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◎トヨタが中途採用を増やすワケ

 日経新聞(10月3日付)は、1面に「トヨタ、採用の5割中途に」という記事を掲載しました。中途採用の割合を18年度の1割から3割に引き上げ、中長期的に5割とするものです。

 このブログ「トヨタで生きる」では、これまでもトヨタ自動車が、ネットで「CAREER RECRUITING」(キャリア採用情報)をしていることなどをアップしてきました。自動運転化など「CASE」に対応するには、これまでの新卒対応では間に合わないからです。

 2年前の2017年夏、トヨタがIT技術者をなりふり構わず引き抜こうとしたことで話題になりました。富士通やNEC、日立など電機大手の事業所が立ち並ぶJR南武線(東京都、神奈川県)沿線の駅に、トヨタが広告を貼りだしたからです。

 「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい」などという露骨な引き抜きでした。それ以降もトヨタは、キャリア採用を大々的に募集しています。

 トヨタの社員は約7万5000人ですが、そのうち事務技術職が2万7000人を超えます。しかし、それでも「CASE」に対応できる技術者が足りないのです。

30 トヨタのキャリア採用
(トヨタのネットでのキャリア採用募集広告)

 ネットでは、細かく職種を示して募集しています。

 IT・システムAI データサイエンティスト セキュリティ 生産技術開発 生産・製造技術 品質管理 研究開発 事業企画 システム開発 材料開発 エネルギー企画 機械エンジニア 電池エンジニア 電気エンジニア 制御エンジニア 化学エンジニア ソフトウェア開発 IoT 新規事業企画 事業企画 知財 認証 通信 評価・解析 品質保証開発 マーケティング 商品企画

 また、「新卒博士」では、技術系(博士後期課程在学者向け)募集職種として、「人工知能技術、ビッグデータに関わるコーポレート戦略立案、および人工知能技術、ビッグデータを活用した、新ビジネス創出、業務改革」をあげ、働く場所は東京、豊田市としています。

 東京は、どん真ん中の日本橋です。ここに2018年10月からトヨタ第3の本社とも呼ばれるトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)がオープンしたからです。

 三河の豊田市では不利と見て、日本橋に人工知能などの先端技術者を集めようというものでしよう。

 先の日経新聞は、「中途でも幹部職で採用となると、初年度から年収1000万円以上から始まり従来の年功序列を崩す可能性がある。成果主義を強め、柔軟に給与面で処遇する方針だ」と書きます。

 キャリア採用については、自動車産業だけではなく他の産業・職種と猛烈な争いになっているからです。これまでの賃金体系が大きく崩れていくことになるのでしょうか。

                              ◇

 この記事は、10月10日にアップする予定でしたが、都合により8日にアップしました。
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決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/10/08 10:08

◎トヨタの社内報「トヨタイムズ」 タテシナ会議で死亡ゼロへ

 トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」の9月号。交通事故死傷者ゼロへの挑戦へと「タテシナ会議」の8ページ特集を組んでいます。長野県茅野市の蓼科山聖光寺で、トヨタグループの幹部が集まった会議(7月18日)の様子を伝えています。

 同寺は、奈良・薬師寺の別院。豊田章男トヨタ社長や副社長、TRIのギル・プラットCEO、あいおいニッセイ同和損保、スバル、スズキ、マツダ、ダイハツ、日野自動車、ブリヂストン、住友ゴム、デンソーなどのトップが集まりました。

ト20 ヨタイムズ 蓼科会議


 会議では、高齢者の事故が大きな社会問題になっているだけに、自動運転車についてをふくめ、これにどう対応するかが話し合われました。

 高齢者になっても高速道をスープラで走ってみたいという話が皮切りになりました。豊田社長は、TRIの自動運転の車が、いつ頃に車に実装できるかとの質問をぶつけました。

 ギル・プラットCEOは、2020年代前半と回答。吉田守孝副社長は、故顧客の求める価格などを指摘した上で、「喫緊の課題として、後付けのシステムのレベルアップと普及に向けた原価低減に取り組んでまいります」とのべました。

 確かに日本社会は、車がなくては野菜など日常の品物も手に入らないというクルマ社会になってしまいました。高齢ドライバーにとっては、トヨタの予防安全パッケージの「トヨタ・セーフティ・センス(TSS)」や「レクサス・セーフティ・システム(LSS)」を搭載した車は、とても高額で手に入らないでしょう。低額の後付けシステムは切実です。

 スバルの中村知美社長は、トヨタのセーフティセンスと同様のシステムをアイサイトという名前で販売しているとのべたのをはじめ、スズキ、マツダ、ダイハツ、日野自動車、ブリヂストンなどから相次いで発言が続きました。

20 タテシナ会議 社長


 豊田社長は、「先進技術開発でコストが積み上がれば、マージンを削ってでもお客様に適正な価格でお売りします。それでもトヨタの価格はまだ少し高いらしいですけど(笑)」などと発言し、会場をわかせました。

 そう、交通事故死傷者ゼロへは、2兆円を超える日本1のダントツの利益をあげているトヨタが、“マージンを削ってでも”高齢者ら顧客の求める価格で予防安全パッケージなどを販売して欲しい。そうしてこそ世界のトヨタにふさわしいでしょう。

 タテシナ会議の様子の最後には、次のデータが付けてあります。

……
 国内の交通事故の死者数は聖光寺が建立された1970年がピークで1万6765人。1959年から死者数は年間1万人を超え、「交通戦争」と呼ばれる時期があった。その後、交通安全へのさまざまな取り組みにより、2018年には統計開始以降で最少の3532人まで減少している。
……
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/09/30 16:13

◎スバルがトヨタグループへ

 トヨタ自動車9月27日、SUBARU(スバル)に追加出資し、出資比率をいまの16・8%から20%に引き上げる、と発表しました。スバルもトヨタに出資します(1%未満)。

 同日、トヨタは、「議決権比率は現状の16.83%から20%以上となり、SUBARUはトヨタの関連会社となる見込みです」と表明しました。スバルが持ち分法適用会社になるからです。

 これにより、スバルの損益は、出資比率に応じてトヨタの連結決算に反映されることになります。スバルは18年3月期で、世界で106万台を販売しています。

 トヨタグループ入りになると、トヨタグループの世界販売は、ダイハツ工業、日野自動車を加え1100万台以上になり、独フォルクスワーゲン、日産・ルノー・三菱自工グループを抜いて1位になる見通しです。

 トヨタとスバルは、これまでにスポーツカーを共同開発し、トヨタは製造をスバルに委託して「86(ハチロク)」の名称で販売し、スバルは「スバルBRZ」の名称で販売してきました。

スバルのBRZ
(スバルのBRZ=2013年の東京モーターショーで)

 さらに今回の出資拡大で、86/BRZの次期モデル共同開発やスバル車へのハイブリッドの搭載拡大、コネクティッド領域での協調、自動運転分野での技術連携などをすすめるとしています。

 スバルは、2017年以降に無資格者による完成車検査や、排ガス・燃費データの改ざんの問題が相次いで明らかになり、企業責任が厳しく問われてきた経過があります。こうした不正の企業風土は根絶されたのでしょうか。

 トヨタは、マツダやスズキともお互いに出資しており、自動運転化など「CASE」と呼ばれる「世界の自動車産業の100年に1度の大変革期」(豊田章男社長)のなかで、国内で巨大なトヨタのグループが形成されることになります。

 国内の自動車産業は、トヨタ、日産、ホンダの3つの巨大グループへと集約されることになり、自動車産業の独占化がすすむことになります。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/09/28 18:29

◎トヨタ 米テキサス工場に420億円投資

 トヨタ自動車は9月17日、米国テキサス州サンアントニオ市のToyota Motor Manufacturing, Texas, Inc. (TMMTX)へ2021年までに約4億ドル(約420億円)を投資する計画を発表しました。

 同工場では、ピックアップトラックの「タンドラ」「タコマ」を生産しています。米国では、ライトトラックへの高い需要が続いています。トヨタは、「新しい生産設備の導入など工場の刷新を進めるもの」としています。

 今回の投資は、2021年までの5年間で約130億ドルを米国へ投資するとした計画の一環です。

 トヨタグループのアイシン・エィ・ダブリュ(AW)も同日、米国での新生産拠点を、テキサス州シボロ市に建設すると発表しました。同社は2023年までの5年間で、約4億ドルの投資と、約900人の新規雇用を予定しています。

80 トヨタ テキサスの工場
(Toyota Motor Manufacturing, Texas, Inc. のホームページから)

 「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領は、自動車や鉄鋼などの産業が集中し、衰退する5大湖周辺のラストベルト地帯の支持者らを意識し、トヨタなど日本の自動車メーカーに米国への投資圧力をかけています。

 安倍首相は、新天皇即位後の初の国賓としてトランプ米大統領を5月に招きました。同大統領は、駐日米大使公邸でトヨタの豊田章男社長ら約30人の大企業トップらと夕食会を開催。まず豊田社長が「どこにいるのか?」と探し、「米国に今後も投資してほしい」などと要請したといいます。

決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/09/19 10:30

◎トヨタとスズキが資本提携

 トヨタ自動車とスズキが8月28日、資本提携するというニュースが流れました。トヨタとスズキが、同日開いた取締役会で決議したものです。トヨタがスズキの株式の約5%、960億円で取得し、スズキも480億円でトヨタの株式を取得するというものです。

 トヨタとスズキは、2017年2月に業務提携を結び、トヨタのハイブリッド車の技術をスズキに提供する一方で、スズキの海外の最大の市場のインドで、お互いに車を供給しあうことを決めるなど協力関係を拡大してきました。

 しかし、「CASE」や「MaaS」(Mobility as a service)と呼ばれる世界の自動車産業の「100年に1度の大変革期」(豊田章夫社長)のなかで、いっそうの提携が必要だとして資本提携に踏み切ったものです。

80 表 世界販売トップ トヨタとスズキで
(日経新聞から)

 日経新聞は、両社の資本提携で2018年のトヨタグループの世界販売(1059万台)、スズキの世界販売(333万台)を合わせると1392万台になり、ダントツの世界1になるとしています。

 読売新聞は、トヨタがこれまでにダイハツを完全子会社化し、日野自動車には50・2%出資、スバルには16・8%出資、マツダには5・1%出資、ヤマハには3・6%出資したことをわかりやすく表にしています。

表 トヨタの出資 読売
(読売新聞から)

 日本の自動車メーカーは、合わせると世界1の生産量になっていますが、トヨタグループ、日産グループ、ホンダの3つに分かれ、独占化が急速に進んでいます。

決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/08/28 21:14

◎トヨタが北米本社をテキサスに移したわけは?

 日経新聞(8月15日付)に、同新聞コメンテーターの中山淳史氏が、「なぜトヨタはテキサスに 米国の『未来の断片』」という面白い記事を掲載している。

 アメリカに大企業が本社を置くのは、ニューヨーク市やカリフォルニア州が定番である。アップルなどハイテク企業がシリコンバレーのあるカリフォルニア州に本社を置いており、新製品の発表ごとに世界から人が集まる。

 日本の大企業では、東京にほとんどが本社を置いており、愛知県豊田市に本社を置くトヨタ自動車は例外的なほどだ。そのトヨタが、カリフォルニア州のトーランス市にあった北米本社をテキサス州のダラス近郊のプレイノ市に移した。

 なぜ、こんなところに? という疑問を持っていたが、記事を読んで納得した。カリフォルニア州には、法人・所得税率がゼロという優遇策があるからだと中山氏は書く。

 世界では、タックス・ヘイブンといわれる法人税や所得税ゼロなどのところへ企業の所在地を移して、税逃れをしている大企業が後をたたない。ペーパーカンパニーと批判されようとも意に介さない。

 中山氏は、「トーランス市は雇用全体の5%強が失われる格好になり、激震に見舞われた。トヨタは結局、6千人の新規雇用をテキサスにもたらした」と指摘する。

40 トヨタ 北米本社紹介ビデオから
(トヨタの北米新本社紹介ビデオから)

 その上で、こう書く。
……
「トヨタ・エフェクト(効果)」あるいは「エンドースメント(裏書き)・バイ・トヨタ」という言葉が今もテキサスではよく聞かれる。「慎重で、石橋をたたいても渡らないと言われたトヨタが動いたのだから、きっと何かある」。そんな空気が日米の企業を問わず、広がった。
……

 日米の大企業に疑心暗鬼が広がったという。中山氏は、北米本社への取材などで、ダラスはカナダ、米国、メキシコの3カ国のほぼ真ん中で、直行便が世界244都市に毎日飛び、米国内ならどこでも日帰り出張が可能だということ。

 住宅価格も、ロサンゼルス、サンフランシスコの3分の1から半分程度。高速道路や環状線の整備も進み、カリフォルニアのような深刻な渋滞はない――などをあげている。

 一方、カリフォルニアには住居費の高騰で3時間かけないとサンフランシスコに通勤できない人など同州が飽和状態になっていることなどをあげている。

 飽和状態なら東京も変わらない。それなのに日本では東京から地方へ本社を移す大企業はほとんどない。再放送されているNHKの朝ドラ「おしん」では、1923年の関東大震災に襲われ、住居、工場を失くした一家が夫の佐賀へ帰る話になっている。

 その関東大震災からもうすぐ100年。首都直下型地震の恐れがいわれるなかでも東京への人口集中と企業の本社の東京移転は止まらない。税金だけで企業が動くのは、もはや時代錯誤ではないのか?
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/08/17 10:03

◎“磨き続ける競争力” 決算発表で副社長がプレゼン

 トヨタ自動車は決算発表で、本来の決算内容とは別に、「TPS・原価低減の具体例」(19年3月期決算)などを発表しています。20年3月期第1四半期決算発表(8月2日)では、吉田守孝副社長が「もっといいクルマづくりの中で、磨き続ける競争力」のプレゼンを行っています。

 同副社長のプレゼンテーション資料によると――。

 はじめに、「世界の自動車産業の100年に1度の大変革期」(豊田章男社長)であっても、「変えてはいけないこと」は、「競争力を磨き続けること」であると強調しています。

 その上で、「もっといいクルマづくり」(豊田社長)のために、これまでグローバルで1000万台の生産・販売を続け、フルラインアップ(乗用・商用・環境車・スポーツ)などで競争力を磨き続けてきたことをあげています。

 その具体例としてTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)とカンパニー制をあげています。

 その2つの成果として、4代目プリウスをはじめとして15モデル、300万台(全体の3割)をTNGAへ切り替えたこと。顧客から、デザイン、走り、低燃費、装備でいい声が寄せられているとしています。

 TNGA導入で、「確実に競争力は上がり、商品も良くなった」が、「車両原価は不十分」であり、「TPS・原価低減の推進」をしなければならないと強調しています。

 具体的には、これまでよりTNGA導入で、「開発工数」を約25%減らし、設備投資を約25%減らしたものの、「車両原価」では、「環境対応安全装備」がアップして約10%にとどまっているとしています。

TNGA効果
(吉田副社長のプレゼン資料から)

 顧客の嗜好は、米国市場のように、セダンからSUV、トラックに変わったこと。大型ディスプレイやスマホとの連携などもあげています。世界的な自動車への環境規制の強化で、電気自動車などの電動車の投入を5年程度前倒しすること。CASEの進展で、モビリティーサービスがいっそう重要になっているとしています。

 さらなる競争力強化のために、カンパニー制の強化、TNGAの進化、他社との協業を通じた仲間づくり、CASEを見据えてヒト、モノ、カネをシフトさせるとともに、人財育成は不可欠としています。

 今年9月に、12代目となるカローラセダン、ワゴンをフルモデルチェンジすることをはじめ、21年末までには新モデルを18車種投入するとしています。

 吉田副社長のプレゼンは、CASEをにらんだトヨタの経営戦略をまとめたもので、その基本は競争力にあり、トヨタの力の源泉であるTPS・原価低減にいっそうの磨きをかけるというものです。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/08/08 15:14

◎トヨタ 1人勝ちだが 自働車7社の4~6月決算

 自動車7社の2020年3月期第1四半期決算(19年4~6月)が出そろいました。トヨタ自動車とスバルが増収増益になったものの、日産自動車など5社は減収減益になりました。

 トヨタ1人勝ちが鮮明になりました。トヨタは、売上高が7兆6460億円(前年同期比2833億円増)、営業利益は7419億円(同592億円増)で、 グループの総販売台数は、270万9000台で、前年同期比9万3000台増でした。

 日産自動車は、営業利益は前年同期比99%減のわずか16億円に減少。販売台数は、米国で-3・7%、欧州で-16・3%、日本で-2・6%、全体で-6・0%になりました。

 このため、世界で1万2500人の人減らしをふくむリストラを実施すると発表しました。日産・ルノー・三菱自動車に君臨していたゴーン前会長の逮捕・起訴と重なり、厳しい局面を迎えています。

自働車大手7社 19年3月期第1四決算 朝日
(自動車7社の4~6月決算=朝日新聞、8月6日付から)

 本田技研工業も、営業利益は2524億円で、前年同期比15・7%減になりました。四輪は、1万6000台増えて132万1000台になったものの、2輪はインドなどで大幅に減り、43万1000台減の492万1000台に落ち込みました。

レクサス ES
(トヨタのレクサスES)

 安倍政権は、10月に消費税を8%から10%へ引き上げるとしており、買い控えが起きることが予想され、国内販売は厳しくなりそうです。それに加えてトランプ米大統領が中国を「為替操作国」に認定したことで、世界経済は落ち込むと見られており、国内、海外とも自動車販売は予断を許さない状況になっています。

決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/08/07 22:01

◎トヨタ 20年3月期の営業利益を下方修正

 トヨタ自動車は8月2日、2020年3月期の第1四半期(19年4~6月期)連結決算で、通期の見通しとして、売上高を期首見通しの30兆円から29兆5000億円、営業利益を同2兆5500億円から2兆4000億円にそれぞれ下方修正しました。

 グループの総販売台数は、期首見通しの1074万台から1073万台へと1万台減としました。

60 トヨタ 2020決算見通し 第1四半期
(トヨタの決算プレゼンテーションから)

60 トヨタ 2020台数見通し 第1四半期
(トヨタの決算プレゼンテーションから)


 為替の前提を1ドル=110円から106円、1ユーロ=125円から121円へとそれぞれ4円円高に見直したのが要因です。米中の“貿易戦争”などを見越したものです。

 第1四半期決算は、売上高が7兆6460億円(前年同期比2833億円増)、営業利益は7419億円(同592億円増)と増収増益でした。

 グループの総販売台数は、270万9000台で、前年同期比9万3000台増でした。

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、22兆3262億円で、19年3月期決算より、わずか3カ月で3387億円増やしました。日本の大企業でダントツの1位です。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/08/04 21:29

◎トヨタの競争相手はトヨタのボデーメーカー?

 昨年(2018年)の5月31日にスタートした「労使拡大懇談会」。それから1年以上が過ぎ、6月度の労使拡大懇が開かれました(6月28日)。トヨタ労組の「評議会ニュース」が報告しています。

 今回は、TNGA推進部の北原一秀室長が内製工場の競争力強化についてのべ、河合満副社長が想いについて語りました。

 北原室長は、トヨタの国内生産約300万台のうち、元町や堤、高岡、田原の内製工場で106万台、トヨタ車体などのボデーメーカーでは208万台を生産していること。内製工場は、販売が低迷するセダンを生産しているのに対し、ボデーメーカーは売れ筋のSUVやミニバンを生産していると指摘しました。

 そして、次世代車へシフトするなかで、トヨタの大黒柱のハイブリッドに代わってEVが主役になってきた場合やEVの生産は中国が主役になってきた場合、生産力に影響するとして、内製工場の競争力が仕事を獲るカギになるとのべました。

高岡工場
(高岡工場門前に展示されている同工場で生産した車)

 ボデーメーカーでは、故障したロボットも治具も自ら直すなど、ハングリーに仕事を確保していることなどをあげ、ボデーメーカーが競争相手になりうるとして、内製工場がチャレンジャーとして「仕事を獲りに行こう」と強調しました。

 河合副社長は、昔は「勝つか負けるか」で「もう一度頑張れる時代」だったが、今は電動化などで異業種が参入するなか、トヨタは「生きるか死ぬか」の時代になったと強調。「自分の目の前の仕事を少しでも良くしていこう」とのべました。

 19春闘の労使協議会で豊田章男社長は、「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と“一喝”しました。6月度の労使拡大懇も、オールトヨタのなかでのいっそうの競争力強化を組合側に求めるものになりました。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/07/06 11:14

◎「トヨタテクニカルセンター下山」 一部がオープン

 トヨタ自動車が豊田市と岡崎市にまたがる山岳地帯に、テストコースなどの新研究開発拠点をつくっていましたが、その一部がオープンしました。「トヨタイムズ」で6月27日、モリゾウ(豊田章男社長)が書いています。

 「トヨタテクニカルセンター下山」というもので、トヨタ本社から東南へ15kmほどのところです。新東名高速道路や東海環状自動車道が近くを通る交通の要所です。ここで働く人は最終的に3850人にのぼる予定です。

一部オープンしたのは「第3周回路」というテストコースといいます。別名で「カントリー路」と呼ぶといいます。

豊田 テクニカルセンター下山
(「トヨタイムズ」から)

グーグルアース トヨタ下山
( 造成中の「トヨタテクニカルセンター下山」=グーグルアースから)

 「登り坂、下り坂、右コーナー、左コーナーなどが組み合わさった道のことで、まさに田舎の山道のような道」(モリゾウ)といいます。6月からテストドライバーの職場が移り「“走っては直す、走っては直す”を繰り返すクルマづくりが始まっていきます」(同)というわけです。

 テストコースは、新車の開発ですからこれまでは秘密の場所でしたが、これからはオープンにしていくとしています。激しいアップダウン、先が見えないコーナーの連続というドイツのニュルブルクリンクの4分の1のコースといいます。

 モリゾウも走ったという、このテストコース。レーシングドライバーがスープラで走る様子がユーチューブの動画でアップされています。

https://toyotatimes.jp/morizo/015.html?padid=from_t-times_top_main_morizo015_190101
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/06/28 15:35

◎社外取締役って? トヨタ、年1億円の報酬

 トヨタ自動車の株主総会(6月13日)で、9人の取締役が承認された。このうち3人が社外取締役である。三井住友銀行の工藤禎子常務執行役員(54)、菅原郁郎元経済産業事務次官(61)、フィリップ・クレーブン元国際パラリンピック委員会会長(68)である。

 いずれも再任された。工藤氏は、トヨタで初めての女性取締役として話題になった。菅原氏は、経産省からの天下りだ。3人への現金報酬枠は、「年額3億円以内」という議案も総会で承認された。

 1人当たり約1億円にもなる高額報酬である。総会の議案によると、3人は18年度での取締役会(全13回)に、いずれもすべて出席し、「適宜発言」を行っているという。

40 ◆トヨタ本社地区5 グーグルアース
(トヨタ自動車本社=愛知県豊田市、グーグルアースから)

 大企業が社外取締役を増やしている。背景には、日産自動車や東芝、自動車各社の品質不正など企業不祥事が頻発し、第3者の視点で経営をチェックするというのが社外取締役の役割である。日経新聞(14日付)は、「社外取締役 知らぬが仏? 相次ぐ不祥事、第3者目線働かず」の記事を掲載している。

 スルガ銀行の不正融資などをめぐって、第3者のチェック機能が働かなかったと指摘する。問題の事実を、社外取締役が「知り、また知りえた証拠もなかった」として、善管注意義務などの法的責任は認められなかったという。

 「善管注意義務」と聞きなれない言葉だが、「受任者(取締役のこと)は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」(民法644条)ことを求められる。

 日経は、社外取締役といっても「お飾り」だったという。スルガ銀行の第三者委員会で委員長を務めた中村直人弁護士は、「重要な会議への参加や議事録を閲覧できる権利、監督官庁や業界団体などへの苦情情報などを社外取締役が直接見られるようにする仕組みづくりなどを助言している」という。

 また、ある企業の社外取締役は、「経営陣などを入れずに50代の部長クラスと飲み会を開き、生の声を聞く」という例もあげている。果たして企業不祥事は、こうしたことだけで無くなるのか?

 労働組合や労働者の内部通報も大きな役割を果たすことが求められている。しかし、大企業のほとんどは連合加盟の労組だが、そうした役割を果たしたという声はほとんど聞かない。

 トヨタの菅原社外取締役は、トヨタ自動車労組の4月度の労使拡大懇談会に出席した。「生きるか死ぬかとは?(本当?誰が死ぬのか??)」との問いに、「生きるか死ぬかは、皆さんとご家族 これは抽象論ではなく皆さん自身の問題」と指摘した。

 その上で、アップルのiTuneの出現(2001年)でCDが売れなくなり、CD関連の製造業の人がいらなくなったこと。一方、ダウンロードが急激に増えて楽曲の消費量は格段に上がった例を示すなどした。

 これでは、会社の方針を伝えるだけである。企業不祥事が起きないように、第3者の目で労働組合にアドバイスすることなどがあってもいいのではないのか? “お飾り”にならないように。日経の記事を読みながら考えた。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/15 20:52

◎高齢者事故への対応は? 第115回トヨタ株主総会

 トヨタ自動車の第115回株主総会が6月13日(木)午前10時からトヨタ本社本館ホールで開かれた。朝から夏を思わせるような日差しだった。いつものように早めに出かけた。9時過ぎに会場に着いたが、すでに第一会場はいっぱいだった。

 なんと過去最高の5546人が参加した。玄関前の広場に新型のセンチュリー、スープラなど3台が展示されていた。多くの人が写真を撮っていた。


12 トヨタ株主総会 カンバン


スープラ
(展示されていたスープラ)

 大型バスが次々と入ってくる。すごい数だ。受付には長い行列ができ、並んでから受付が終わるまで20分ぐらいかかった。ディズニーランドのアトラクションに並んでいる気分だった。本社2階の第5会場の会議室に入ったが、ここも満員だ。

 10時から豊田章男社長の議長で総会が始まった。映像による事業報告から始まり、第1号議案から4号議案までの提案があった。

 4号議案には驚いた。取締役9人の現金報酬枠を「年額30億円以内」(うち、社外取締役は年額3億円以内)とした上で、新たに株式報酬枠を設け「年間40億円以内」とする議案だった。合わせて「年額70億円以内」(うち、社外取締役は年額3億円以内)という報酬を2倍以上にする議案だったが可決された。

 豊田社長は、「自動車産業は100年に1度の大変革期を迎えている。モビリティ―社会を株主と築いていきたい」などとのべた。質疑応答では13人が発言した。経営問題、EV化、株価問題、豊田章男社長に関する質問などが出た。

 今年は3人がプリウスについて質問したのが印象に残った。東京・池袋で87歳の高齢者が運転するプリウスによって、12人が死傷(4月19日)するなど、高齢者の運転事故が次々と起き、社会問題になっている。

 質問では、プリウスの安全に関する技術開発はどうなっているのかとたずねる株主がいた。別の株主はブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐために、メーターパネルにブレーキ表示を付けたらどうか、技術的にもすぐにできるはずだ、などと提案があった。

 株主としても、トヨタに早急に対策を求めたのだろう。それに対する会社の回答は、「後付けの踏み間違い加速制御システムを拡大していく」などに留まった。自動運転の車を市場に出す前に、自動車メーカーとしてもっと具体的な手立てを打つ必要があるのではないか?

 自動運転車の頭脳にあたるAI(人工知能)の専門家としてトヨタがヘッドハンティングしたギル・プラット氏が通訳をまじえながら発言した。同氏は、トヨタが米シリコンバレーに設立した「TRI」(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)の最高経営責任者(CEO)だ。

 同氏は、トヨタに入った理由として、自分が子供の頃、目の前で友達が自動車事故で死んだこと。その事故を起こしたドライバーが歩道で泣いていたことなどをあげ、安全な車をつくりたいと思い、努力しているという話だった。高齢者の事故が問題として出されただけに、技術的に踏み込んだ、具体的な話を聞きたかった。

株主総会 記念品 (1)
(総会の記念品)

 豊田社長は、質問が終わるたびに自分の考えや会社の方針をアピールしていた。全体として、「大変革期」といってもトヨタは大丈夫だという印象を持った株主が多かったのではないかと思う。

 総会の雰囲気と、「生きるか死ぬか」と激しい言葉が飛び交う職場の雰囲気とは大きなギャップがあると思った。外部の人には、なかなかわからないと思う。研究・開発に携わる技術労働者は、どう思っているのかが気になった。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/06/14 15:10

◎トヨタ 役員報酬 1人当たり3億円?

 トヨタ自動車は、今日6月13日(木)、株主総会を本社本館ホールで開きます。その招集通知には、19年度の取締役と監査役の報酬などが提案されています。

 このうち役員報酬は、13名で6憶8800万円。社外取締役を除くと、7名で5億9100万円です。役員賞与は6名で12憶5700万円です。

 両方で、何と18億4800万円にもなります。役員報酬と役員賞与の人数は違っていますが、6名とすると1名当たり3億800万円になります。

40 役員報酬
(トヨタ自動車の株主総会招集通知に提案されている19年度の取締役と監査役の報酬)

 最新の2018年3月期決算報告書によると、17年度の役員報酬と賞与は、社外取締役を除いた9名で、合計18億3600万円でした。1名当たり2億400万円です。19年度の役員の人数は減っていますが、1名当たり1億円も増えることになります。

 日産のゴーン・元会長が逮捕(18年12月)されたことで、高額の役員報酬が、改めて問題になりました。ゴーン被告の起訴理由の1つは、役員報酬を2011年3月期からの8年間で約91億円過少記載していたことでした。実際の報酬は、その約2倍でした。

 有価証券報告書には、1億円以上の報酬がある役員は記載する義務があります。トヨタの17年度の1億円以上の役員は5名いました。豊田章男社長は3億8000万円でしたが、Didier Leroy取締役は10憶2600万円と10億円を突破しています。

60 トヨタ 役員報酬 1億円以上 2017年度
(トヨタ自動車の有価証券報告書に記載された17年度の報酬が1億円以上あった役員)

 金融庁が年金以外に「30年で約2000万円の資産が必要」などの報告書をまとめたことが問題になっています。国民は、老後のために30年間で2000万円もためることができるのでしょうか? その一方で大企業の役員はたった1年で数億円の報酬を受け取っています。

 役員報酬を見ると、資本主義のもとでの格差と貧困が、ますます激しくなっていることがわかります。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/13 09:30

◎トヨタ ため込んだ利益剰余金21兆円

 トヨタ自動車は、6月13日(木)に株主総会を本社本館ホールで開きます。その招集通知にある2019年3月期連結決算貸借対照表を見て改めて驚きました。

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、前期の19兆3481億円から、2兆5140億円増やし、21兆9875億円にもなったことです。3月期決算でメディアの話題になったのが、日本の大企業でトヨタが初めて売上高が30兆円を超えたということでした。

 しかし、利益剰余金が日本の大企業で初めて20兆円を超えたことを報道するメディアはありませんでした。もちろん、ダントツの日本1です。利益剰余金が22兆円近くにもなったことは、どんなにすごいことか?

修 トヨタ 利益剰余金 21兆円
(上から3段目がトヨタの利益剰余金。左が19年3月期。右が18年3月期。単位は100万円=トヨタの株主総会「招集ご通知」から)

 たとえば日本経団連会長会社で、電機のトップの日立製作所の19年3月期連結決算を見てみました。利益剰余金は、前期の2兆1053億円から1821億円増やして2兆2875億円です。

 トヨタの10分の1にすぎません。トヨタは、わずか1年間で日立の利益剰余金に匹敵する額を増やしているのです。大企業は、利益をため込み続け、天井知らずに増やす――トヨタはその典型例でしょう。

toyota 本社
(トヨタ本社)

 財務省が2018年9月3日に発表した2017年度の法人企業統計で、利益剰余金(金融業、保険業を除く)は、前年度より40兆2496億円(9・9%)増えて446兆4844億円でした。

 トヨタは、わずか1社でその5%程度を占めています。ため込んだ内部留保を、労働者の賃上げや非正規労働者の正社員化、下請け代金の引き上げなどに使い、日本経済を好循環させることが必要です。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/06/11 17:49

◎自動運転と膨大なソフト TRI-ADのCEOインタビュー④

 俳優の杉良太郎さん(74)が6月7日、東京・東大井の鮫洲運転免許試験場を訪れて、運転免許証を返納したニュースが大きな話題になった。75歳以上の返納率は、免許保有者のわずか5%というから杉さんの返納は驚きだった。

 いま日本では、東京・池袋で4月19日、87歳の高齢者が運転するプリウスによってはねられ、12人が死傷するなど高齢者の運転事故が次々と起きている。

 高齢者の運転免許証返納率が少ないのは、車がなければ日常の買い物もできないからだろう。特に地方や過疎地では、公共交通機関がなくなり、車は必需品になってしまったという日本社会のゆがんだ構造がある。

 トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)と公開されているネットでのTRI-ADのCEOのジェームス・カフナー氏へのインタビュー4回目(最終回)は、「トヨタ『自動運転』開発秘話」と題して、カフナー氏に代わって取締役でCTO(最高技術責任者)の鯉渕健氏が語っている。

10 LSをベースにした自動運転の実験車
(トヨタが米シリコンバレーに設立したTOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.(TRI)は、新型レクサス LSベースした自動運転システム実験車を、米国ラスベガスで開催されるCES 2019で公開)

 鯉渕氏は、自動運転の開発に携わるなかで豊田章男社長に相談に行ったところ、こう言われたと語る。

 「例えば、ハンディキャップを持った人や高齢者であっても、普通の車に乗れる。つまり、それで楽しんでもらう。人によって『愛車』の定義は変わるはずで、全ての人に愛車を提供するための技術なら、大いにやれ」

 「高齢者であっても普通の車に乗れる」――そう、自動運転車を市販する前に高齢者が事故を起こさないような車を先行して市販して欲しい。アクセルとブレーキの踏み間違いなどを軽減する装置は次々と開発されているが、まだ完全ではない。もっとスピードをあげて開発できないかと思う。

 鯉渕氏へのインタビューに話を戻すと、「僕らTRI-ADの最大のミッションは目下、2020年ごろに自動運転システムを搭載した乗用車を『製品化』すること。それには、一にも二にも『ソフトウェア』がカギになる。

 自動運転の場合、クルマ全体に占めるソフトウェアの比率がすごく大きくなってくる。極めて膨大かつ複雑なソフトウェアを作らなければならない」と語る。

 現在の車も、もはや鉄の塊ではなくソフトの塊と言われて久しいが、自動運転車は比較にならないというのだ。そのためにソフト技術者を大量に雇用しようとしたが、豊田市の本社地区に即戦力の募集をしても難しいことがわかったという。

シリコンバレーより、の広告
(トヨタがJR南武線沿線の駅に貼った広告=2017年夏)

 「東京のほうが人は採りやすい」と語る。TRI-ADの本社を、東京・日本橋に置いたこともその1つの理由だろう。2017年夏にトヨタが、富士通など電機大手の研究所が立ち並ぶJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、IT技術者を引き抜く広告を貼ったことは記憶に新しい。

 鯉渕氏は、CEOのジェームス・カフナー氏が、「車に載っかるソフトウェアは、僕らが開発しなければならないソフトウェアのうちの、わずか10%に過ぎない」ということを、繰り返し語っているという。

 そして、「ソフトウェア開発は、ツールが9割だ」とのべていること――カフナー氏がグーグルで経験した話について触れる。自動運転車がいかに膨大なソフトから成り立つものか――など4回連載からは、自動運転にかかわる多くの事を知ることができた。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/10 14:27

◎トヨタ EV巻き返しへ 5年前倒し

 先日、叔父が日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」に乗ってやってきた。我が家の前に駐車するとリーフは、かなり大きい車だと実感する。しばし雑談の後、エンジン音もなく、静かに去っていった。

 トヨタ自動車は6月7日、寺師茂樹副社長が「EVの普及を目指して」を発表。これまで、EVやハイブリッド、プラグインハイブリッド、燃料電池車を含む「電動車」の世界販売台数を550万台以上としていた達成時期を、2030年から5年ほど前倒しすると発表した。

50 トヨタのEV普及ペース
(トヨタのプレゼンテーション資料から)

 現時点で、トヨタが走るEVはなく、日産などに比べ出遅れているといわれてきた。今回の発表は巻き返しか? まず来年2020年には、国内で2人乗りの超小型EVを発売する予定だ。

10 超小型EV
(2人乗り超小型EV)

 中国・米国・欧州など需要の高い主要市場では、2020年以降グローバルで10車種以上を用意するという。今年4月に上海モーターショーで、C-HRをベースにしたEVと姉妹車のIZOAを展示したが、20年に中国で販売を始める。環境問題を起こし、国策でEV化をすすめる世界1の市場の中国をターゲットにしたEVだ。

 グローバル市場に用意するEVは、他社と共同で企画、開発する。スバルとは中型のSUV、スズキ、ダイハツとは小型車など合わせて6車種を用意する。

 国内では、超小型EVの他に、立ち乗り型のEVを発売するがリーフに匹敵するほどのEVの発売時期は明らかでない。物足りなさは否めないだろう。

 トヨタのEV戦略は、「幅広くオープンに仲間を募り、 一緒に取り組みを加速させていきたい」というように、トヨタ単独の企画・開発ではなく他社と協業していく点だろう。

 クルマだけではなく、電池の調達でもパナソニックやGSユアサ、東芝など幅広く協業するという。「自動車会社からモビリティカンパニーへ」(豊田章男社長)の経営戦略がEV化のなかで示されている。

40 世界のEV市場
(トヨタのプレゼンテーション資料から)
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/08 17:18

◎囲碁・将棋界での激変 TRI-ADのCEOインタビュー③

 羽生九段、歴代単独1位の通算1434勝――将棋の羽生善治9段(48)が6月4日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで、永瀬拓矢叡王(26)に勝利し、故大山康晴十五世名人の最多勝記録を更新した。

 不世出の天才といわれ、7冠を独占した羽生9段だが、今は無冠。最高位の名人戦で永世名人の称号を持つものの、佐藤天彦名人に2度破れ、その佐藤名人も5月17日の名人戦で、豊島将之二冠に4連敗して名人を奪われた。

 将棋に詳しい人は語る。
 「昔の棋士はレベルが低かった。棋譜のコンピューター解析によってそれは明らかです。大山の大記録は低いレベルの同僚たちの中でうちたてたもの。大山は中原にも羽生にも対抗できるものではありません。豊島にも藤井聡太にも」

toyota レクサス

 トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)と公開されているネットでのインタビューにTRI-ADのCEOのジェームス・カフナー氏は、「Google『アルファ碁』で起きたこと」について触れている。

 「アルファ・ゼロ」というプログラムは、世界トップレベルの碁を打つ能力を持っていること。これは、最適な1手を探す「検索アルゴリズム」を持っており、ひたすら自分で対戦を繰り返すことで、人間が到底経験しえないような、何百年分の対戦経験を積んでいる――と指摘する。

 これを自動運転に応用するとして次のように語る。

 「例えば、ある走行スキルを身につけるのに、1万時間の走行経験が必要だとします。1つのロボットを1万時間走らせることもできますが、クラウド・ロボティクスの概念を応用すれば、100台のロボットに100時間ずつ走らせればいい。そして、それぞれが得た経験を、クラウド上で共有し、それを他の全てのロボットにフィードバックしてゆくのです」

70 2つの開発手法
(カフナー氏のインタビューから)


 その上で、プロダクトの開発手法には、「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」の2つがあること。ウォーターフォール型は、自動車のように事前に緻密な仕様書を書いて開発をしてゆく手法に対し、「アジャイルはベータ版を世の中にリリースして、ユーザーの声も反映しながら臨機応変に仕様や設計を変更していく。これこそが、多くのシリコンバレー企業がソフトウェアの製品開発を大規模に行う方法として、取り入れているスタイルです」と語る。

 カフナー氏は、「トヨタのハード製造の専門知識と、シリコンバレーのイノベーションやスピードを融合させてほしい」とのべ、TRIは「シリコンバレーと日本のクラフトマンシップ(職人技)の橋渡しを担う」と強調する。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/06 17:10

◎グーグルの極秘プロジェクト TRI-ADのCEOインタビュー②

 米グーグル系のウェイモが昨年12月、米アリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの「ウェイモワン」を開始――グーグルは、ここまで進んでいるのかと驚いた。

 自動運転レベル4の技術を搭載しているが、安全のために運転手が同乗しているという。スマホでタクシーを呼ぶという。FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のミニバンを使用している。

ウエイモ 自動運転タクシー
(グーグル系のウェイモの自動運転タクシー=ウェイモ社のホームページから)


 IT大手のグーグルが、世界の自動車メーカーの先陣を切って自動運転技術を開発しているのは広く知られている。

 そのグーグルの極秘プロジェクトについて、昨日このブログで紹介したTRI―AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)の社長兼最高経営責任者(CEO)、ジェームス・カフナー氏がインタビューに答えている。

 トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)と公開されているネットでのインタビューだ。

 カフナー氏は、2009年に始まったグーグルのプロジェクトの12人の創設メンバーの1人だった。「最先端の研究を理解している研究者に、最高のツールを与える。これがグーグルのやり方なんです」と語る。

 大学時代、ロボットを研究していた同氏は、膨大な時間がかかる実装チェックをしていた。グーグルでは、「シミュレーターのようなソフトウェアツールを使ってバーチャルにテストをすれば、わずか30秒で何千回ものテストができる。その上、クラウド上で複数台を同時並行してできる」という驚きの方法だったという。

 プロジェクトが発足して2年後の2011年、米サンフランシスコでグーグルが自動運転のソフトを開発しているというニュースが報じられると、世界に衝撃が走ったという。

 グーグルは自動車業界にとって、まさに「ゲームチェンジャー」だったとカフナー氏は指摘する。ゲームチェンジャーとは、スマホのiPhoneのように市場の状況を急激に変える製品や企業のことをいう。

 カフナー氏は、あるロボットの専門家をグーグルに引き抜こうと考える。現在、トヨタのAI研究機関「TRI」(Toyota Research Institute, Inc.)のCEOを務めるギル・プラット氏のことである。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/06/03 11:19

◎トヨタ「第3の本社」 東京・日本橋に TRI-ADのCEOインタビュー①

 「AI(人工頭脳)先端人材 米国に集中」――6月2日付の日経新聞が書いている。AIの世界のトップ級人材は2万4000人で、うち約半数が米国(1万295人)で、2位が中国(2525人)で、日本は6位(805人)だという。

 江戸時代から日本のど真ん中になった東京・日本橋。ここに2018年10月からトヨタ第3の本社とも呼ばれるトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)がオープンした。

60 日本橋に集まる頭脳


 トヨタの自動運転車をつくるためのAIの開発組織で、トヨタが90%、アイシンが5% デンソー5%を出資する。380人(2019年5月現在)が働いている。社長兼最高経営責任者(CEO)は、ジェームス・カフナー氏だ。

 AIの人材を豊田市に引き入れるのは無理で、情報の集中している東京、しかも日本橋という立地が必要だったのだろうか?

 そのCEOのカフナー氏が、トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)に登場している。トヨタの社内報は、「クリエーション」の名称だったが、「トヨタイムズ」に改称された。

 クルマの時代から、もっと自由に移動を楽しむモビリティの時代へ。この大きな変化を伝えていくメディアが「トヨタイムズ」といって、ネットでこれまでにないトヨタの情報を発信している。

30 社内報 トヨタイムズ


 社内報もそうした位置付けなのだろう。カフナー氏へのインタビューは、「トヨタ“第3の本社” 今明かされるGoogle極秘プロジェクト グーグルを辞めた『頭脳』が明かす、トヨタに来た秘密」というセンセーショナルなタイトルが付けられている。

 ロボット好きの少年、東大で学んだロボの「運動神経」、スタンフォード発「革新的な論文」、グーグル「極秘プロジェクト」始動…など、などだ。社内報では一部しか掲載されていないが、全文をネットで公開している。

https://global.toyota/jp/newsroom/inside-toyota/toyotatimes_magazine/selection/tri-ad/

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/02 10:54

◎小林政権? トヨタ19年6月株主総会招集から ①

 2019年3月期決算を受けて6月13日(木)に、トヨタ自動車の株主総会がトヨタ本社の本館ホール(豊田市)で開かれる。売上高で日本の企業で初めて30兆円を突破したトヨタ。どんな総会になるのか。

 「招集ご通知」が送られてきた。第1号議案は取締役9人の選任である。内山田竹志会長、早川茂副会長、豊田章男社長、小林耕士、Didier Leroy、寺師茂樹ら各取締役の6人と3人の社外取締役である。

 このうち内山田、早川、豊田、小林の4氏が代表取締役である。豊田社長と副社長の小林氏が、実質のトヨタの経営の代表者だ。

 トヨタの社内の人事を長年取材してきたジャーナリストの井上久男氏は、「週刊現代」(2017年12月23日号)に書いていた。2018年1月1日付の役員人事で、「最も衝撃をもって受けとめられているのが、69歳の小林耕士・現相談役が副社長に就く人事だ」と書いたがその通りとなっている。

 小林氏は、豊田社長が若いことに2度にわたって上司となった。一旦はデンソーの副会長に就任したが、その後にトヨタに戻り、代表取締役・副社長になった。

 井上氏は「週刊現代」で、トヨタ元役員の話として、「「これは『小林政権』の樹立です」と書いているが、実際、豊田社長の意を受けてトヨタとグループ経営を左右している。

トヨタイムズから
(トヨタの19春闘第3回労使協議会で豊田章男社長と小林耕士副社長=その左側、「トヨタイムズ」から)

 19春闘の第3回労使協議会(3月6日)で、豊田社長が「今までの労使協で、今回ほどものすごく距離感を感じたことない。こんなに噛み合っていないのか。組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝した際も、その隣で組合側と向かい合っていた。

 豊田社長は株主総会に向けて、「未来のモビリティ社会に向けて」とのメッセージを発している。「変化の激しい時代だからこそ、ブレない軸、原点に立ち返ることが必要です」とのべ、ブレない軸は「TPS(トヨタ生産方式)」と「原価をつくり込む力」と改めて指摘する。

 どんな株主総会になるのだろうか。どんな意見が出て、豊田社長らは何と答えるのだろうか。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/01 20:12

◎豊田社長は清華大学生の質問にどう答えたのか

 トヨタ自動車は中国の清華大学と、「清華大学―トヨタ連合研究院」を設立することで合意(4月21日)し、今後、5年間にわたり共同研究を実施します。それに合わせて豊田章男社長が同日、清華大学で講演し、学生たちの質疑に答えました。

 「トヨタイムズ」に、その動画が掲載されています。4月度の「労使拡大懇談会」でも、豊田社長の動画を視聴したとあります。
https://toyotatimes.jp/insidetoyota/022.html

 学生からは、燃料電池車(FCV)のミライについてなど活発な質問が相次ぎました。清華大学は習近平国家主席が卒業するなど北京大学と並ぶ中国のエリート校。会場にはエンジニア志望が多数集まり、学生たちがトヨタをどう見ているか、自動車の世界市場トップになった中国の大学生たちが何を考えているか――興味深いものでした。

 ある女子学生は、習近平主席が対外開放拡大の戦略を打ち出したもとで、テスラが真っ先に上海に会社をつくったこと。独VWは3社目の合弁会社を打ち出したこと。しかし、トヨタは出遅れているとのべ、トヨタの戦略を質問しました。

 豊田社長は、「過去はそうだったかもしれない。私は初代の中国本部長でした。経営というものは、トップが何を1番の優先順位にするかで割と決まっていくもの。多分この答えでわかっていただけると思う。未来のあるところに投資する」と回答しました。

清華大学 豊田社長
(豊田章男社長=左側=に質問する清華大学生=「トヨタイムズ」から)

 トランプ米大統領のファーウェイ製品のボイコットをはじめとする米中貿易戦争は深刻な事態になっています。中国は、世界を米国1国から、米中2国で仕切る動きを見せるなど、米中2カ国の大国主義の危険性が指摘されています。

 トヨタの中国への投資、清華大学生たちの活発な質疑…。米中2つの大国に挟まれた日本。自動車の国内市場は縮小し、トヨタをはじめ日本の自動車メーカーは、中国など世界へ活路を広げる。「生きるか死ぬか」の言葉が飛び交うトヨタの職場。雇用や、暮らしはどうなる――考えさせられたトヨタ社長と清華大学生との質疑でした。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/05/26 10:58

◎豊田会長 「大変残念」とトランプ大統領へ

 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は5月21日、日本からの輸入車の増加を「国家安全保障に対する脅威」とのべた米トランプ大統領に対し「大変残念に思う」とする談話を発表しました。

 日経新聞は、「日本は2018年に米国向けに自動車で4兆5241億円、同部品で9294億円輸出している。仮に日本から米国に輸出する自動車に高関税がかかれば、日本の自動車産業には壊滅的な打撃を受けかねない」(23日付)と伝えています。

 トヨタの2018年度の輸出台数は194万7000台。国内生産は321万3000台ですから約6割を輸出しています。米国への輸出台数は不明ですが、トランプ大統領が輸入制限に踏み切れば雇用問題にもなる可能性があります。

 豊田会長は談話で、日本の自動車メーカーが果たした役割を次のように指摘しています。

……
 全米28州に24か所の生産拠点、45か所のR&D拠点、39か所の物流拠点を持ち、累計約510億ドルを米国に投資してきました。リーマンショックの際にも雇用維持に努め、現在93,000人超の直接雇用を創出し、経済波及効果も含めた雇用創出は160万人超にのぼるとの試算結果もでております。

 こうした日系自動車メーカーの長年に亘る米国での投資と雇用創出は、米国企業市民としての現地への貢献とコミットメントを示すものにほかなりません。日本の自動車産業として輸入自動車・部品ならびに我々の事業活動が国家安全保障上の脅威になることはないと確信しております。
……

新宝ふ頭
(トヨタ自動車の輸出基地、名古屋港新宝ふ頭)

 トランプ大統領の「アメリカ第一主義」で、中国との“貿易戦争”は激しさを増しています。世界の景気が後退するのではないかといわれています。

 米国は5月10日、2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関西を10%から25%引き上げ、さらに13日、中国からのほぼ全ての輸入品(3000億ドル、約33兆円)への追加関税案を発表しました。

 同日、中国も2000億ドル分への報復として、600億ドル分のアメリカからの輸入品に最大25%の追加関税を6月から実施すると発表しました。さらに、米国からの農産品やエネルギーの輸入制限など、中国の報復が関税以外に広がる可能性も高まり、制裁と報復の欧州は一段と激化しています。

 パナソニックなどの日本企業は、中国で生産していた製品をタイやベトナムなど他国に移管する動きが出ています。アメリカと中国、アメリカと日本などの貿易摩擦は、いっそう深刻になりそうです。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/05/23 12:29

◎トヨタとJAXAの「有人与圧ローバー」 19年3月期決算から⑤

 トヨタ自動車とJAXA(宇宙航空研究開発機構)などが共同開発している「有人与圧ローバー」。そのイメージ動画がユーチューブにあります。
https://www.youtube.com/watch?v=k2UY2wsWOIM

 月面に運び込まれる有人与圧ローバー。トヨタ自動車とJAXAの名前が書きこまれています。太陽パネル、6本のタイヤ。宇宙服を着た運転手が月面を走る準備をし(宇宙服を車の中で脱いだ後)、運転します。車輪の跡が刻み込まれた月面。その向こうに、青い、青い地球が登ってきます。

写真 有人与圧ローバー


 この有人与圧ローバーが、トヨタの2019年3月期決算のプレゼンテーション資料のトップの写真を飾っています。いつもはトヨタ車ですが、トヨタが宇宙にも乗り出したことを示すものでしょう。

 有人与圧ローバーについて、「トヨタイムズ」でトヨタの寺師茂樹副社長と宇宙飛行士でJAXAの若田光一理事が対談しています。
https://toyotatimes.jp/insidetoyota/014.html

 「トヨタイムズ」では、「ローバー」とは月面走行車のことであり、「有人与圧」とは車両内部を人に適した気圧に保つことで、飛行士が宇宙服を着る必要を無くすというものであること。このプロジェクトは2030年代前半での本格的な月面探査を目指している――と解説しています。

 ローバーにトヨタが乗り出すのは、動力源に燃料電池を予定しているからです。トヨタは2014年12月、水素を動力源とした燃料電池車(FCV)の「ミライ」を世界のメーカーに先駆けて販売しました。しかし、世界の次世代車は電気自動車(EV)へと大きくシフトしています。

 寺師副社長は、有人与圧ローバーのプロジェクトについて、「我々トヨタにとっては、水素社会をつくるひな形になるのではないかなと」と期待感を持って語っています。

 トヨタにとって、有人与圧ローバーは、FCV普及への大きな手がかりとしたいところです。それにしてもユーチューブ動画で、月面から見た青い地球の何といとおしかったことでしょう。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/05/16 10:56

◎「TPS・原価低減の具体例」 19年3月期決算から④

 トヨタ自動車の19年3月期決算(5月8日発表)では、プレゼンテーション資料に「TPS・原価低減の具体例」を掲載しています。決算発表で、こうした具体例を示すのは異例です。

 豊田章男社長は、決算発表のあいさつで、世界の自動車産業の「100年に一度の大変革の時代」に、トヨタの「ブレない軸こそが『TPS』と『原価を作り込む力』だと思う」などとのべていますが、こうしたことを具体的に示したものです。

 プレゼン資料の具体例では、その1例として「試作費の低減活動」を紹介しています。TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)による開発プロセス改革や試作車両原価の造り込みなどを行ったことをあげています。

 4代目プリウスをスタートに、モデルチェンジした車はTNGAで次々とつくられています。それによって車両試作費は、15年3月期から低減を続け、19年3月期には「約65%低減」したとしています。

60 試作費の低減活動


 プラットホームの共通化で、先発車に続く派生車の試作台数は、半分以上減少したとのイメージ図を掲載。また、実車試験を繰り返すのではなく、シミュレーション技術を取り入れながら、その技術の精度を向上させ、実車試験に頼らない開発へシフトしていくとしています。

 さらに、▽仕入先との原価のつくりこみ――現地現物、知恵出しで課題を出して短期に改善を実施する――ことなど、▽顧客目線で車をよりスリムにする――たとえば電線の保護材の使用量を低減する――など生産技術水準に沿って対応を適正化していく例をあげています。

 ここには、トヨタの得意の原価低減をいっそう徹底し、利益に貢献しようというねらいをこめています。19年3月期では、「原価改善」で利益を800億円押し上げていますが、2000年3月期には1100億円の「原価改善」をめざしています。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/13 17:30

◎株主ファースト トヨタの株式配当、自己株式取得 19年3月期決算から③

 トヨタ自動車の2019年3月期決算を見てみると、株主優先を貫いていることが、よくわかります。株主や従業員、取引先、顧客などのステークホルダーのなかで株主ファーストです。

 決算プレゼンテーションには、参考資料として、この4年間の業績推移の表があります。その1つが株主への「総還元額」です。株式配当は、15年3月期からの4年間、1株当たり200円、210円、210円、220円、そして220円(19年3月期)と右肩上がりです。

 総額も6000億円を超えるばく大な額です。トヨタの株主は、「個人その他」は22・4%(18年3月期決算)にすぎません。金融機関(32・2%)、「その他の法人」(20・91%)、「外国法人」(22・35%)と圧倒的に金融機関と大企業、海外企業が占めています。ばく大な配当は、こうした企業へ流れているのです。

 また、「自己株式取得」が配当総額とほぼ同程度を行っていることが特徴です。自己株式取得とは、企業が発行した株式を市場から買い戻すことを指しています。これによって、株主側は流通している株式が減少することから株価の上昇につながるといわれています。

 また会社にとっても、自社株の取得により株価は上昇することで、M&A(合併と買収)対策にもつながるといわれています。株主ファーストを貫いているのです。

トヨタ 総還元額


 一方、昨年の18春闘では、トヨタは賃上げ(ベア)額を公表しませんでした。今年の19春闘では、組合側が会社の対応に沿って、要求額のうちのベア額を公表しませんでした。

 日本最大の企業がベア額を公表しないことで、トヨタの賃金がどうなっているかわからず、強い批判が寄せられました。

 トヨタは、「CSR方針」の前文で『持続可能な発展のために、全てのステークホルダーを重視した経営を行う』こと、『オープンで公正なコミュニケーションを通じて、ステークホルダーとの健全な関係の維持・発展に努める』ことを宣言しています。

 「CSR方針」から見ても、あまりにも株主優先になっているのではないでしょうか。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/05/12 16:38

◎トヨタの総資金量は潤沢 何と8兆円! 19年3月期決算から②

 トヨタ自動車の連結総資金量が7兆9366億円もの巨額にのぼっていることが5月8日に発表した19年3月期決算で明らかになりました。実質的な手元資金といわれる総資金量はばく大なものです。

 総資金量とは、金融事業を除いた現金および現金同等物、定期預金、市場性ある負債証券および信託ファンドへの投資です。短期間に現金化できるもので、“トヨタ銀行”といわれるほどの潤沢さです。

 連結総資金量は、16年3月期からの4年間の推移はトヨタが決算プレゼンテーションで明らかにしている表のようです。有利子負債を除いても8兆円前後というばく大な金額で推移しています。

トヨタ 総資金量 201903


 こうした総資金量は、営業利益で日本の大企業でダントツの約2兆5000億円も稼いでいることにあります。内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は21兆円にものぼっています。

 世界の自動車産業は、米巨大IT企業も巻き込んで「100年に1度の大変革期」(豊田章男社長)といわれ、電気自動車、自動運転など「CASE」と呼ばれる激烈な競争に入っています。

トヨタ 研究開発費


 トヨタが「CASE」で先頭集団を走り、毎年1兆円を超える研究開発費を投じているのも、こうした潤沢な総資金量に裏打ちされています。これほどの手元資金があるのなら、労働組合員への賃上げや下請け単価の引き上げ、期間従業員など非正規労働者への正社員化などにもっと使って欲しいところです。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/11 21:20

◎豊田社長は決算発表で何を語ったのか 19年3月決算から①

 世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時代」(豊田章男社長)といわれる中で、トヨタ自動車はどこへ向かって走ろうとしているのでしようか? 2019年3月期決算発表(5月8日)で、豊田社長のあいさつと、この4年間の業績推移から見てみました。

 決算発表のプレゼンテーションから、この4年間の連結の販売台数、売上高などを見てみると、ほぼ横ばいか、微増にとどまっています。リーマン・ショック(08年)前の急成長・急拡大が要因で、大幅赤字、利益減になったことから、一旦立ち止まる、「意思ある踊り場」(豊田社長)にして、量を追うのではなく、持続的成長をめざしたからでした。

トヨタのこの4年間


 しかし、営業利益は2兆円ほどから2兆5000億円ほどもコンスタントに稼ぎ出し、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、日本の大企業で比べる企業がいないほどの21兆円をため込んでいます。

 販売台数、売上という量ではなく利益を確実に上げてきたのです。それは、「トヨタの真骨頂である『TPS(トヨタ生産方式)』と『原価の作り込み』の再強化」(豊田社長)というように徹底した「ムダ、ムリ、ムラ」(同)の排除でした。
 
 その上で豊田社長は、これからのトヨタの道を示します。トヨタが培ってきた競争力――クルマの「リアルの世界」では、「TPSに基づくモノづくりの力」のほかに、世界中に張り巡らした約1万6000拠点の「ネットワークの力」と全世界で保有しているトヨタ車の1億台以上の「保有の力」があると指摘しています。

 そうした力の上に、大変革のキーワードである「CASE」を実現するためには、単独開発にこだわらず、特許を囲い込むのではなく、「仲間を増やす」こと――つまり、トヨタを核にしたさらに大きなグループを作ることだといい切ります。

 また、クルマ単体だけではなく、町全体、社会全体を視野にした「コネクティッド・シティ」という発想が必要なこと――モノからサービスまでを手がける「モビリティサービス・プラットフォーマー」をめざすとしています。

クルマを軸にクルマ周辺のサービスを含めた大きな“基盤”を作り上げることで、これまで以上の利益を上げていく道筋を示したものです。

レクサス


こうした道が、トヨタで働く者にとってどうなるのかが大いに気になるところです。3月の19春闘では「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝した豊田社長。職場では、「生きるか死ぬか」と煽られているからです。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/05/10 21:56

◎トヨタ、ダントツ決算 売上30兆、利益2・5兆、内部留保21兆

 トヨタ自動車は5月8日、2019年3月期決算を発表しました。売上高は、前年同期比2・9%増の30兆2256億円で、国内企業として初めて30兆円台に乗せました。

 本業の利益を示す営業利益は、同2・8%増の2兆4675億円、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、前期より2兆5140億円増やし21兆9875億円でした。どの数字も、日本の大企業でダントツの1位です。

 営業利益の過去最高は、16年3月期の2兆8539億円で、これには及びませんでした。

 トヨタ単体の世界販売台数は、前期より1万3000台増の897万7000台でした。国内販売は、前期より2万9000台減の222万6000台でした。

 ダイハツ工業と日野自動車を含むグループの世界販売台数は前期より16万2000台多い1060万3000台となり、過去最高を更新しました。

修 トヨタ 連結決算要約
(トヨタの決算プレゼンテーションから)

 また、原価改善で800憶円の利益要因を作っています。

 株主配当は、前期並みの1株220円としています。

 20年3月期の販売見通しでは、トヨタ単体では2万3000台増の900万台と予想しています。国内では2万6000台減の220万台で、その一方で欧州やアジアが伸びると予想しています。

 グループでの販売見通しは、13万7000台増の1074万台と過去最高を予想しています。

 同じく売上高の見通しでは、2256憶円減の30兆円、営業利益は825億円増の2兆5500億円と予想しています。

 豊田章男社長はあいさつで、 「100年に一度」と言われる大変革の時代に、 「ブレない軸、変えてはいけないことを明確にしておくことが必要。ブレない軸こそが、『TPS』と『原価を作り込む力』だと思う」とのべました。

 その上で、10年間社長を続けてきたことを振り返りながら、「トヨタを『モビリティカンパニー』にフルモデルチェンジすることこそが、私の使命であるとの想いに至りました」と強調しました。

決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/09 17:57

◎レクサス 世界で累計1000万台販売

 トヨタ自動車は2月25日、高級車「レクサス」ブランドが世界で累計販売1000万台に達したと発表しました。

 1989年に北米に最上位機種の「LS」を販売してから30年になります。日本では2005年から販売。今やレクサスが普通に走るほどになっています。18年の世界販売台数は69万8330台で過去最高を更新しました。

レクサス ES
(レクサス ES)

修 レクサス 2018年地域別販売台数
(レクサスの地域別販売台数=2018年)

 地域別では、北米が半分近くの32万3482台。2位が中国で16万1862台。3位が日本で5万5098台でした。19年は、前年比約9%増の76万台を販売する計画です。

 国内には、LS、IS、GX、RCを生産する田原工場(愛知県田原市)、GS、LCを生産する元町工場(愛知県豊田市)、ES、HS、CT、RX、NXを生産するトヨタ九州(福岡県宮若市)の3拠点があります(生産時点は2008年2月)。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/02/28 18:24
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