな問題をはらむものです。

 春闘は1990年代までは、鉄鋼や自動車、電機、造船・重機の4産別が大きな役割を果たしてきました。しかし、2000年代になるとトヨタ1社がずば抜けた利益を上げてきたことから、トヨタ労組が“リーダー労組”と呼ばれるようになりました。

80 表 トヨタの賃上げ推移
(賃上げ要求額、妥結額は円。営業利益は億円。20年の営業利益は見通し)

40 グラフ トヨタ賃上げ推移



 そのトヨタ労組は2002年春闘で、1兆円の利益を上げる会社に対し、1000円の要求を掲げましたが、ベアゼロに抑え込まれました。このために、他の企業、産業も軒並みにベアゼロになりました。“トヨタ・ショック”と呼ばれました。

 トヨタ労使は、「たかが100円、されど100円」と激しい攻防をしていましたが、奥田碩会長=当時=が、「いつまで100円玉の争いをしている」と“一喝”したといわれています。

 それ以降2012年までの12年間、途中、リーマン・ショックはありましたが、トヨタが1兆円から2兆円を超えるばく大な利益を上げ続けるなかでも、ベアゼロやトヨタ労組が要求をしない異例の事態が続きました。

 “春闘冬の時代”になり、大企業は内部留保をため続ける一方で、日本の労働者の賃金が上がらない大きな原因となりました。

 2014年、久しぶりにトヨタ労組が4000円の要求を掲げ2700円を獲得し、他の労組も同じように有額回答を獲得しました。それ以降、19年までの6年間は賃上げを実現しています。

 しかし、18春闘でトヨタ労組が3000円の要求をしたにもかかわらず、会社側は「前年を上回る」という日本語回答をしてベア額を非公表にしました。 19春闘では、トヨタ労組がベア要求額を明らかにしませんでした。利益NO1のトヨタの賃上げの実態がまったくわからなくなったのです。

 そして迎えた20春闘。その矢先にトヨタ労組が“全員一律”の賃上げを否定する会社側に足並みをそろえることは、第2の“トヨタ・ショック”につながる恐れがあります。

 トヨタ労組執行部が20春闘の要求案を組合員に示すのは1月下旬です。職場会での真剣な議論が求められるでしょう。トヨタの組合員だけにとどまらない大問題だからです。
20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/12/29 16:16

◎“全員一律”の賃上げを否定してきたトヨタ

 トヨタ労組は、これまで組合員の一律の賃上げ(ベア)要求を掲げていましたが、20春闘から会社が行う個人評価(A~Eの5段階評価など)を基にした要求に切り替える方向といわれています。

 こうした議論は、すでに19春闘の労使協議会で行われていました。第3回労使協(3月6日)で会社側は、「『高い賃金水準』『競争力』の観点を踏まえると賃金制度改善分をもって“全員一律”に賃金を引き上げる必要性はよく考えていかないといけない」と一律の賃上げに否定的な態度を示していました。

 組合側は、「組合員の一体感の観点から、『関係ない人』は作りたくない。『全員に配分される改善分』には拘っていく」とのべ全員の賃上げを強く求めていました。

 ところが豊田章男社長はこの労使協の場で、「今までの労使協で、今回ほどものすごく距離感を感じたことない。こんなに噛み合っていないのか。組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝。労使協の場は凍り付いたといいます。

19春闘 第3回労使協
(19春闘の第3回労使協議会を受けて出されたトヨタ労組の「評議会ニュース」から)

 一時金は、これまで会社は、組合の要求通りに夏冬年間で満額回答するのが通例でしたが、夏の回答しか示しませんでした。

 19春闘が終わると組合側は、「トヨタがおかれている状況の認識の甘さを深く反省」すると社長への謝罪とも受け取れる「評議会ニュース」の緊急特集号を出しました。

 冬の一時金を議論する秋の労使協議会で会社側は、組合の要求通り満額回答するとともに、「頑張っている人がより報われる会社を実現」するとして、最高に評価されている労働者には18年冬の1・5倍へ大幅に増やすことを明らかにしました。

 世界の自動車産業は、「CASE」と呼ばれるグーグルなどIT企業も巻き込んだ「100年に1度の大変革期」(豊田社長)のなかで、トヨタは「生きるか死ぬか」の状況であり、組合員は頑張れ、頑張れと煽られ続けています。

 こうしたなかで出されてきたのが、個人評価に基づく賃上げ要求の方向です。今年夏に全員に配布された「社員手帳」。その「第5章 私たちの心構え」のなかの1つに「チームワーク」があります。

 「自分の役割を果たし、相手の長所を引き出しながら、助け合う。自分とチームの力を高める」――個人評価を前面に出して、助け合えるのか、チーム力を高めることができるのか…。
20春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/12/28 17:20

◎賃上げの配分 「評価で5段階」に? トヨタ労組

 「より頑張っている人に報いる原資として維持分を上回る賃金引き上げを要求していきたい。その意味で、メリハリをこれまで以上につけて配分をしたいと考えている」

 これは、トヨタ労組が12月26日に発行した「評議会ニュース」の20春闘第2回情勢報告の部分です。

 「より頑張っている人」に、「メリハリをこれまで以上につけて配分をしたい」――といって、これまでの一律賃上げ(ベースアップ=ベア)をやめて、賃上げ総原資を会社が評価する人に手厚く配分するというものです。

 冬の一時金の労使交渉の場になった秋の労使協議会で組合は、「変われていない組合員を守るのではなく、変えていく」と主張しています。こうした立場からの提案です。

 日経新聞が、「労組、『評価で5段階』提案」などと報じたことから、年末の時期にトヨタ労組の春闘の取り組みがメディアで大きく取り上げられています。

 18春闘で、会社がベア額を非公表にし、19春闘では組合がベア要求額を示しませんでした。日本の大企業でダントツの利益NO1企業のトヨタ労使の対応に、連合春闘を崩すものと言われています。今回の個人評価を基にした賃上げ配分は、それを加速させるものです。

テクニカルセンター
(トヨタのテクニカルセンター)

 日経は、「現行のA~Eの5段階の人事評価を反映し、賃上げ幅に差をつける案が有力」としており、トヨタ労組が具体的な案を示しているわけではありません。トヨタ労組が20春闘の要求案を組合員に示すのは20年1月下旬です。

 人事評価とは何でしょうか? たとえば第6回労使専門委員会では、事務技術職の評価・処遇の見直しが提案されています。職能考課分布の見直しでは、これまでのA~Eまでの5段階の評価を4段階にするとしています。

 それによると、Aは「期待を大きく上回る能力を発揮」、Bは「期待を一部上回る能力を発揮」したと評価。それを「見極め」て、昇格させるとしています。個人評価をますます強めるものです。

 今回の組合の提案は、こうした個人評価を賃上げ配分にも用いるというのでしょうか? 労働組合は、1人ひとりでは立場の弱い組合員が団結し、連帯してたたかう組織です。個人評価を強めれば、それが損なわれる恐れがあります。評議会、職場会での真剣な議論が必要です。
20春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/12/27 21:05

◎トヨタ労組 20春闘の取り組みは?

 トヨタ労組が20春闘の「取り組みにあたって」を「評議会ニュース」に発表(12月4日)しています。トヨタ労組が加盟する労働組合の全国組織・連合は、20春闘の賃上げ要求として、定期昇給相当分2%、ベースアップ(ベア)を2%程度としました。ベア2%程度は5年連続になります。

 トヨタ労組の具体的要求は、例年、1月に執行部が提案します。18春闘では会社側がベア回答額を非公表にし、19春闘では組合がベア要求額を示さず、利益NO1のトヨタの労使のあり方が大きな問題になりました。

 「取り組みにあたって」では、トヨタの連結利益は横ばい、単独では減益の見通しであるとして、「CASE関連の研究開発費が増加していくため、 TPS(トヨタ生産方式)・原価低減といったオリジナルの競争力で 稼ぐ力を上げていかないといけない」としています。

 また、「さらなる競争力強化にむけて」では、「TPS、原価低減、3Iの実施(ベターベターの精神)」や「豊田綱領」などをあげています。
「3I」とは、「Imitation模倣/Improvement改善/Innovation革新」です。

 TPS・原価低減、「豊田綱領」などは、豊田章男社長が強調しているトヨタの競争力強化に向けてのキーワードです。

80 toyota 労組 20春闘にあたって
(トヨタ労組の評議会ニュースから)

 「賃上げの4つの観点に対する現時点の執行部見解」では、春闘の「リーダー労組」を自認してきた組合として、「社会に与える影響」があるとして、2点を強調しています。

① トヨタが賃上げを控えた場合、支えてくださっているトヨタグループ関係各社全体の賃金の底上げに向けた活動に水をさすことになる。
② 更には日本全体の景気の腰折れを招きかねない。

 その通りでしよう。「日本全体の景気の腰折れを招きかねない」ように、20兆円を超える内部留保ダントツのトヨタに、ドーンと賃上げを要求しようではありませんか。トヨタ労組の社会的責任を果たそうではありませんか。
20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/12/14 18:15

◎ベア2% 連合が20春闘構想案

 労働組合の全国組織、連合は10月24日、中央執行委員会で2020年春闘の基本構想案を確認しました。12月3日に開く中央委員会で正式に決める予定です。

 賃上げ要求は、定期昇給相当分2%、ベースアップ(ベア)を2%程度としました。ベア2%程度は5年連続になります。

 構想案は、社会全体に賃上げを促す「底上げ」、中小企業や非正規雇用の水準を引き上げる「格差是正」、企業内最賃協定の「底支え」の各要求を設定しています。

連合本部
(連合本部=東京都千代田区)

 企業内最低賃金は、時給1100円以上としました。

 非正規雇用の目標水準は、勤続17年相当で時給1700円、月給28万5000円以上と設定。中小企業は最低到達水準と目標水準を設け、30歳でそれぞれ23万5500円と25万6000円としました

 連合集計では、19年春闘の実績は、ベアと定期昇給分をあわせた平均賃上げ率は2・07%でした。

 日本のトップ企業のトヨタ自動車の春闘は、リーマン・ショック後の09年春闘以来、13年春闘までの5年間、ベアゼロ状態が続きました。ようやく14年春闘で4000円要求して2700円の賃上げを獲得しました。

 15年春闘(6000円要求で回答は4000円)、16年春闘(3000円要求して回答は1500円)、17年春闘(3000円要求して回答は1300円)でした。

 ところが18春闘では、組合の3000円要求に、会社側はベア額を非公表とする異例の対応に出ました。19春闘では、組合側がベア要求額を示さない事態になりました。

 20春闘では、日本の春闘の「底上げ」「格差是正」「底支え」のためには、トヨタのベア非公表を打ち破ることが強く求められています。
20春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/10/25 15:57
 | HOME |